「急な腹痛と下痢」の原因はご存じですか?対処法と受診の目安も医師が解説!

急な腹痛と下痢を治すには?メディカルドック監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
目次 -INDEX-
急な腹痛と下痢の症状で考えられる病気と対処法
突然の腹痛や下痢は、誰もが一度は経験する身近な症状ではないでしょうか。食べ過ぎや飲み過ぎが原因のこともありますが、中には注意が必要な病気が隠れている可能性もあります。この記事では、急な腹痛と下痢が起こった際に考えられる原因やご自身でできる対処法、そして医療機関を受診すべき目安について、分かりやすく解説していきます。つらい症状に悩んだときの参考にしていただければ幸いです。
急な腹痛と下痢の症状で考えられる原因と対処法
急な腹痛と下痢といっても、その症状の現れ方は様々です。お腹がキリキリと痛んだり、ギューッと締め付けられるような痛みがあったり、下痢も水のような便(水様便)から泥のような便(泥状便)まで状態は異なります。これらの症状は、体の異変を知らせるサインです。まずは安静にすることが大切です。楽な姿勢で休み、お腹を締め付けるような服装は避けましょう。下痢によって体内の水分が失われるため、脱水症状を防ぐことが非常に重要です。常温の水や麦茶、経口補水液などを少しずつ、こまめに飲むように心がけてください。食事は、症状が落ち着くまでは消化の良いおかゆやうどん、スープなどを選ぶと良いでしょう。原因としては、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎、傷んだものを食べたことによる食中毒、ストレスや生活習慣の乱れが引き金となる過敏性腸症候群(IBS)などが考えられます。もし症状が数日経っても改善しない場合や、悪化するような場合は、内科や消化器内科を受診することをお勧めします。受診の際には、いつから症状が始まったか、どのような痛みか、便の状態、食事内容などを医師に伝えると、診断の助けになります。特に、高熱や激しい腹痛、血が混じった便が出るなどの症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。
急な腹痛と下痢・吐き気の症状で考えられる原因と対処法
腹痛と下痢に加えて吐き気や嘔吐もある場合、体はさらに水分を失いやすくなり、脱水症状に陥る危険性が高まります。症状が非常に強く、ぐったりしてしまうことも少なくありません。このようなときは、無理に食事を摂る必要はありません。まずは胃腸を休ませてあげることが第一です。吐き気が強い間は水分を摂るのもつらいかもしれませんが、落ち着いてきたら、スプーン一杯程度の水分から試すなど、少量ずつ頻繁に補給することを心がけてください。腹痛、下痢、吐き気の3つの症状がそろう場合、ノロウイルスやロタウイルスといったウイルスによる感染性胃腸炎や、食中毒の可能性が考えられます。これらの病気は、体内に侵入したウイルスや細菌を外に排出しようとする防御反応として、下痢や嘔吐を引き起こします。水分を全く受け付けない、唇が乾いている、尿の回数が極端に少ないといった症状は脱水のサインです。特に小さなお子さんやご高齢の方は脱水が進みやすいため、ぐったりしている様子が見られたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。夜間や休日であっても、救急外来の受診を検討してください。
冷えによる急な腹痛と下痢の症状で考えられる原因と対処法
お腹が冷えることで、腸の動きが過剰に活発になり、腹痛や下痢を引き起こすことがあります。「冷え」は、寒い環境だけでなく、冷たい飲食物の摂りすぎによっても生じます。きりきりとした腹痛とともに、水のような下痢が特徴的です。ご自身でできる対処法としては、まずはお腹を温めることが効果的です。腹巻きやカイロを使ったり、ひざ掛けをかけたりして、お腹周りを直接温めましょう。また、飲み物は常温か温かいものを選び、体を内側から温めることも大切です。冷えによる腹痛や下痢は、体質的なものや、自律神経の乱れが関係していることもあります。特に、ストレスなどが原因で腸が過敏になる「過敏性腸症候群(IBS)」の一つの症状として現れることも考えられます。一時的な症状であればセルフケアで改善することも多いですが、頻繁に繰り返す場合や、他の症状も伴う場合は、消化器内科で相談してみることをお勧めします。
夏の急な腹痛と下痢の症状で考えられる原因と対処法
夏場は、急な腹痛と下痢が起こりやすい季節です。その原因は一つではありません。まず、気温と湿度が高くなることで、O-157(腸管出血性大腸菌)やカンピロバクター、サルモネラといった食中毒の原因となる細菌が増殖しやすくなります。十分に加熱されていない肉類や、調理から時間が経った食品には特に注意が必要です。また、暑さから冷たい飲み物や食べ物を摂る機会が増えることも原因の一つです。胃腸が急に冷やされることで機能が低下し、消化不良による下痢を引き起こすことがあります。さらに、室内外の温度差が大きいと自律神経が乱れやすく、腸の動きに影響を与えて腹痛や下痢につながることも考えられます。もし食中毒が疑われる場合は、自己判断で下痢止めを服用しない方が良いでしょう。下痢は、原因となる菌や毒素を体外に排出しようとする体の重要な防御反応だからです。水分補給をしっかり行い、医療機関を受診しましょう。受診の際には、数日以内に何を食べたか、特に加熱が不十分な食品や生の食品を食べていないかを医師に伝えることが重要です。
【女性】急な腹痛と下痢の症状で考えられる病気と対処法
女性の場合、男性とは異なる原因で急な腹痛や下痢の症状が現れることがあります。月経周期に関連するものや、女性特有の病気が背景にある可能性も考えられます。
女性の急な腹痛と下痢の症状で考えられる原因と対処法
女性の腹痛や下痢で特徴的なのは、月経(生理)との関連です。月経前や月経中に腹痛や下痢が起こる場合、月経前症候群(PMS)や月経困難症の症状の一つである可能性があります。これは、ホルモンバランスの変化によって腸の動きが影響を受けるために起こると考えられています。このような症状に対しては、体を温めたり、リラックスできる時間を作ったりするようにしましょう。痛みがつらい場合は、市販の鎮痛薬が効果を示すこともありますが、使用に際しては用法・用量を守ることが大切です。しかし、月経周期に関わらず下腹部の痛みが続く、痛みがだんだん強くなる、下痢以外の症状(不正出血など)があるといった場合は注意が必要です。子宮内膜症や卵巣の病気、骨盤内炎症性疾患など、婦人科系の病気が隠れている可能性も考えられます。症状が月経の時だけに限られるのか、それ以外の時にも起こるのかをよく観察し、不安な点があれば婦人科を受診して相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき急な腹痛と下痢に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
急な腹痛と下痢でで激しい腹痛の症状の場合は、消化器科へ
急な腹痛や下痢であっても、特に注意が必要な危険なサインがあります。以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
これまでに経験したことのないような激しい腹痛、強い吐き気、冷や汗が出る、意識が遠のく感じがするなどの症状がある際は、腸閉塞や腹膜炎、消化管に穴が開く消化管穿孔など、緊急手術が必要な病気の可能性があります。救急車の要請もためらわず、すぐに救急科を受診してください。また、便に血が混じる(真っ赤な血、黒くてドロドロした便)、粘液状の血が混じるなどの症状は、虚血性大腸炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、あるいは大腸がんといった病気の可能性が考えられます。医療機関は消化器内科を受診しましょう。特に、高熱(38.5℃以上)を伴う、嘔吐が止まらず水分が全く摂れないなどの症状では、重度の感染性胃腸炎や食中毒により、脱水症状が急速に進行する危険がありますので、躊躇せずに受診をするようにしましょう。内科または消化器内科を受診してください。症状が非常に強い場合は、夜間や休日でも救急外来の受診を検討しましょう。
病院受診の目安となる「急な腹痛と下痢」のセルフチェック法
ご自身の症状で病院に行くべきかどうかの判断に迷ったときは、以下の項目をチェックしてみてください。一つでも当てはまる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
・血便や高熱、激しい嘔吐など、下痢・腹痛以外の強い症状を伴う場合
・水分を摂ることができず、尿が出ない、唇がカサカサに乾いているなど、脱水が疑われる症状がある場合
・市販薬を飲んでも症状が改善しない、数日間症状が続いている、または一度良くなっても短期間で繰り返す場合
これらの症状は医療機関に入院の可能性がありますので、入院の準備の上、受診されると手続きがスムーズです。
急な腹痛と下痢の症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「急な腹痛と下痢」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
感染性胃腸炎
感染性腸炎はウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)や細菌(カンピロバクター、サルモネラ菌など)が胃腸に感染して炎症を起こす病気です。主な症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などです。治療法・対処法は、特定の治療薬がないことが多く、症状を和らげる対症療法が中心となります。最も重要なのは、脱水を防ぐための水分補給です。整腸剤や吐き気止め、解熱剤などが処方されることもあります。病院へ行くべき目安として、水分が摂れない、ぐったりしている、高熱が続く、血便が出るなどの場合は受診が必要です。診療科は内科、消化器内科、小児科の受診を検討しましょう。
食中毒
有害・有毒な微生物や化学物質等毒素を含む飲食物を人が口から摂取した結果として起こる下痢や嘔吐や発熱などの疾病(中毒)の総称です。
病気の内容、発症の原因は細菌やウイルス、毒素などに汚染された食物を摂取することで発症します。原因となる菌によって潜伏期間や症状は異なりますが、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などが主な症状です。対処法・治療法は、原因菌を特定し、必要に応じて抗菌薬(抗生物質)を使用します。しかし、基本的には感染性胃腸炎と同様に、水分補給と対症療法が治療の中心となります。症状が激しい場合や、血便、呼吸困難、手足のしびれなどの症状がある場合は、すぐに受診が必要です。同じものを食べた複数人に症状が出た場合も食中毒の可能性が高まります。診療科は内科、消化器内科を受診しましょう。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸炎は検査をしても腸に炎症などの異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘などの便通異常が続く病気です。ストレスや不安、生活習慣の乱れなどが深く関わっていると考えられています。対処法や治療はまず、食生活の改善や適度な運動、十分な睡眠といった生活習慣の見直しが基本です。それでも改善しない場合は、症状に合わせて腸の動きを整える薬や、不安を和らげる薬などが用いられます。市販薬で改善しない便通異常が続く、日常生活に支障が出ているといった場合は消化器内科で相談しましょう。
虚血性大腸炎
虚血性腸炎は大腸への血液の流れが一時的に悪くなることで、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。突然の強い腹痛から始まり、その後下痢、そして血便が現れるのが特徴的です。高齢者や、便秘や動脈硬化のリスクがある方に比較的多く見られます。対処法や治療法は安静と消化にいいものを摂取して、腸と体を休めることが基本です。状態が悪い場合は、入院して絶食とし、点滴で水分や栄養を補給することで改善します。病院へ行くべき目安として、突然の激しい腹痛と血便があった場合は、すぐに消化器内科を受診してください。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に原因不明の炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。主な症状は、持続する下痢、粘液と血液が混じった便(粘血便)、腹痛などです。症状が落ち着いている時期(寛解期)と、悪化する時期(再燃期)を繰り返す特徴があります。国の指定難病の一つです。腸の異常な炎症を抑えるための薬物療法が治療の中心となります。5-ASA製剤やステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などが用いられます。血便や粘血便が続く、下痢がなかなか治らないといった場合は、一度消化器内科の診察を受けることが重要です。
クローン病
クローン病は腸のあらゆる場所に、原因不明の炎症や潰瘍が起こりうる病気です。主な症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱などで、若年層に発症することが多いとされています。この病気も国の指定難病です。治療の基本は、腸管の安静と栄養状態の改善、そして炎症を抑える薬物療法です。栄養療法(経腸栄養・完全中心静脈栄養)や、5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などが用いられます。長引く腹痛や下痢、原因不明の体重減少などがある場合は、消化器内科への相談をお勧めします。
急な腹痛と下痢の症状の正しい対処法は?
急な腹痛と下痢に襲われたとき、どのように対処すれば症状を和らげることができるのでしょうか。ここでは、ご自身でできる正しい対処法について解説します。
腹痛や下痢の症状を落ち着かせるにはどうしたら良い?
腹痛や下痢のつらい症状を少しでも和らげるためには、まず体を休ませることが大切です。横になるなど、楽な姿勢で安静にしましょう。お腹を締め付けるベルトや衣服は緩めてください。下痢で失われる水分と電解質を補うため、水分補給は非常に重要です。冷たい飲み物は胃腸を刺激することがあるため、常温か人肌程度のものを選びましょう。食事は、症状が強い間は無理に摂らず、胃腸を休ませます。回復してきたら、消化の良いおかゆやよく煮込んだうどん、すりおろしたりんごなどから少しずつ再開してください。まずは楽な姿勢で安静を保ちましょう。お腹を温めると痛みが和らぐことがありますので、腹巻きをしたり、毛布をかけたりするのも良い方法です。水分は、経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ、こまめに摂取するのが効果的です。
下痢止めや胃腸薬などの市販薬を使用しても問題ない?
薬局では様々な種類の胃腸薬が販売されていますが、症状改善のために使用してみてもいいかと思います。食べ過ぎや飲み過ぎ、冷えなどが原因で、細菌感染の可能性が低いと考えられる場合には、市販の整腸剤などが症状の緩和に役立つことがあります。しかし、血便や高熱など重症な症状がある場合、細菌感染や他の消化器疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
「急な腹痛と下痢」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「急な腹痛と下痢」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
突然水下痢になっておなかが痛いとき、水分は控えるべきですか?
伊藤 陽子(医師)
いいえ、水分を控えるべきではありません。むしろ積極的に補給する必要があります。水のような下痢(水様便)が続くと、体は水分と同時にナトリウムやカリウムといった電解質も大量に失い、脱水症状に陥る危険があります。脱水を防ぐために、水やお茶だけでなく、電解質も効率よく補給できる経口補水液やスポーツドリンクを、少量ずつこまめに飲むようにしてください。飲む温度としては、お腹の冷えに繋がらないよう、常温に近い温度のものをおすすめします。
急な下痢で腹痛・吐き気・冷や汗に見舞われたときの対処法を教えてください。
伊藤 陽子(医師)
急な下痢に加えて、腹痛、吐き気、冷や汗といった症状が同時に現れた場合、体は相当なストレス状態にあります。まずは横になり、安静を保つことが優先です。吐き気があるときに無理に水分を摂ると、嘔吐を誘発してしまうことがあります。吐き気が少し落ち着くのを待ってから、一口の水分から試してみてください。症状が非常に激しい場合や、意識が朦朧とするような場合は、我慢せずに救急車を呼ぶことも検討しましょう。
まとめ 急な腹痛と下痢のときは自己判断せず、つらい場合は医療機関へ
この記事では、急な腹痛と下痢の原因や対処法、考えられる病気について解説しました。多くの場合、腹痛や下痢は安静と適切な水分補給によって数日で改善しますが、中には注意が必要な病気が隠れていることもあります。ご自身での対処で症状が改善しない場合や、我慢できないほどの激しい痛み、血便、高熱などを伴う場合は、決して自己判断で放置せず、必ず医療機関を受診してください。危険なサインを見逃さず、ご自身の健康を守るために最も重要です。
「急な腹痛と下痢」症状で考えられる病気
「急な腹痛と下痢」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらは考えられる病気の一例です。腹痛や下痢は様々な原因で起こるため、症状が続く場合は医師にご相談ください。
「急な腹痛と下痢」に似ている症状・関連する症状
「急な腹痛と下痢」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状が腹痛や下痢と同時に現れた場合は、病気の重要なサインである可能性があります。症状をよく観察し、受診時に医師にお伝えください。