「胃の左側が痛い」原因はご存知ですか？考えられる病気を徹底解説！

胃の左側が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

「胃の左側が痛い」原因と対処法

左の脇腹の辺り、ちょうど胃の左側が痛むことがあります。このような時にはどのような病気が考えられるでしょうか？今回は、胃の左側が痛む場合に考えられる原因とその対処法について解説いたします。

胃の左側が痛い原因と対処法

胃の左側が痛む場合、どのような病気が考えられるでしょうか。まず、胃の左側にある臓器は、下行結腸、膵臓、左の腎臓などです。この臓器での異常が起こった場合に痛みを感じる可能性が考えられます。例えば、急性膵炎や膵がん、左の腎盂腎炎や尿路結石、下行結腸で起こった憩室炎や腸炎などの可能性が考えられます。このような痛みがある場合、痛みが一時的なものであれば良いですが、持続する痛みであれば医療機関を受診しましょう。嘔気や下痢など消化器症状を伴う場合には消化器内科を、血尿を伴う場合には泌尿器科を受診しましょう。何科を受診してよいかわからない場合には、内科・消化器内科を受診すると良いでしょう。

食後に胃の左側が痛い原因と対処法

食後に胃の左側が痛い場合、膵炎や腸炎、憩室炎などの疾患が考えられます。 膵炎の場合には、食事や飲酒の数時間後に激しい腹痛が起こることがあります。痛みは背中にかけて出ることも少なくありません。このような症状が起こった時には、早めに消化器内科を受診しましょう。膵炎は重症化すると命にかかわることもあります。早めの治療が大切です。 また、食後に胃の左側が痛む場合、胃潰瘍などの胃の痛みの可能性もあります。胃潰瘍はストレスなどで症状が急激に悪化することもあります。胃潰瘍でも胃の左側辺りに痛みが放散することもあるからです。このような場合も、激痛であれば早めに消化器内科を受診しましょう。

空腹時、胃の左側が痛い原因と対処法

空腹時に胃の左側が痛む場合、十二指腸潰瘍も考えられる病気の一つです。十二指腸潰瘍の場合、食事を摂ると一時的に痛みが治まることがあります。通常十二指腸潰瘍であれば、右側や背中側に痛みが起こることが多いです。しかし、痛みが周囲に広がり胃の左側が痛いと感じることも考えられます。十二指腸潰瘍が進行すると出血が続き、黒っぽい便が出ることもあります。さらに進行して、穿孔と言って壁に穴が開いてしまい緊急手術をしなければならないこともありますので、痛みが持続する場合には早めに消化器内科を受診しましょう。

胃の左側が痛く、下痢も伴う原因と対処法

胃の左側が痛み、下痢も伴う場合、いくつかの病気が考えられます。感染性腸炎や虚血性腸炎、大腸がんは下痢を伴う左側腹部痛の原因の一つです。また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患や憩室炎などでも場所によっては左側腹部痛と下痢が起こり得ます。一時的な症状であれば様子を見ても良いですが、強い腹痛の症状が持続している場合、血便を伴う場合には早めに消化器内科を受診しましょう。

ストレスで胃の左側が痛い原因と対処法

ストレスに伴って胃の左側の痛みが起こった場合には、胃・十二指腸潰瘍や虚血性大腸炎などが疑われます。痛みが強い場合、血便や黒色便が出る場合には早めに消化器内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「胃の左側が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識が遠のく、ふらつく症状を伴う腹痛の場合は、消化器内科へ

胃・十二指腸潰瘍からの出血が多い場合には出血性のショックを起こす場合があります。この時には血圧が低下し、意識がぼーっとしたり、ふらつきが強くなります。このような症状がある場合には早急に消化器内科もしくは救急外来を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「胃の左側が痛い」のセルフチェック法

• 黒色便の症状がある場合
• 血便の症状がある場合
• 意識が遠のいたり、ふらつく症状がある場合
• 高熱の症状がある場合
• 食事がとれない症状がある場合
• 腹痛が強く、少しでも動くとおなかに響くような症状がある場合

これらの症状がある場合には、早めの処置が必要な可能性があります。消化器内科を受診しましょう。

「胃の左側が痛い」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胃の左側が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

膵炎

膵臓は胃の背中側に横たわっている臓器です。膵炎とは、膵臓が病的に活性化された膵酵素によって炎症を起こしている病気です。膵炎には急激な炎症が起こり、みぞおちや背中などに強い痛みが起こる急性膵炎と持続的に膵臓の炎症が起こり膵臓の細胞が徐々に破壊されて、繊維化して固くなっていく慢性膵炎があります。 膵炎の症状は、食後や飲酒後のみぞおちや背中の痛みです。強い痛みを起こすことも多いです。また、重症膵炎では血圧が低下し、ショック状態となり命にかかわることもあります。早めに受診することが大切です。膵炎を疑った場合、早急に消化器内科を受診しましょう。

膵臓がん

膵臓がんは膵臓にできたがんであり、多くは膵管の細胞から発生します。膵臓がんは初期では症状はほとんど出ません。進行して初めて腹痛や背部痛、黄疸などの症状が出ます。また、膵がんとなると急に糖尿病を発症したり、血糖値のコントロールが悪化したりすることもあります。膵臓がんは初期では症状が出にくく、発見がしづらいがんです。しかし、進行した膵臓がんはいまだに生存率が悪いです。早期に発見することが非常に大切です。

憩室炎（下行結腸）病気・疾患

大腸憩室の保有者は欧米で多く、日本では少ないです。しかし、近年大腸憩室保有者は増加傾向にあります。また、50歳未満での大腸憩室保有者では７割以上が右側結腸にありますが、年齢が上がるとともに左側結腸の割合が増えます。70歳以上では左側結腸の憩室が6割と左側が優位です。日本で大腸憩室の保有者の出血率は10年で1割程度であり、憩室炎はその約3倍程度あると考えられます。大腸憩室炎の危険因子として喫煙や肥満が挙げられます。憩室からの出血を繰り返したり、場合により感染を併発し穿孔を起こしたりすることもあり、注意が必要です。便潜血で陽性を認めたり、腹痛が起こったりする場合には消化器内科で相談をしましょう。

下行結腸がん

大腸がんが下行結腸に生じると、左側の腹痛が起こることがあります。また、下行結腸のがんが大きくなると便が通過しにくくなり、便秘・下痢などの通過異常がみられやすいです。便通異常は上行結腸や横行結腸よりも下行結腸やS状結腸での大腸がんの方が起こりやすいと言われています。また、さらにがんが大きくなると便が通過できなくなり腹痛や腸閉塞を起こすこともあるため注意が必要です。左側の腹痛やガスが多い、下痢や便秘などの便通異常が伴う場合には大腸がんの可能性もあるため消化器内科で相談してみましょう。

虚血性腸炎

虚血性腸炎は大腸の血流障害によって引き起こされる病気です。50歳以上で好発し、便秘やストレス、生活習慣の乱れなどで起こると言われていますが、原因ははっきりとわかっていません。症状は突然起こった左側の腹痛の後の、下痢と血便が特徴的です。好発部位は大腸の脾湾曲部から下行結腸にかけてと、S状結腸です。このため、左側、特に左下腹部で腹痛が起こることが多いです。炎症が強い場合には、入院して絶食・点滴での治療を行います。腹痛に続き、下痢、血便などがみられた場合には、消化器内科を受診して相談しましょう。

「胃の左側が痛い」時の正しい対処法は？

胃の左側が痛い場合には、さまざまな病気が考えられます。それぞれの病気により対応が異なりますが、痛みがある場合には無理をして食事を摂らず、水分やスポーツ飲料などで様子を見ましょう。みぞおちに近ければ胃や十二指腸の潰瘍の可能性もあり、市販の胃薬をまず飲んでみても良いでしょう。また、下痢など伴う場合には整腸剤を内服してみましょう。いずれにしても症状が持続する場合には、消化器内科を受診して相談することが勧められます。

まとめ　胃の左側の痛みが持続する場合には消化器内科へ

胃の左側の痛みが認められる場合には、さまざまな病気が考えられます。胃・十二指腸潰瘍や膵炎、膵臓がん、憩室炎、虚血性腸炎、感染性腸炎、炎症性腸疾患、大腸がんなど症状のみでは区別がつきにくいです。症状が持続する場合、強い痛みがある場合には消化器内科を受診して相談をしましょう。

「胃の左側が痛い」で考えられる病気

「胃の左側が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 左の上腹部が痛む場合にはさまざまな病気が考えられます。症状のみでは区別がつきづらいです。症状が持続する場合には消化器内科を受診しましょう。

「胃の左側が痛い」に似ている症状・関連する症状

「胃の左側が痛い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 胃の左側が痛いだけではなく上記の様な症状がある場合には消化器系の病気の可能性が強いです。特に痛みの症状が強い場合や、血便や黒色便、めまいなどが起こる場合には早めに消化器内科を受診しましょう。