目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 胃・腸・肛門
  4. 「食べ物が飲み込みにくい」のを治すには?症状別の対処法を医師が徹底解説!

「食べ物が飲み込みにくい」のを治すには?症状別の対処法を医師が徹底解説!

「食べ物が飲み込みにくい」のを治すには?症状別の対処法も医師が徹底解説!

食べ物が飲み込みにくいを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

プロフィールをもっと見る
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

目次 -INDEX-

「食べ物が飲み込みにくい」症状で考えられる病気と対処法

食事を食べるとき、口の中に入れられた食べ物を舌や頬を使ってのどに送り込み、飲み込んで、食道を経て胃に送り込む一連の動作を嚥下といいます。食べ物が飲み込みにくいと感じた場合、これらの一連の動作の中の不具合が起こっている可能性があります。
一概に「食べ物が飲み込みにくい」といっても、不具合の原因はさまざまです。今回は、「食べ物が飲み込みにくい」と感じたときに考えられる原因について解説をいたします。

中高生で食べ物が飲み込みにくいの症状で考えられる原因と対処法

食べ物が飲み込みにくい症状は、高齢者と比較すると中学生や高校生の若者では起こりづらいです。しかし、中高生でも食べ物が飲み込みにくい症状がみられることもあります。多い病気としては、咽喉頭異常感症が挙げられます。この病気は、のどに詰まっているような感じがあるけれども、検査を受けてもはっきりとした病気が見つからない病態です。違和感の原因はストレスや疲労によって、喉の筋肉が緊張する事によるものと考えられています。しかし、この咽喉頭異常感症は症状のみでは他の病気と区別がつきづらいため、症状が強かったリ、持続する場合にはのどの病気や食道の病気、神経疾患などが無いかを受診して相談しましょう。中高生で食べ物が飲み込みにくいという症状がある場合には、内科もしくは耳鼻科でまず相談することをお勧めします。また、検査をしても異常がない場合には、ストレスなどが原因であることも多く、心療内科や精神科での治療を行うこともあります。

違和感があり食べ物が飲み込みにくいの症状で考えられる原因と対処法

のどや胸に違和感があり、食べ物を飲み込みにくい症状の場合、さまざまな病気が考えられます。
まず、のどや食道に炎症が起こっている可能性があります。咽頭炎や胃食道逆流、食道炎などが挙げられます。風邪などによる咽頭炎であれば1~2週間程度で改善しますが、そのほかの病気である場合は症状が強かったリ、長引くことが多いです。
のどや食道の狭窄があり、違和感がある場合もあります。のどや食道の腫瘍によるもの、異物などが考えられます。症状が1週間以上と長く持続する場合には、検査をお勧めします。消化器内科もしくは耳鼻咽喉科で相談をしてみましょう。
また、精神的なストレスで咽頭の違和感が持続する咽喉頭異常感症の可能性もあります。まずは、受診して相談をしてみましょう。
受診をする前には、刺激物を避け、柔らかいものや消化に良いものを食べて様子を見るのが良いでしょう。全く食事がとれない状態であれば、早急に医療機関を受診するべきです。

痛みがあり食べ物が飲み込みにくいの症状で考えられる原因と対処法

痛みがあり、食べ物が飲み込みにくい場合には、咽頭炎、扁桃腺炎、急性喉頭蓋炎や食道炎などの炎症の可能性があります。そのほかには、食道アカラシアでも胸痛がみられることもあり、のどや食道の異物についても異物の形状によっては痛みが起こります。痛みが強い場合、高熱を伴う場合などは早急に医療機関を受診しましょう。のど周囲の痛みであれば耳鼻科の受診がお勧めです。また、痛みが持続する場合には異物や食道アカラシアなどの病気の可能性があり、のどであれば耳鼻咽喉科、前胸部辺りの痛みであれば消化器内科を受診して相談しましょう。

吐き気があり食べ物が飲み込みにくいの症状で考えられる原因と対処法

吐き気があり食べ物が飲み込みにくい症状の場合には、胃酸が逆流することによっておこる胃食道逆流症や下部食道括約筋の機能異常により収縮し、食物が胃に送られにくくなる食道アカラシアなどが考えられます。
胃食道逆流症の場合には、食べ過ぎや早食いを避け寝る前3時間程度は飲食をしないように気を付ける事でも症状が軽減することがあります。また、肥満を伴う場合には肥満により腹圧がかかることで胃酸の逆流をきたしているため、減量することも対処法の一つです。これらに気を付けても症状が改善しない場合には、消化器内科を受診して相談をしましょう。
食道アカラシアは非常に稀な病気ですが、発症すると飲食物が食道内に滞ってしまうことでつかえ感や吐き気、嘔吐、胸痛などの症状が認められるようになります。内視鏡検査のみでは発見できないことも少なくありません。症状が持続する場合には、消化器内科を受診して相談をしましょう。

アレルギーで食べ物が飲み込みにくいの症状で考えられる原因と対処法

花粉や食物などのアレルギーが原因でのどの粘膜に炎症が起こり、唇やのどが腫れたり、飲み込みにくくなる、息苦しくなることがあります。咽喉頭アレルギーと呼ばれ、軽いものではうがいをしたり、抗アレルギー薬を内服します。しかし、症状が強い場合にはアナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。かゆみや息苦しさ、唇などの腫れを伴う場合には無理に食事を摂らず、うがいをして改善するか様子を見ましょう。過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある場合で、エピペン注射や指示薬を持っている場合には指示に従いましょう。また、症状が治まらない場合には救急車を呼ぶ事をお勧めします。
また、アレルギー反応が食道や胃腸に慢性炎症を引き起こし、これが原因となって食道や胃腸の正常な機能が障害され引き起こされる好酸球性食道炎という病気もあります。胸痛、胸やけ、嚥下障害などが見られ、他の病気との区別がつきづらいです。喘息などのアレルギー疾患を合併する頻度が高いことが分かっています。症状が持続する場合には消化器内科で相談をしましょう。

すぐに病院へ行くべき「食べ物が飲み込みにくい」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

息苦しさを伴う症状の場合は、救急外来、アレルギー科へ

食べ物が飲み込みにくい症状が現れる病気はさまざまです。この中でも、緊急性を要する病気として、扁桃炎が悪化し起こる扁桃周囲膿瘍(扁桃周囲炎)や急性喉頭蓋炎では症状が悪化しやすく注意が必要です。のどの周囲の痛みが強く、発熱を伴い息苦しさを伴うような状況では至急に耳鼻科を受診しましょう。
また、アレルギー症状による、のど周囲の腫脹、咽喉頭アレルギーの場合、軽度であれば抗アレルギー薬などで様子を見ることもできますが、息苦しさを伴う場合には気道の腫れを伴い、アナフィラキシーショックへ進展する可能性もあります。アレルギーに伴い息苦しさを伴う場合には救急外来を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「食べ物が飲み込みにくい」ときのセルフチェック法

・食べ物が飲み込みにくい以外に高熱を伴う場合
・食べ物が飲み込みにくい以外に息苦しい症状がある場合
・食べ物が飲み込みにくい以外に強い痛みの症状がある場合
これらの症状がある場合には、至急の受診を検討しましょう。

「食べ物が飲み込みにくい」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「食べ物が飲み込みにくい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

嚥下障害

物を食べたり、飲んだりする際にのどや胸につかえる感じや不快感があり、食べる・飲み込むという動作がうまくいかないことを「嚥下障害」といいます。嚥下障害は、病気の名前ではなく、さまざまな病気から起こる、状態のことを指します。
嚥下障害の原因は、次のようなことが挙げられます。

    ・精神的なストレス:咽喉頭異常感症など
    ・嚥下させる神経の障害:脳卒中、食道アカラシア
    ・のどや食道などの炎症:咽頭炎、胃食道逆流症、食道炎(感染や薬剤性など)
    ・のどや食道の狭窄:腫瘍(良性、悪性)、食道憩室、異物
    ・嚥下する筋肉の衰え:加齢による嚥下障害

特に、高齢者での嚥下障害は誤嚥性肺炎の原因となり、注意が必要です。嚥下の時のつかえる感じやむせ込みなど症状が認められた場合、耳鼻咽喉科や内科で相談をしてみましょう。

逆流性食道炎

胃食道逆流症(GERD)は、胃の中の胃酸が食道に逆流することにより胸やけや、呑酸(すっぱい液が上がってくる感じ)などの症状が認められ、食道の粘膜がただれる病気です。このGERDは、①食道のただれ(食道炎)がなく、自覚症状のみある非びらん性胃食道逆流症と、②食道のただれ(食道炎)がある逆流性食道炎に分けられます。
逆流性食道炎は、以前は欧米と比較し日本で少ないと言われていましたが、近年は増加傾向です。逆流性食道炎は、ピロリ菌の感染率の低下、肥満などの腹圧の上昇が影響しているといわれています。また、食べ過ぎや早食い、高脂肪食、食後すぐに横になる事などの生活習慣も影響しています。逆流性食道炎が起こると、胸やけなどの不快感が起こり生活の質が落ち、逆流性食道炎が食道がんの原因となることもあります。胸やけなど症状がある場合には、消化器内科を受診しましょう。

非びらん性胃食道逆流症

GERDのうち内視鏡検査で食道に炎症を認めないものを非びらん性胃食道逆流症(NERD)といいます。NERDの方は、食道炎がないにも関わらず、胸やけなどの自覚症状がみられることも多いです。逆流性食道炎と同様に胸やけや呑酸などの症状や、胸の痛みとして感じる方もいます。対処法としては、逆流性食道炎と同様に、食べ過ぎや早食い、高脂肪食を控え、減量、食後3時間程度は横にならないなど生活習慣を改めることです。それでも症状が持続する場合には、胃酸分泌抑制薬を使用することもあります。
症状が持続する場合には、消化器内科を受診しましょう。

ウイルス性食道炎

健康な方が食道感染症を起こすことは稀ですが、免疫力が低下した状態では単純ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルス感染によるウイルス性食道炎を起こすことがあります。例えば、HIV感染者、臓器移植後などの易感染性の状態が考えられます。また、糖尿病患者や吸入ステロイド使用などもリスクとして挙げられるため注意が必要です。症状は、飲み込みにくさ、嚥下痛などです。診断は、内視鏡検査と細胞診や生検検査を行い、原因ウイルスを同定します。原因となるウイルスが特定されれば、これに対する抗ウイルス薬の投与を行って治療を行います。
症状は飲み込みにくさや嚥下痛などであり、他の病気との区別がつきづらいです。これらの症状がある場合には、消化器内科を受診するか、HIV感染や臓器移植など行い免疫不全状態がある事が分かっている場合には、主治医に相談をしましょう。

食道アカラシア

食道アカラシアとは、食道と胃のつなぎ目の下部食道括約筋の機能が障害される病気です。下部食道括約筋が、ものを飲み込んでも収縮したままで緩まないため、胃に食べ物が送られずいつまでも食道内にたまってしまいます。このため、物を飲み込みにくい、使える感じがする、吐いてしまうといった症状や、食道の異常収縮のために胸が痛いと感じ、心筋梗塞と間違えられることもあります。
食道アカラシアは、10万人に1人程度の非常に稀な病気です。食道アカラシアの原因は食道や下部食道括約筋の神経細胞の変性が原因ですが、変性を起こす原因については現在のところよくわかっていません。物の飲み込みにくさや頻繁な嘔吐など症状がある場合には消化器内科でまず相談をしましょう。

「食べ物が飲み込みにくい」の正しい対処法は?

食べ物が飲み込みにくい症状がある場合には、スープなど液体状になっている食べ物や柔らかい食べ物を食べ、受診するまでは無理をして固形物を食べないようにしましょう。発熱し、のどが渇く場合には、水分を少量ずつ摂取し、脱水とならないようにしましょう。
息苦しさなどを伴う場合には、無理をして食べず、早急に病院を受診しましょう。

「食べ物が飲み込みにくい」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「食べ物が飲み込みにくい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

「食べ物が飲み込みにくい」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「食べ物が飲み込みにくい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

食べ物が飲み込みにくくなる原因は何ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

食べ物が飲み込みにくくなる原因はさまざまです。のどや食道の炎症、のど、食道の狭窄、嚥下する神経の障害、嚥下する筋肉の衰えなどが原因となり飲み込みにくくなることがあります。また、検査をしても異常がない咽喉頭異常感症という病態もあり、ストレスで起こると言われています。

食べ物を飲み込む力が弱くなるのは何が原因ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

食べ物の飲み込む力が弱くなる原因として最も多いのは加齢による筋力低下です。高齢となると全身の筋力低下が認められることがあります。食べ物を飲み込むための筋肉も同じように筋力が低下するためうまくのみ込めなくなり、むせやすくなり、また誤嚥の原因となります。

食べ物が飲み込みにくいのは病気ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

食べ物が飲み込みにくい症状が出た場合、異常がないにもかかわらずストレスにより違和感が出る咽喉頭異常感症という病状の可能性もあります。しかし、そのほかの場合には何かしらの原因がある事が多いです。耳鼻咽喉科もしくは消化器内科を受診して相談しましょう。

まとめ 食べ物が飲み込みにくい場合には、耳鼻咽喉科もしくは消化器内科を受診

食べ物が飲み込みにくいという症状が出た場合、考えられる症状はさまざまです。高熱がある場合、呼吸困難を伴う場合、食事が全くとれない状態が続く場合には早急に病院を受診することをお勧めします。のどに近い症状が中心であれば、耳鼻咽喉科、胸やけなど伴い食道などの原因が考えられる場合には消化器内科を受診すると良いでしょう。

「食べ物が飲み込みにくい」症状で考えられる病気

「食べ物が飲み込みにくい」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科系の病気

  • 急性喉頭蓋炎
  • 扁桃腺炎
  • 咽頭・喉頭がん
  • 咽喉頭アレルギー

消化器系の病気

神経系の病気

内科系の病気

  • 加齢

食べ物が飲み込みにくいという症状はさまざまな病気で起こり得ます。症状が持続する場合には、まず耳鼻咽喉科もしくは消化器内科を受診しましょう。

「食べ物が飲み込みにくい」に似ている症状・関連する症状

「食べ物が飲み込みにくい」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

食べ物が飲み込みにくい症状と一緒に高熱や息苦しさを伴う場合には早めに病院へ行きましょう。また、食事が取れない症状が数日続く場合にも病院を受診することをお勧めします。のどの症状が中心であれば耳鼻科、そうでなければ消化器内科を受診するとよいでしょう。

この記事の監修医師