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「お腹にしこりがある」のは何が原因?考えられる病気について医師が徹底解説!

お腹にしこりが出来た時、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

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「お腹にしこり」症状で考えられる病気と対処法

お腹に何らかの膨らみがある時、お腹にしこりがあると感じることがあります。お腹にしこりがある際には、腹壁ヘルニアをはじめ、いろいろな原因が考えられます。便秘など、特に治療を必要としないような場合もありますが、早目に病院を受診した方がよい病気であることもあります。今回の記事では、「お腹にしこり」がある場合に考えられる原因や、対処法、そして何科を受診すべきかについて解説します。

お腹にしこりがあり触ると痛い症状で考えられる原因と対処法

お腹にしこりができ、触ると痛い場合、急性の炎症や感染症が原因であることが考えられます。例えば、お腹の皮膚の内側にできた粉瘤(ふんりゅう;アテロームともいいます)に感染が伴った炎症性アテロームなどが原因となることがあります。痛みを伴うしこりは、速やかに診察を受ける必要があります。 症状が現れた場合は、冷やすことで炎症や痛みを一時的に緩和できることがあります。しかし、自己判断での処置は避け、特に強い痛みや赤み、熱感を伴う場合には、早めに皮膚科や外科を受診するようにしましょう。

産後お腹にしこりがある症状で考えられる原因と対処法

産後にお腹にしこりが現れる場合、産後の回復不全が生じていることも考えられます。産後の回復不全は、産後に子宮が産前の状態に戻らず、悪露(おろ)が溜まり感染が起こりやすく、また体力が戻らないなどの症状が現れます。 産後のしこりは婦人科の受診が必要です。特に、しこりが痛みを伴ったり、発熱があったりする場合は、緊急に受診することが望ましいです。

子どもでお腹にしこりがある症状で考えられる原因と対処法

子どものお腹にしこりがある場合、よくみられるのは便秘です。しかし、ウィルムス腫瘍や神経芽細胞腫、肝腫瘍、リンパ腫などの悪性の腫瘍性疾患(がんのことです)のこともあります。また、腸間膜嚢胞、総胆管嚢胞、といった良性の疾患のこともあります。 その他、腸重積という腸の一部が他の部分に入り込んでしまう状態も考えられます。主に小児、特に2歳未満の子どもに多く見られる疾患です。突然の腹痛や嘔吐、ゼリー状の血便、子どもが不機嫌になり、ぐったりするといった症状がみられる場合には、早急に医療機関を受診しましょう。 子どものお腹にしこりがある場合には、原因を明らかにするためにも小児科を受診することをおすすめします。

子宮近くのお腹にしこりがある症状で考えられる原因と対処法

女性の場合、子宮や卵巣の周辺にしこりを感じることがあり、これは子宮筋腫や卵巣嚢腫、または卵巣腫瘍の可能性があります。特に急激な痛みがない場合は、しこりの大きさや形状を確認し、定期的に観察することが重要です。一方で、放置しておくことは避け、婦人科への受診をおすすめします。特に痛みが強い場合や、しこりが急激に大きくなる場合は、早急な受診が必要です。

お腹に動くしこりがある症状で考えられる原因と対処法

お腹に動くしこりを感じる場合、腸管内のガスや便秘などが原因であることが多いですが、腸管ヘルニアなどの病気が隠れている可能性もあります。 その他、心臓の拍動に合わせて動くしこりがある場合、腹部動脈瘤という病気の可能性もあります。これは、お腹の大動脈が袋のように一部膨らんでしまう病気です。 あるいは、お腹の皮膚の下に柔らかく動くしこりがある際には、脂肪腫であることもあります。 消化器科、あるいは血管外科・循環器内科、皮膚科の受診をおすすめします。特に症状が改善しない場合や、しこりが大きくなる場合は早急に受診してください。

すぐに病院へ行くべき「お腹にしこり」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急に大きくなったり、激しい痛みを伴ったりする場合は、外科へ

お腹にできたしこりが急に大きくなったり、強い痛みを伴ったりする場合は、炎症や腫瘍が悪化している可能性があります。特に、しこりの表面が赤く腫れて熱を持っている場合は、感染症の可能性もあります。考えられる病気としては、以下のようなものがあります。
  • 腹部膿瘍
  • 腸管ヘルニア
  • 急性炎症
  • 粉瘤の感染
外科を受診し、必要に応じて画像診断や血液検査が行われます。炎症が進行している場合は、緊急手術や抗生物質の投与が必要になることがあります。 一方、脈打つしこりがある場合は、循環器科を受診しましょう。しこりが脈打つように感じる場合、腹部大動脈瘤などの動脈の異常が考えられます。特に、しこりが脈動と同調して動いている場合は、すぐに医師の診断を受けることが重要です。緊急度が高いこともあるため、すぐに検査を受け、手術が必要な場合もあります。 しこりと共に体重減少や全身の倦怠感がある場合は、腫瘍内科へ依頼される場合もあります。悪性腫瘍(がん)の可能性があるためです。特にしこりが硬く、徐々に大きくなる場合は注意が必要です。 考えられる病気としては、以下のようなものがあります。
  • 悪性腫瘍(胃がん、大腸がん、膵臓がんなど)
  • リンパ腫
腫瘍内科や消化器科の受診を強く推奨します。がんの可能性がある場合、早期に診断を受けることで、治療の選択肢が広がります。

受診・予防の目安となる「お腹にしこり」ときのセルフチェック法

お腹にしこり以外に発熱や寒気がある場合

感染症のサインである可能性があり、速やかな受診が必要です。

お腹にしこり以外に排便・排尿の異常がある場合

腸閉塞や泌尿器系の問題が考えられます。特に便秘や排尿困難が続く場合は、消化器科や泌尿器科への受診を検討してください。

お腹にしこり以外に皮膚が赤く腫れている場合

しこりが炎症を起こしている可能性が高く、皮膚科や外科での診察が必要です。

「お腹にしこり」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お腹にしこり」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

腹壁ヘルニア

腹壁ヘルニアは、腹部の筋肉や組織が弱くなり、その隙間から腸や脂肪が飛び出すことで起こります。立っているときに腹部が膨らみ、横になるとその膨らみが消えるのが特徴です。原因としては、手術後の傷跡、加齢、妊娠、重い物を持ち上げた際の負荷などが挙げられます。 治療は通常、外科手術による修復が必要です。小さいヘルニアの場合は経過観察が行われることもありますが、嵌頓(かんとん)ヘルニア(腸が飛び出し血流が阻害される状態)のリスクがあるため、早めの対応が推奨されます。 膨らみが痛む、急に大きくなる、腸閉塞の症状(腹部膨満や嘔吐など)が現れた場合は、すぐに外科を受診してください。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍で、女性に最も多く見られる腫瘍の一つです。生理の時の出血が多くなったり、月経痛がひどくなったりする症状が主になります。原因は明確ではありませんが、遺伝的な要因やエストロゲンの関与が考えられています。 治療法は、筋腫の大きさや症状の程度に応じて異なります。小さい場合や無症状の場合は経過観察が推奨されますが、症状が重い場合には、薬物療法や手術が選択されます。手術は、子宮を温存する筋腫摘出術や、子宮全体を取り除く子宮全摘術などが考えられます。 子宮筋腫の症状としては、生理痛の悪化や月経過多、貧血、下腹部の圧迫感などがあり、これらの症状が続く場合は婦人科の受診が必要です。特に、急激な出血や貧血がひどくなる場合は、早めに婦人科医に相談することが重要です。

腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤は、大動脈の壁が弱くなり、腹部で異常に膨らんでしまう状態です。通常は高血圧や動脈硬化、加齢などが原因で発症し、動脈の壁が徐々に弱くなることで発生します。症状が現れにくく、健康診断や偶然の検査で発見されることが多いのですが、破裂すると急激な腹痛や背中の痛み、意識消失を引き起こし、命に関わるため注意が必要です。 治療法は瘤の大きさと破裂のリスクに応じて異なります。小さなものは経過観察が行われますが、瘤が5センチを超える場合や、破裂のリスクが高い場合には手術がすすめられます。手術には、開腹手術やステントグラフト内挿術などがあります。 腹部に脈打つしこりを感じる、また検査で大動脈瘤が見つかった場合には、循環器科や血管外科を受診することが勧められます。急激な痛みが生じたなどの破裂が疑われる症状がある場合には緊急対応が必要です。

脂肪腫

脂肪腫は、皮膚の下にできる良性の腫瘍で、脂肪細胞の異常増殖によって生じます。一般的には軟らかく、痛みを伴わないしこりとして触れますが、体のどこにでも発生する可能性があります。原因は不明ですが、遺伝的要因が関与していると考えられています。 治療は基本的に不要ですが、しこりが大きくなったり、痛みや不快感を伴ったりする場合には、外科的に切除することが一般的です。手術は比較的簡単で局所麻酔で行われます。 病院へ行くべきタイミングは、脂肪腫が大きくなり、痛みや炎症を伴う場合です。また、見た目が気になる場合や、しこりが急速に変化する場合も受診を検討してください。皮膚科や形成外科で診察を受けることができます。

粉瘤

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋のような構造物ができ、その中に皮脂や角質が蓄積することによってできたできもののことです。主に顔や背中、首などにできることが多いです。一般的に痛みを伴わないものの、炎症や感染を起こすと腫れて赤くなり、痛みを引き起こすことがあります。 粉瘤の治療法は、炎症や感染がなければ経過観察で済むこともありますが、感染した場合には抗生物質の投与が必要です。また、再発を防ぐためには、外科的に嚢胞全体を摘出することが最も効果的です。局所麻酔で行われる簡単な手術で取り除くことができます。 しこりが大きくなったり、痛みや炎症があったりする場合には、早めに病院での受診が推奨されます。特に感染の兆候がある場合は、速やかに処置を受けることが重要です。粉瘤の診察や治療は、主に皮膚科で行われます。

「お腹にしこり」の正しい対処法は?

しこりが痛みを伴う場合や、炎症が疑われる場合には、冷やしたり、安静にしたりすることで一時的に症状を緩和できることがあります。しかし、自己判断での処置は避け、できるだけ早く医療機関を受診することが推奨されます。お腹にしこりがある場合、早く治したいときは、まずその原因を特定することが大切です。 また、応急処置をしても症状が改善しない場合や、しこりが大きくなったり、痛みが強くなったりする場合は、速やかに専門医の診察を受ける必要があります。特に、腫瘍や炎症が原因である場合、適切な治療を早期に行うことが、症状の悪化を防ぐために重要です。

「お腹にしこり」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹にしこり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

お腹にしこりが出来る病気は何が考えられますか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

お腹にしこりが出来る病気には、脂肪腫、粉瘤、腹部大動脈瘤、腸管ヘルニア、悪性腫瘍などがあります。いずれも発見時には早めの医療機関受診が推奨されます。

腹部を触るとコリコリするのはなぜですか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

腹部を触るとコリコリする際には、脂肪腫や粉瘤、便秘、腸内ガス、腫瘍、リンパ腫などが原因の可能性があります。自己判断せず、医師の診断を受けましょう。

お腹にしこりが出来た時、何科へ行けばいいでしょうか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

症状によって適切な科を選びましょう。腹痛や下痢、血便などを伴う場合には外科や消化器内科・外科、小児科を、皮膚に赤みや痛み、熱感などの感染兆候があれば皮膚科や外科、形成外科を受診しましょう。拍動性のお腹のしこりがある場合には、循環器内科や血管外科を受診しましょう。

まとめ サイズが大きくなったり痛みを伴うお腹のしこりには注意

お腹にしこりがある場合、その原因はさまざまですが、早期発見と適切な対応が重要です。しこりの種類によっては、痛みを伴わない良性のものもあれば、緊急の治療が必要な病気もあります。自己判断で放置せず、異変を感じたら速やかに専門医を受診することが大切です。特に、しこりが急に大きくなる、強い痛みがある、または拍動性のしこりがある場合は、すぐに医療機関で診察を受けるようにしましょう。しこりが気になるときは、医師に相談し、正しい診断と治療を受けることを心がけましょう。

「お腹にしこり」症状で考えられる病気

「お腹にしこり」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

消化器系の病気

皮膚・脂肪組織系の病気

婦人科系の病気

小児科系の病気

  • ウィルムス腫瘍
  • 神経芽細胞腫
お腹にしこりがある病気としては、これらのようにさまざまなものがあります。自己判断をせず、気になるしこりがある場合には医療機関を受診しましょう。

「お腹にしこり」に似ている症状・関連する症状

「お腹にしこり」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

お腹にしこりがある場合には、さまざまな病気が隠れている場合があります。その際には、これらのような症状が現れることもあるので、放置せずに医療機関を受診するようにしましょう。

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