「便秘じゃないのにおならが臭い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
便秘じゃないのにおならが臭い原因とは?Medical DOC監修医が大人・子供別の原因と対処法・おならが臭くなりやすい食べ物・おならが臭くなりやすい人の特徴・考えられる病気・予防する食べ物や対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
関口 雅則(医師)
便秘じゃないのにおならが臭い原因
おならとは、腸内に溜まったガスが直腸から排出されることです。
誰でも、毎日何回かおならやげっぷといった形でガスを排出します。しかし、腸内のガスが多すぎたり異常なにおいを発したりする場合には、消化器の病気の兆候かもしれません。
排便困難と胃痛、そしておならが過剰になったり臭くなったりする場合には、まずは便秘が原因として考えられます。しかし、そうではない原因もあります。ここでは、便秘以外のおならが臭くなる原因について解説します。
腸内細菌の乱れ
腸内には数百兆もの細菌が存在し、これらがバランスを保ちながら消化を助けています。悪玉菌が増加し、善玉菌が減少することで腸内環境が乱れ、臭いの強いガスが生成されやすくなります。
この状態が長期間続く場合や他の症状(腹痛、下痢など)がある場合は、消化器内科を早めに受診しましょう。
食事内容
特定の食べ物(例:高脂肪食品、加工食品、乳製品、豆類)は腸内で消化されにくく、腐敗することで臭いの強いガスが発生します。特に、硫化水素を生成する食品は強い臭いの原因となります。
気になる場合は食事日記をつけて、どの食品が影響しているかを特定します。食事内容を見直しながら症状を観察しましょう。
薬の副作用
おならが過剰に出たり、臭くなったりする原因として、薬の副作用も考えられます。
例えば、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、下剤、抗真菌薬、スタチン系のお薬などがこれに該当します。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(irritable bowel syndorome:IBS)は、腹部の不快感や腹痛が生じるものです。症状は排便または便通の変化にともなって生じ、排便障害を呈する機能性消化管障害の一つです。
特に、腸内のバクテリアが食物を発酵させる過程でガスが生成されるため、食事内容や腸内環境の変化が影響します。
IBSの診断には、他の疾患(炎症性腸疾患、感染症など)を除外するための検査が必要です。症状が長引く場合や、腹痛、血便、体重減少などの他の症状が見られる場合は、早めに受診することが重要です。
乳糖不耐症やセリアック病
乳糖不耐症という食物不耐症は、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化する酵素が不足するために発生します。この結果、消化不良が起こり、臭いの強いガスが生成されます。
食物不耐症が疑われる場合は、まずは牛乳や乳製品を避け、それでも改善しない場合は、専門医に相談することが大切です。アレルギー科、消化器内科を受診しましょう。
また、セリアック病という病気も、臭いおならの原因になりえます。これは、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるグルテンに対する免疫反応によって引き起こされる自己免疫疾患です。セリアック病になると、グルテンを摂取した際に消化器系が過剰反応し、腹痛や過度の膨満感、さらに激しい下痢などの症状が現れます。
このような場合には、グルテンを含むパンやパスタなどの食物を避けることが重要です。グルテンフリーの食事を続けることで症状が改善されることが多いですが、自己判断で行うのではなく、アレルギー科や消化器内科を受診すると良いでしょう。
大人・子供別「便秘じゃないのにおならが臭い」原因と対処法
便秘ではないのにおならが臭い場合、その原因と対処法は年齢によって異なることがあります。ここでは、大人と子供それぞれの場合について詳しく説明します。
大人で便秘じゃないのにおならが臭い原因と対処法
大人の場合、腸内細菌のバランスの乱れ、高脂肪食品の摂取、過敏性腸症候群(IBS)、消化器系のがんなどが原因として考えられます。これらの要因が腸内環境を乱し、臭いの強いガスを生成することがあります。
高繊維の食品やプロバイオティクスを摂取し、食事内容を見直すことが重要です。また、ストレス管理も効果的です。症状が続く場合や他の異常な症状が見られる場合は、消化器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることが必要です。
子供で便秘じゃないのにおならが臭い原因と対処法
子供の場合、乳糖不耐症やセリアック病、腸内細菌のバランスの乱れ、消化器系の感染症が原因として考えられます。これらが消化不良を引き起こし、臭いの強いガスを生成することがあります。
消化に良い食事(果物、野菜、全粒穀物)を心掛け、乳製品の摂取を控えることが効果的です。また、適度な運動も腸の動きを促進します。症状が続く場合や他の症状が見られる場合は、小児科や消化器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることが必要です。
便秘じゃないのにおならが臭くなりやすい食べ物
ここからは、おならが臭くなりやすい食べ物をご紹介します。
豆類
多くの豆は、消化しにくい炭水化物や糖分が豊富です。そのため、豆類を食べすぎると腸内で発酵が起こり、ガスが溜まります。すると臭いおならになることがあります。
豆類には、インゲン豆、黒豆、レンズ豆などがあります。
ブロッコリーやカリフラワー
ブロッコリーやカリフラワーには硫黄を含む化合物が多く含まれており、これが腸内で分解されるときに硫化水素が発生します。硫化水素は腐った卵のような強い臭いを持っています。
乳製品
牛乳、チーズ、アイスクリームといった乳製品も、臭いおならの原因になります。
乳糖不耐症の人々にとって、乳製品は消化不良を引き起こしやすく、腸内でガスを生成します。未消化の乳糖が腸内で発酵し、臭いガスの原因となります。
人工甘味料
ダイエット食品に含まれる低カロリーの人工甘味料が、臭いおならの原因になることがあります。人工甘味料の多くは体内に完全に吸収されず、腸内にとどまってしまいます。その結果、臭いおならが出ることがあります。
加工肉
加工肉には硫酸化アミノ酸が多く含まれています。これが腸内で硫化水素に変化し、臭いおならの原因となります。具体的には、ハムやベーコン、ソーセージなどがあります。食べ過ぎには気をつけましょう。
便秘じゃないのにおならが臭くなりやすい人の特徴
ここでは、便秘でないのにおならが臭くなりやすい人の特徴をご説明します。
高脂肪・高タンパク質の食事を摂りがち
高脂肪・高タンパク質の食事は、腸内で消化されにくく、臭いの強いガスを発生させることがあります。肉類や乳製品がその代表です。
アルコールや炭酸飲料の摂取が多い
アルコール、特にビールは、炭酸とアルコールの両方が含まれているため、腸内でガスの生成を増長させ、臭いの原因となります。
ストレスが多い
ストレスは腸の蠕動運動を乱し、消化不良を引き起こします。これがガスの発生を増加させ、臭いの原因となることがあります。
タバコを吸う
タバコを吸う方は、そうでない方よりも空気を多く吸い込むことになります。
多くの空気を取り込むと、腸内のガスも多くなり、臭いおならに繋がることもあります。
運動不足
運動不足は腸の動きを低下させ、消化不良や便秘を引き起こしやすくします。これにより、ガスが溜まりやすくなります。
「便秘じゃないのにおならが臭い」に関する特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「便秘じゃないのにおならが臭い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)は腸の運動機能が異常となる状態で、腹痛、腹部膨満感、下痢または便秘などの症状を伴います。IBSの原因は明確には分かっていませんが、ストレスや食事、腸内細菌のバランスが関与しているとされています。腸内細菌のバランスが崩れることで、臭いの強いガスが発生しやすくなります。
繊維分の多い食事やプロバイオティクスの摂取、薬物療法(抗コリン薬、抗うつ薬など)が有効です。
症状が日常生活に支障をきたす場合や、症状が長期間続く場合は消化器内科や心療内科の受診が必要です。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患にはクローン病や潰瘍性大腸炎が含まれます。これらは腸管に慢性的な炎症を引き起こし、下痢、腹痛、血便などの症状を伴います。原因は免疫系の異常と考えられています。炎症が進行すると腸内でガスが生成されやすくなり、そのガスが悪臭を放つことがあります。
薬物療法(抗炎症薬、免疫抑制薬、生物学的製剤)、食事療法、手術が行われることがあります。血便、激しい腹痛、体重減少などの重篤な症状がある場合は早急に消化器内科の受診が必要です。
大腸がん
大腸がんは大腸内にできる悪性腫瘍で、早期には症状が現れにくいですが、進行すると便秘、下痢、血便、腹痛などの症状が現れます。原因は遺伝的要因、生活習慣(高脂肪・低繊維の食事、喫煙、飲酒など)が関与しています。腸内の正常な機能が妨げられることでガスが溜まり、臭いの強いおならが発生することがあります。
治療としては手術、化学療法、放射線療法などがあります。早期発見が重要です。
原因不明の便通の変化、血便、持続する腹痛がある場合は早急に消化器内科の受診が必要です。
おならの臭いや腸内環境の改善する食べ物・食生活
それでは、ここではおならの臭いや腸内環境の改善に効果的な食べ物や食生活について解説します。
プロバイオティクス食品
プロバイオティクスは腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があります。これにより、ガスの生成を抑え、臭いの軽減に役立ちます。
ヨーグルト、ケフィア、キムチ、ザワークラウト、味噌などがあります。
食物繊維を含む食品
食物繊維は消化を助け、腸内の有害物質を排出する効果があります。これにより、便通が良くなり、ガスの発生が減少します。
全粒穀物(オーツ、玄米)、果物(リンゴ、バナナ)、野菜(ブロッコリー、ほうれん草)、豆類(レンズ豆、インゲン豆)、きのこなどがあります。
ペパーミントティー
ペパーミントティーは、過剰なおならや臭いおならを減らすために役立つことが期待できます。
便秘じゃないのにおならが臭い場合の対処法
それでは、おならが臭い場合の対処法について解説します。
定期的に運動する
適度な運動は腸の蠕動運動を促進し、ガスの排出を助けます。また、ストレスを軽減し、全体的な消化機能の向上に役立ちます。
毎日30分程度のウォーキングや軽いジョギングを行うことや、ヨガやピラティスなどのリラクゼーション運動も効果的です。
口を閉じてゆっくり飲んだり食べたりする
口を閉じてゆっくり飲んだり食べたりすることで、過剰なガスが腸管のなかに溜まることを防ぐことができます。
早食いはしないように、よく噛んでゆっくりと食べましょう。
特定の食品を控える
臭いの原因となる食品を控えることで、ガスの生成を抑えることができます。
高脂肪食品や加工食品、炭酸飲料、アルコール、乳製品、豆類を控えましょう。
「便秘じゃないのにおならが臭い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「便秘じゃないのにおならが臭い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
がんを発症していると便秘やおならが臭くなるような症状は現れますか?
関口 雅則医師
大腸がんが大きくなると、腫瘍が腸管をふさぐことで便が通過しづらくなり、便秘になることがあります。すると、過剰なおならや臭いおなら、お腹の膨満感が引き起こされることがあります。
おならが硫黄のような臭いがするのですが、原因や対処法について教えてください。
関口 雅則医師
おならが硫黄のような臭いがするのは、主に硫黄を含む食品の摂取や消化不良、腸内細菌のバランスの乱れが原因です。ブロッコリーやキャベツ、ニンニクなどの食品は、腸内で分解される際に硫化水素を生成し、これが臭いの原因となります。消化不良も未消化の食物が腸内細菌によって分解されることで臭いガスが発生します。また、腸内細菌のバランスが崩れると、悪玉菌が増え、臭いガスが生成されやすくなります。
臭いを減少させるためには、まず硫黄を多く含む食品の摂取を控え、ヨーグルトやキムチなどのプロバイオティクスを含む食品を摂取することが効果的です。食物繊維と水分を多く摂取することで消化を助け、便通をスムーズにすることも重要です。
さらに、適度な運動を実践することをお勧めします。これにより腸の動きが活発になり、ガスの排出が促されます。もしこれらの方法で改善しない場合や、他の症状がある場合は、消化器内科の専門医に相談してください。
まとめ
今回の記事では、便秘じゃないにも関わらずおならが臭いという場合に考えられる原因や予防法について解説しました。
緊急性が高い場合は少ないのですが、血便や体重減少といった症状がある場合、がんの可能性も考慮し、医療機関を早めに受診するようにしましょう。
「便秘じゃないのにおならが臭い」で考えられる病気
「便秘じゃないのにおならが臭い」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
代謝・内分泌科の病気
- 糖尿病(腸内環境の変化による)
感染症科の病気
- 腸内寄生虫感染
- 胃腸炎
食物不耐症の病気
- 乳糖不耐症
これらの病気は、腸内環境や消化機能に影響を与え、おならの臭いに変化をもたらす可能性があります。症状が続く場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。
「便秘じゃないのにおならが臭い」に似ている症状・関連する症状
「便秘じゃないのにおならが臭い」と関連している、似ている症状は15個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が併発する場合や、症状が持続する場合は、消化器内科の専門医に相談することをお勧めします。