「お腹がギュルギュル鳴る」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!


監修医師:
伊藤 陽子(医師)
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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
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「お腹がギュルギュル鳴る」原因と対処法
お腹がギュルギュル鳴るのは、空腹で胃や腸が収縮して腸管内の空気や消化液が動いているときにみられる症状です。通常でもみられますが、お腹が鳴る症状が続いたり、下痢や腹痛を伴う場合には、消化器系の病気の可能性があります。この記事では、おなかがなる原因や対処法について解説いたします。お腹がギュルギュル鳴る原因と対処法
お腹が鳴ることは、通常の反応でも起こります。最も多いのは空腹時です。空腹の場合、消化ホルモンが分泌され胃の収縮運動を引き起こします。胃の中の空気と消化液が混ざったものが収縮運動により排泄され、小腸へ送りこまれる時に音が鳴ります。また、食後に胃の内容物が送り出される時に、空気を多く含むと音が鳴ることも少なくありません。早食いや、ストレスによる呑気症などで空気を飲み込む量が多い人や、イモ類などの不溶性の食物繊維が多い食品をとりすぎることで腸管内にガスが多く発生するとお腹が鳴ることが多くなる可能性があります。 対処法としては、ゆっくりとよく噛んで食べることです。また、空腹となりすぎないために糖分の入ったジュースや間食を少し食べることも予防になります。しかし、お腹が鳴るだけで他の症状がなければ、病気ではない可能性が高いです。お腹が鳴る反応を気にしすぎないようにしましょう。お腹がギュルギュル鳴り、下痢も催す原因と対処法
お腹が鳴り、下痢も起こる状態が続く場合には、過敏性腸症候群(IBS)の可能性が考えられます。暴飲暴食を避け、生活習慣を整えることで改善する場合もありますが、長期にわたり腹痛や便通異常が続く場合には、生活に支障が出ることも考えられます。このような場合には、消化器内科で相談をしましょう。食後にお腹がギュルギュル鳴る原因と対処法
胃に食物が入った後、3〜5時間程度で消化されて、小腸へ送り出されていきます。この時に、空気と混ざった食物が胃から押し出される際に音を立てることもあります。この音自体は異常ではありません。しかし、なるべく音を出さないようにするためには、空気を多く呑み込まない様にして早食いを避けることも大切です。 また、食後は大腸の動きも活発になります。便秘があり大腸にガスが溜まっていると、大腸の動きに合わせて音がなる可能性もあります。便秘とならないようにしたり、ガスが多く発生するような食材を摂りすぎないようにすることも有効です。例えば、大豆、ごぼう、玉ねぎなどの食材は、小腸で消化・吸収がされにくく、大腸で発酵しやすいためガスが発生しやすいと言えます。また、炭酸飲料、ビールも腸管内でガスが生じやすいため、お腹が張りやすいです。これらの食材の摂取量が多くなりすぎないように気を付ける様にしましょう。マッサージをするとお腹がギュルギュル鳴る原因と対処法
お腹をマッサージすると、その外部からの刺激により腸管の運動が活発になります。そのため、おなかが動き、ギュルギュルと鳴る事もあります。お腹のマッサージは、便秘などの解消にも有効です。お腹が鳴るからと言って悪い事ではありません。腹痛など他の症状がないのであれば、様子を見ても良いでしょう。すぐに病院へ行くべき「お腹がギュルギュル鳴る」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。血の混じる便、血便を認める症状の場合は、消化器内科へ
お腹のギュルギュルと鳴る症状だけであれば、様子を見ても良いでしょう。しかし、血の混じる便、血便などがみられたり、腹痛が何度も起こる場合には炎症性腸疾患の可能性があります。また、血便はなくとも、おなかの不調が長期に持続する場合には過敏性腸症候群の可能性も考えられます。このような症状の場合には、早めに消化器内科を受診しましょう。「お腹がギュルギュル鳴る」症状の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「お腹がギュルギュル鳴る」症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、腹部の不調(腹痛と便通異常あるいはそのいずれか)が、3か月の間に間欠的もしくは持続的にみられるときに最も考えられる病気です。重症となる事はありませんが、腹痛や下痢、便秘などで日常生活に支障をきたすこともあります。IBSの原因は、現在のところ分かっていません。しかし、細菌やウイルスの感染後にIBSになりやすいことが分かっています。IBSを診断するためには、大腸がんや炎症性腸疾患などの病気が無いかを調べる必要があります。大腸内視鏡検査や便検査、CTなどの画像検査を行い、総合的な診断が必要です。治療としては、3食をバランスよく食べ、暴飲暴食を避けることがまず大切です。生活習慣を改善しても症状が改善しない場合には、整腸剤などの薬物での治療を行います。お腹の不調が長く続く場合には、消化器内科を受診して相談しましょう。炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(IBD)は、慢性あるいは寛解・再燃を繰り返す腸管の炎症性疾患です。潰瘍性大腸炎とクローン病がこのIBDの大部分を占めます。 潰瘍性大腸炎は直腸から連続性に大腸粘膜に炎症を起こします。このため、腸の粘膜に潰瘍や腸壁のむくみが起こり、血便や下痢、腹痛などの症状が慢性的に続きます。 クローン病では、非連続性に口から肛門までの消化管の度の粘膜にも炎症を起こします。特に大腸と小腸に病変がみられることが多いです。肛門部に痔ろうを合併することも少なくありません。潰瘍性大腸炎と同様に腸管の炎症により、潰瘍や浮腫をきたし、下痢や腹痛、血便、発熱などの症状がみられるようになります。 これらの病気は、原因が未だはっきり分かっていません。しかし、遺伝や環境因子、腸内細菌の異常などのさまざまな因子に影響され、免疫異常が起こり発症することが分かってきています。 ストレスをためず、暴飲暴食をやめ、十分な休息をとるなどの生活習慣を整えることがまず大切です。その上で、近年はさまざまな薬物治療の進歩により、以前と比較し病気をコントロールすることが可能となっています。定期的に通院し治療を継続することで、日常生活に支障が出ないようにしましょう。「お腹がギュルギュル鳴る」症状の正しい対処法は?
お腹がギュルギュルと鳴る症状の場合、おなかが鳴る以外に症状がなければ様子を見ても良いでしょう。しかし、腹痛や下痢、便秘などのおなかの不調がある場合には暴飲暴食をやめ、生活習慣を見直すことがまず大切です。市販の整腸剤を服用することも良いでしょう。しかし、おなかの不調が長く続く時や血便などの便の性状が異常となる場合には早めに消化器内科を受診することをお勧めします。「お腹がギュルギュル鳴る」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹がギュルギュル鳴る」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
お腹がギュルギュル鳴るのは過敏性腸症候群ですか?
伊藤 陽子(医師)
過敏性腸症候群の可能性も考えられます。暴飲暴食をやめ、生活習慣を整えてもお腹の不調(腹痛や下痢、便秘など)を伴う症状が続く場合には、消化器内科で相談をしてみましょう。
お腹がギュルギュルと鳴るのを止める方法はありますか?
伊藤 陽子(医師)
空腹でお腹がギュルギュルと鳴る症状の場合には、少し糖分を含んだジュースや間食をとることでおなかの鳴る症状を抑えられる可能性があります。試してみましょう。