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「お腹がすいて眠れない」ときの対処法はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

「お腹がすいて眠れない」ときの対処法はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!
お腹がすいて眠れない時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?メディカルドック監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「お腹がすいて眠れない」原因と対処法

お腹がすいて眠れない時が誰しもあるのではないでしょうか。おなかがすいて眠れない現象は、どうして起こるのでしょうか。 さまざまな原因で血糖値が下がり、お腹がすくことがあります。血糖値が下がり、血糖値が低くなると、体内で血糖値をあげるために交感神経が優位となりアドレナリンが分泌されます。このために、体は興奮状態となり目が覚めてしまい、眠れなくなると考えられます。

お腹がすいて眠れない原因と対処法

お腹がすいて眠れない原因として、血糖値が下がっている可能性が考えられます。血糖値が下がると前述のように交感神経の働きが活発となり、心拍数が増加し目がさえてきます。血糖値が下がる原因はそれぞれです。病気でなくとも、夕食をとるのが早く就寝まで時間が空いた場合、血糖値が低くなりお腹がすくことも少なくありません。また、病気や飲んでいる薬の影響で低血糖となる事もあります。 このようにお腹がすきすぎて眠れない場合、カロリーが少ない温かい飲み物(白湯や豆乳、牛乳など)を飲んでお腹を少し満たし、暖かい飲み物でリラックスすると少し交感神経の働きが落ち着き眠りやすくなる可能性があります。また、それでも眠れない時には軽食をとっても良いでしょう。眠る前ですので、あまり多く食事を摂ってしまうと太ってしまったり、生活習慣病を発症したりする危険性もあるため気をつけましょう。消化のよいお粥や雑炊、バナナなどを少しだけ食べてみることをお勧めします。

ダイエット中でお腹がすいて眠れない原因と対処法

ダイエット中は、食事を制限しているためお腹がすいていることが多いです。お腹がすきすぎて眠れない時には、交感神経の働きを落ち着かせるためにリラックスすることが大切です。ぬるめのお湯につかって体を温めること、ストレッチやマッサージをすること、カロリーが少ない温かい飲み物を飲んでみることも良いでしょう。このような方法でお腹がすいている状態が落ち着き、眠れるようであれば一番良いです。それでもお腹がすいて眠れない場合には、カロリーが少ないお粥や雑炊などでお腹を満たしましょう。お腹がすいたからと言って、多く食べてしまうとダイエットは成功しません。お腹がすくことに慣れなければ、ダイエットの成功には結びつかないため気をつけましょう。

すぐに病院へ行くべき「お腹がすいて眠れない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識が遠のく、視野がかすむな症状の場合は、糖尿病内科へ

お腹がすいて眠れない症状に加え、動悸や手の震え、発汗が著明となり、まためまいや頭がぼーっとして、目がかすむ症状がある場合、重度の低血糖を起こしている可能性があります。空腹以外に他の症状が現れた場合、低血糖の症状が進んでいる可能性もあるため、まず糖分を少し取り症状が回復するか様子を見ましょう。また、重度の低血糖の症状が疑われたり、頻回に症状が現れる場合、糖尿病内科を受診して相談してみましょう。

「お腹がすいて眠れない」症状の特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「お腹がすいて眠れない」症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

低血糖

低血糖とは、血糖値が70mg/dL以下、または血糖値70〜90mg/dLでも典型的な低血糖症状があるものをいいます。典型的な低血糖の症状は空腹感、冷汗、手の震え、生あくびなどです。重度になると、目のかすみ、頭痛、意識障害をきたします。 この低血糖は糖尿病の治療の過程で起こることが多いですが、他の病気でもみられることがあります。低血糖症状がみられた場合、まずブドウ糖など糖分を含む食品を摂ってみましょう。症状が改善する場合には、低血糖の可能性が高いです。このような低血糖症状が持続する場合、また頻回に低血糖症状が起こる場合には早めに主治医もしくは内科・糖尿病内科を受診しましょう。 目のかすみや、意識障害など重度の症状が起こり、糖分の摂取をしても改善がない場合には救急外来を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病とは、インスリンの作用不足による慢性的に高血糖が続く病気です。糖尿病の治療の基本は食事療法や運動療法を行い、生活習慣を見直すことです。それでも血糖値の改善がみられない場合には、内服治療や注射剤を用いて治療します。これらの治療は、血糖値を下げる効果のある薬剤を使用するため、血糖値が下がりすぎてしまい低血糖を起こす場合があります。また、薬剤が原因ではなくとも、一度に過度のカロリーを摂りすぎたり、糖質を急に多く摂りすぎたりすると一気に血糖値が上昇します。そうすると、血糖値の上昇に反応してインスリンが急激に上昇し、血糖値を過度に下がるのです。これが、反応性の低血糖です。 このような状況が夕食後に起こり低血糖が誘発されると、寝る前にお腹がすいて眠りにくくなることも考えられます。

インスリノーマ

膵臓にできる腫瘍のうち、ホルモンの異常産生をきたす内分泌腫瘍は約2%程度です。このうち最も多いのがインスリノーマです。インスリノーマは乳幼児から高齢者まで幅広くみられ、やや女性で多い傾向にあります。インスリノーマの典型的な症状のWhipple三徴は①空腹時、運動時の中枢神経症状②発作時の血糖値50mg/dL未満③ブドウ糖投与による急速な回復です。インスリノーマは慢性化すると、体重増加、記憶障害、知能低下をきたします。また、インスリノーマは低血糖症状を頻回に起こすことがあります。何度も低血糖の症状がみられる場合には、早めに内科・代謝内分泌内科を受診しましょう。

薬剤性低血糖

薬の中には低血糖を起こしやすいものがあります。糖尿病治療薬の頻度が一番多いですが、そのほかの薬にも低血糖を起こす可能性がある薬剤もあり、内服している方では注意が必要です。抗不整脈薬の一部、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、非定型抗精神薬、ニューキノロン系・ST合剤・クラリスロマイシン・第三世代セフェム系などの抗生剤では低血糖の副作用が報告されています。これらの薬剤を内服中で、低血糖の症状が何度もみられる場合には、処方医に相談をしてみましょう。

夜間摂食症候群

夜間摂食症候群とは、午前中の食欲低下、夜間の過食、不眠を特徴とする病気です。ストレスや減量の不成功などを契機に発症すると言われています。夜間摂食症候群の特徴として、夜間に眠れず、何かを食べ始めるとやめられないという摂食行動が挙げられ、食べることが睡眠の維持に必要であることが特徴です。夜間に食事制御が困難になる病気ですが、睡眠関連摂食障害と異なり、食べたことを覚えています。この病気を治療するためには、まず病気であることを自覚することが大切です。その上でストレスを発散し、リラックスできるように工夫してみましょう。また、症状が続き、睡眠が十分とれない場合には心療内科や精神科で相談をしてみましょう。

寝る前に食べて良いもの・控えた方がいいもの

食べて良いもの

どうしてもお腹が減って眠れない場合には、少し飲食をしておなかを満たしてみましょう。しかし、寝る前ですので食べるものには気を付けるべきです。寝る前に食べてよいものは、なるべくカロリーが少ないもの、消化の良いもの、カフェインなどの刺激物が少ないものが良いでしょう。例えば、お粥や雑炊、小さいパンやバナナなどの消化の良いものでカロリーが少ないものを少し食べてみましょう。トリプトファンというアミノ酸は脳に運ばれ、セロトニンという脳内物質に変換されます。セロトニンは、脳や体をすっきり目覚めさせる働きがあります。また夜間にかけてセロトニンはメラトニンというホルモンへ変換され、睡眠のサイクルを正常化させます。トリプトファンは乳製品や大豆製品に含まれます。寝る前に食べるものとしては、温めた牛乳や豆乳、ヨーグルトやチーズやナッツを少量食べることも良いでしょう。

控えた方がいいもの

ひかえた方が良いものとしては、消化の悪いものです。脂っぽいものや、硬くて消化にわるいものはなるべく控えた方が良いでしょう。また、辛い物などの刺激物も控えましょう。また、カフェインを含む食品は、目がさえて眠りにくくなるため、寝る前には避けた方が良いです。コーヒーや紅茶、エナジードリンク、チョコレートなどはカフェインを含むため控えましょう。

「お腹がすいて眠れない」症状の正しい対処法は?

お腹がすいて眠れない時には、まず白湯や温かい牛乳や豆乳などを飲んでお腹を少し満たしてみると良いと思います。また、消化の良いものを少量食べてみるのも良いでしょう。また、リラックスするためにぬるめのお風呂に入ったり、ストレッチやマッサージをすることも気落ちを落ち着かせ、交感神経の活動を抑える働きがあります。このようにして、気分を落ち着かせることも大切です。

「お腹がすいて眠れない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹がすいて眠れない」症状についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

空腹だと眠れない理由について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

空腹ですと血糖値が下がります。血糖値が下がると、体が血糖値をあげようとして交感神経の働きが活発となります。交感神経が優位に働くと、脈が速くなり、興奮状態となり、目がさえてしまい眠りにくくなるのです。

まとめ お腹がすいて眠れない症状は、低血糖かも。何度もみられる場合には内科受診を

お腹がすいて眠れない時、血糖値がさがっているもしくは、血糖値が下がりすぎて低血糖を引き起こしている可能性が高いです。夕食から就寝までに時間があいていたり、夕食が過食になり反応性に血糖値が下がることで低血糖が引き起こされていたりする可能性が、考えられます。また、さらに血糖値が下がりすぎて低血糖になる場合は、病気や薬の影響も考えられます。食事を見直すこと、またどうしてもお腹が減った時にはまずは白湯や温めた牛乳や豆乳などを飲んで様子を見てみましょう。それでもお腹が満たされない場合、カロリーが少ないもので消化の良いものを食べて少しお腹を落ち着かせることも良いでしょう。低血糖の症状が夜に何度もみられる場合には病気や薬剤などの影響もあるため、内科や糖尿病内科を受診して相談をしてみましょう。

「お腹がすいて眠れない」で考えられる病気

「お腹がすいて眠れない」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内分泌系の病気

精神科系の病気

  • 夜間摂食症候群

内科系の病気

  • 薬剤性低血糖
おなかがすいて眠れない症状は、ダイエット中などや食事などの乱れなどで血糖値が下がっている可能性が高いですが、上記の様な病気が隠れている可能性もあります。何度も低血糖症状が起こる場合には、早めに内科・導尿病内科を受診しましょう。

「お腹がすいて眠れない」に似ている症状・関連する症状

「お腹がすいて眠れない」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状は低血糖の時にみられることが多いです。このような症状が何度も起こる場合には、病気が隠れている可能性があります。内科や糖尿病内科を受診して相談をしてみましょう。

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