「お腹の真ん中が痛い」ときの原因とは？考えられる病気を医師が解説！

お腹の真ん中が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？メディカルドック監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

「お腹の真ん中が痛い」原因と対処法

お腹の真ん中が痛いという症状は、誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。 お腹の真ん中は、医学用語では心窩部（しんかぶ、みぞおち）や臍周囲（さいしゅうい、へそのまわり）のあたりのことを指していると思われます。あるいは、臍の下のあたりを指している場合もあるでしょう。 さまざまな病気が原因となりますが、中には緊急性が高く、命に関わる病気のこともあります。 今回の記事では、お腹の真ん中が痛い場合に、どのような原因が考えられるかについて解説します。

お腹の真ん中が痛い原因と対処法

食道炎や胃腸炎、胃・十二指腸潰瘍、胆石症、膵炎（急性、慢性）、急性虫垂炎の初期段階などの消化器疾患の可能性があります。また、心筋梗塞や大動脈瘤破裂、大動脈解離などの心血管系の病気の場合もあります。 安静にし、消化に良いものを食べるようにしても腹痛が持続する場合には、まずは消化器内科を受診しましょう。あるいは突然に起きた冷や汗や背中の痛みも伴うような場合には、緊急性が高い疾患、特に心血管系の病気の疑いもあります。早急に、救急車を呼ぶことをおすすめします。

お腹の真ん中を押すと痛い原因と対処法

お腹の真ん中を押すと痛い場合には、胃腸炎や急性胃炎、急性膵炎などが考えられます。また、胃・十二指腸潰瘍が悪化し、壁が破れてしまった場合（穿孔；せんこう）には、腹膜炎という状態になってしまいます。この状態では、腹部を押して痛みが出る他にも、お腹が硬くなるといった症状が現れます。 強い痛みが続く場合は無理に押さずに安静にしましょう。しかし、発熱・嘔吐・冷や汗などもみられる場合には、緊急性が高い疾患かもしません。早めに医療機関を受診しましょう。

お腹の真ん中あたりが痛い原因と対処法

お腹の真ん中あたりが痛い場合、「真ん中」よりも少し範囲が広く、おへそ周辺全体に広がる痛みを感じているのかもしれません。 例えば、消化器の病気の他に、女性の場合には子宮や卵巣・卵管などの婦人科的な臓器の病気も痛みの原因となります。また、尿路感染症や尿路結石など、泌尿器系の病気の可能性もあります。 女性で月経困難がある場合などには婦人科受診を、排尿時痛などもみられる場合には泌尿器科を受診するようにしましょう。

お腹の真ん中が急に痛い原因と対処法

お腹の真ん中あたりに急に痛みが生じた際には、急性胃炎や胃痙攣、膵炎、虚血性腸炎などが原因として挙げられます。また、大動脈瘤破裂などの、緊急性が高い病気の場合もあります。 まずは安静にすることが第一です。しかし、症状が治らない、血便が出るなどの際には消化器内科を受診しましょう。また、急激な痛みで動けなくなる、冷や汗や嘔吐を伴う、意識が朦朧とするなどの症状がみられる際は緊急性が高いです。救急車を呼びましょう。

お腹の真ん中が痛く、下痢も催す原因と対処法

お腹の真ん中が痛く、下痢を伴う場合には、ウイルス性胃腸炎（ノロウイルス、ロタウイルスなど）や食中毒、過敏性腸症候群などが考えられます。 まずは、水分補給をこまめに行い、脱水を防ぐことが大切です。 下痢止めを自己判断で飲まずに、自然に排泄させましょう。そして、消化に良い食事（お粥やスープ）を摂るようにしましょう。症状が続く場合や、血便などを伴うような場合には、消化器内科を受診しましょう。特に、乳幼児や高齢者の場合には、下痢で脱水を起こすリスクもありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。

お腹の真ん中が痛く、吐き気がある原因と対処法

お腹の痛みに吐き気もある場合には、感染性胃腸炎の他、腸重積や虫垂炎、腸閉塞などの可能性もあります。 吐き気が強く嘔吐が続く場合には、消化器内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「お腹の真ん中が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

血便や発熱を伴うような症状の場合は、消化器内科へ

お腹の真ん中が痛いことに加え、以下のような症状がある場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。
●血便が出る
●冷や汗が出るほどの激痛
●短時間で悪化する強い痛み
●発熱を伴う
医療機関を受診する際には、いつから生じたのか、また持病があるかどうかなどについて伝えるようにしましょう。 お腹の真ん中が痛いことに加え、以下のような症状がある場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。
●血便が出る
●冷や汗が出るほどの激痛
●短時間で悪化する強い痛み
●発熱を伴う
医療機関を受診する際には、いつから生じたのか、また持病があるかどうかなどについて伝えるようにしましょう。

受診・予防の目安となる「お腹の真ん中が痛い」のセルフチェック法

・短期間に痛みが強くなる場合
・意識が朦朧とする場合
・冷や汗がある場合
これらの症状は、急性膵炎などの緊急性が高い消化器疾患や、心筋梗塞や大動脈瘤解離などの心血管系の疾患の可能性を示唆しています。早急に医療機関を受診しましょう。

「お腹の真ん中が痛い」症状の特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「お腹の真ん中が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、えぐれてしまう病気のことです。ヘリコバクター・ピロリ菌と非ステロイド抗炎症薬（NSAIDs）が2つの大きなリスクとして知られています。 ヘリコバクター・ピロリ菌陽性の場合には、薬物による除菌療法が第一選択となります。また、酸分泌抑制薬や防御因子増強薬が治療に用いられる場合もあります。潰瘍からの出血が多い場合には、内視鏡的な止血術が行われることもあります。 腹痛が持続し、市販薬を飲むなどしても症状が良くならない場合には、消化器内科を受診しましょう。潰瘍からの出血が多い場合には、吐血や黒色便がみられる場合もあります。こうした際は、早急に医療機関を受診しましょう。

急性虫垂炎

右下腹部には虫垂という大腸の始まりである盲腸から伸びる細長い突起状の臓器があり、急性虫垂炎とはこの虫垂で起こる炎症のことです。虫垂内腔が閉塞し、細菌が侵入することで感染が起こることが原因ではないかと考えられています。炎症が悪化すると、虫垂が壊死し、穴が開いてしまい、腹膜炎という状態までになってしまうこともあります。 乳児から高齢者まで、幅広い年代の方に起こります。 最初はみぞおちの痛みから始まり、次第に右下腹部に痛みが移動するという症状が典型的です。吐き気を伴うこともあります。 抗生剤の治療で経過観察を行うこともありますが、腹膜炎と考えられる場合には手術が行われます。 特に、部位が移動するような腹痛がある時には虫垂炎の可能性もあります。小児科あるいは消化器内科を受診しましょう。

腸閉塞

腸閉塞は、何らかの原因によって腸の内容物の肛門側への通過に支障をきたした状態のことです。イレウスとも呼ばれます。 過去の手術により腸がくっついてしまう（癒着）ことや、大きな腫瘍などによって腸がふさがれてしまうものを機械的腸閉塞といいます。また、神経の障害や炎症の影響などで腸の動きが悪くなった場合は、機能的腸閉塞といいます。 腸閉塞の症状には、激しい腹痛や吐き気、嘔吐、腹部の膨満感、排便・排ガスがなくなるなどがあります。こうした症状がみられる場合には、速やかに消化器内科を受診しましょう。 治療法は、まずは腸の通りが悪くなった部分から口側の内容物を外に出すため、鼻を経由してチューブを胃や腸に入れます。そして腸の中の圧力を減らします。しかしながら、通りが改善しない場合や、腸の血流が悪くなっている場合には手術が行われます。

急性膵炎

急性膵炎は、膵臓に強い炎症が起こることで、膵臓の消化酵素が自分を溶かしてしまう病気のことです。周囲の臓器にも影響を与えることもあります。腹痛や嘔吐、発熱、背部痛などが症状となります。血液検査では、アミラーゼやリパーゼという酵素が異常に高くなることが特徴です。 アルコールや胆石によるものもありますが、明らかな原因がわからない場合もあります。 お腹の痛みや、お腹を押さえると痛いといった症状が突然みられる場合には、急性膵炎の可能性も考えられます。早めに消化器内科を受診しましょう。

腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤は、腹部大動脈というお腹を走っている太い血管の一部が、何らかの原因によって瘤（こぶ）のように膨らんでしまう病気のことです。大動脈瘤の外に血液が漏れてしまった場合、「破裂」と呼ばれます。また、血液の漏れはないものの、動脈瘤がある部位に一致して痛みがある場合には、「切迫破裂」と呼ばれています。 ひとたび大動脈瘤が破裂すると、とても激しい痛みが起こります。また、大量出血によってショックという状態となり、意識障害が生じたり、最悪の場合は命に至ったりすることもあります。 腹部大動脈瘤の原因としては、動脈硬化などがあります。 高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある方で、腹部に痛みを感じるような場合には、まずは主治医に報告することが大切です。もともと動脈瘤を指摘されている方が強い腹痛を自覚した場合には、緊急性がとても高い状況の可能性があります。救急車を呼びましょう。

「お腹の真ん中が痛い」時の正しい対処法は？

おなかの真ん中が痛い場合、軽い胃痛なら、制酸剤（胃薬）が有効な場合があります。ただし、痛みが強い場合や原因が不明なときは、自己判断せずに受診をすることが大切です。例えば、軽い胃もたれ、食後の膨満感程度であれば市販薬で様子を見ることもまずは可能でしょう。しかし、激しい痛み、吐血・血便、冷や汗を伴う痛みがある場合には、すぐ医療機関を受診しましょう。

まとめ

お腹の真ん中が痛い原因は、市販薬で改善しうるものから緊急性が高いものまでさまざまです。症状が続く場合や、その他の症状を伴うような場合には、医療機関を受診するようにしましょう。

「お腹の真ん中が痛い」で考えられる病気

「お腹の真ん中が痛い」から医師が考えられる病気は15個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 同じ腹痛でも、少し安静にしながら経過を診ることで症状が良くなる病気から緊急度の高い病気まで、さまざまなものがあります。本記事に記載したような、緊急性が高いサインを見逃さないようにしましょう。

「お腹の真ん中が痛い」に似ている症状・関連する症状

「お腹の真ん中が痛い」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 お腹の真ん中が痛い場合に、上記のような症状が伴う場合があります。特に冷や汗や意識障害などの症状もある場合には、早急に医療機関を受診しましょう。