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「下っ腹が痛い」原因はご存知ですか?考えられる病気・対処法も医師が徹底解説!

「下っ腹が痛い」原因はご存知ですか?考えられる病気・対処法も医師が徹底解説!

下っ腹が痛いのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

岡本 彩那

監修医師
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)

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兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野

「下っ腹が痛い」症状で考えられる病気と対処法

腹痛があるときは胃や腸などの症状を思い浮かべる人は多いかと思います。しかしながらお腹の中(腹腔内)には胃や腸以外にもさまざまな臓器があり、胃や腸以外の症状で腹痛が出ることもあります。ここでは下っ腹(下腹部)が痛い時に考えられる病気について解説していきます。

左側の下っ腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

左下側の腸に感染や炎症が起きている場合は左下腹部の痛みが出ることもあります。症状がひどくなければ数日で良くなることも多いため、水分をしっかりと取り、安静にしましょう。その他、便秘などで便が溜まるとお腹が張ってしまい、違和感、痛みとして感じることがあります。便秘が続くなどであれば、何か隠れている病気がないかの検査や、薬で便のコントロールが必要となる場合もあるので、一度病院を受診してみましょう。
また、大腸の血流が悪くなることに伴う腸炎(虚血性腸炎)では下腹部に痛みが出ることがあります。この場合は血便が出ることもあります。病院を受診しましょう。
胃や腸以外では、尿路結石なども挙げられます。左右の腎臓から膀胱に尿を流す尿管という管が下腹部に向かって通っています。左の尿管に石が詰まった場合には左の下腹部痛が出ることがあります。

右側の下っ腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

右下にある腸に炎症が起きている場合などは右下腹部が痛みます。腸炎であれば症状がひどくなければ水分をしっかりと取り休むことで良くなることが多いでしょう。
また、虫垂は右下腹部に位置するため、その感染・炎症が起きた場合(虫垂炎、いわゆる盲腸)には右下腹部が痛みます。初めはみぞおちやお腹全体の痛みとして現れることも多いのですが、最終的には右側の下腹部が痛みます。
腸の壁の一部が外側にくぼむ憩室というものがありますが、これは右側の大腸にできやすいと言われています。そのため、憩室に炎症がある(憩室炎)場合は右横〜下腹部に痛みが出ることがあります。これらの場合は抗生剤などでの治療が必要となることがあるため、病院を受診しましょう。
その他、左側の下腹部が痛い場合、尿路結石の可能性もあるとかきましたが、右の尿管に石が詰まった場合は右下腹部の痛みとして現れることがあります。

男性で下っ腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

男性の場合は前立腺や精巣上体などに感染、炎症を起こすと下腹部の痛みを引き起こすことがあります。消化器などで異常がないのに症状が続く、悪くなる、原因がわからないなどがあれば一度泌尿器科を受診してみましょう。

女性で下っ腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

女性の場合、下腹部には子宮や卵巣などの生殖器があり、婦人科系の病気である可能性があります。
異所性妊娠の場合、初めは軽い痛みなどで気づかないこともありますが、時間が経ち破裂を起こしかけてしまうと突然の激しい痛みを認めます。破裂してしまうと大出血に伴うショックとなり、最悪死亡してしまいます。すぐに救急車を呼ぶ、救急・婦人科を受診するなどしましょう。突然の下腹部痛であれば卵巣茎捻転などの可能性もあります。一時的に捻じれているだけなら症状も治まりますが、ねじれたままになると血流がなくなり壊死(組織が腐ってしまう)を引き起こします。
その他、子宮内膜症や卵巣、卵管の炎症などでも下腹部痛が起こることがあります。繰り返す痛みなどがあれば一度婦人科を受診してみましょう。

生理前に下っ腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

生理前に起こるチクチクとした痛みの場合は排卵に伴う痛みである可能性があります。そのほか、子宮の収縮による痛みの可能性も考えられます。
ただし、炎症、感染やずっと続く、もしくは繰り返すのであれば子宮内膜症や腫瘍などの可能性もあります。症状を繰り返す、症状がどんどんひどくなる、ずっと続くなどの状態であれば一度婦人科を受診しましょう。

チクチクして下っ腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

お腹がチクチク痛む場合は腸炎などの腸の病気や、女性であれば排卵痛などが考えられます。また、腸の動きに伴う痛みなどでもそのように感じる人はいます。
どのような痛みであるかなどは人によって感じ方が異なりますが、症状が続く、もしくは悪くなっていくようであれば一度病院を受診してみましょう。

すぐに病院へ行くべき「下っ腹が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

血便がある場合は、消化器内科、救急科へ

下腹部の痛みがあり、血便が出ている場合は腸の血流が悪くなる虚血性腸炎になっている可能性があります。その場合は絶食、点滴などでの水分、栄養補給も必要となります。状況にもよりますが、数日間の入院治療が必要となることもあるため、病院を受診するようにしましょう。

歩くと響くような痛みがある場合は、消化器内科、救急科へ

歩くと響くような痛みがある場合はかなり炎症が強く、腸を覆う腹膜という膜にまで炎症が及び、腹膜炎を発症している可能性があります。原因となる病気にもよりますが、抗生剤での治療、場合によっては入院での治療が必要となることもありますので消化器内科や救急を受診しましょう。

突然の激しい下腹部痛などの場合は、救急科へ

突然現れる痛みを認めた場合は尿管や腸、血管など、何かの管が詰まったり、破けたり、ねじれたりしている可能性があります。また、女性で不正性器出血などを伴う突然の強い下腹痛では子宮外妊娠(異所性妊娠)、破裂などの可能性もあります。これらの場合は緊急手術を含めた処置が必要となるため、すぐに救急を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「下っ腹が痛い」ときのセルフチェック法

・お腹が張ったような痛みがあり、便秘が続く、便が細くなる場合
・お腹が張った痛みがあり、吐き気、嘔吐なども認める場合
・突然の激しい痛みを認める場合
・お腹が痛くなり、水分も取れない場合
・数日間症状が治まらずに続く場合、症状がどんどん悪くなっている場合
・発熱などを伴う場合、寒気があったり、意識がもうろうとする場合
・血便がある場合
・腹痛が続き、時折血便も認める場合
・腹痛が続き、下痢も頻回にある場合
・歩いたり、振動があると響くような痛みがある場合
・不正性器出血がある場合

「下っ腹が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「下っ腹が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は腸の動きによって下痢や便秘、腹痛を起こす病気です。この病気で命に関わることなどが起こることはまずありませんが、症状に悩まされることが多く、生活の質は下がってしまいます。
腹痛はみぞおちの部分にも多いのですが、全体に痛みが出たり、便秘によるお腹の張りや、下痢の時に下腹部が痛くなることもあります。基本的に生活習慣の改善、ストレスの除去などを行い環境を整えること、薬を内服することなどにより治療していきます。

慢性前立腺炎

前立腺に感染、炎症が起こると下腹部の痛みが現れることがあります。
前立腺炎には急性・慢性があり、急性の場合は発熱や寒気,全身のだるさなどが現れることがあります。慢性の場合は急性ほど症状が強くなく、症状を繰り返すことがあります。前立腺は尿路の近くにあるため、頻尿や残尿感などの症状を認めることもあります。
細菌感染などが原因となる前立腺炎であれば抗生剤での治療が必要です。泌尿器科を受診しましょう。

異所性妊娠

受精した卵子が卵管など子宮の内側以外の部分にくっついてしまうことを異所性妊娠と言います。この場合、卵子は育つことができず、産婦人科での処置が必要となります。ただし、異所性妊娠を起こしても下腹部の軽い痛みや性器出血などの症状しかなく、気づかないこともあります。このまま気づかずに放置してしまうと、受精した卵子は通常6~16週程度で破裂してしまいます。破裂の前兆として激しい下腹部痛を認めることがありますが、このまま破裂してしまうと大量出血に伴うショックなど、命に関わることがあります。緊急手術などの対応が必要となるため、突然の激しい下腹部痛などがあればすぐに病院受診をしましょう。
予防はなかなか難しいですが、少なくとも自身の生理間隔を把握しておき、何かおかしいと思えばすぐに産婦人科を受診することが大切です。

卵巣茎捻転

子宮から卵巣までつながっている部分がねじれてしまうものです。捻じれが起こった際に痛みが出ますが、ねじれが元に戻れば痛みもよくなります。ねじれたままになると血流がなくなってしまうため、その先の血流がない部分が腐ってしまいます(壊死)。
突然の痛みがあれば病院を受診するようにしましょう。

尿路結石

下腹部痛の原因として尿路結石も挙げられます。腰のあたりに位置する腎臓から、下腹部にある膀胱に向かって尿を流す尿管という管が通っています。尿管は左右にありますが、3か所ほど細くなっている部分があり、下腹部にある細い場所に石が引っ掛かることにより突然の激痛を認めます。
石により痛みがある場合、石が詰まったままだと尿が流れなくなり、溜まった尿により腎臓が悪くなってしまったり、尿が溜まっている部分に細菌が感染し腎盂腎炎や菌血症などの重症感染症などを起こすことがあります。突然の腰背部、下腹部の痛みが表れた場合は病院を受診しましょう。

腸炎

腸炎でも下腹部の痛みを認めることがあります。腸の炎症に伴う痛みはもちろん、下痢などの症状を認める場合には腸の動きに伴う痛みが出ることもあります。
腸炎の場合、しっかり水分を取って休んでいれば数日で良くなることが多いでしょう。しかしながら、炎症が強い場合や感染の原因によっては病院での治療が必要となることがあります。歩いた際にお腹に響くような痛みがある、水分もほとんど飲めないなどの症状があれば病院を受診しましょう。

虫垂炎

虫垂炎、いわゆる「盲腸」は、右下腹部に虫垂があるため右下腹部が痛みます。はじめはみぞおちの痛みとして現れ、徐々にお腹全体に広がり右下に移動し、最終的には右下腹部が痛むという経過が典型的です。虫垂炎の場合は抗生剤での治療が必要となります。放置すると、感染がひどくなって膿を作ってしまったり、腸が破れてしまうことがあります。急な強い痛みが現れる場合などは病院を受診して治療を受けるようにしましょう。

「下っ腹が痛い」の正しい対処法は?

下っ腹が痛いと一言で言っても症状も原因も様々です。腸炎などの痛みであれば水分をしっかりとって休めば通常数日で良くなります。腸炎などであれば市販の整腸剤を飲んでも構いませんが、ロキソニンなどの痛み止めなどは使わないほうが良いでしょう。安易に痛み止めを使用して様子を見てしまうと炎症がひどくなってしまってもわからず、病院に行くのが遅れたりします。
突然の激しい痛みなどがある場合は緊急での対応が必要となる病気の可能性があります。この場合は救急車を呼んでも構いません。すぐに病院を受診しましょう。
また、そこまで症状も強くない、といった場合でも何らかの病気が隠れている可能性があります。症状を何度も繰り返す、何日間も続く、悪くなってくるなどがあれば一度病院を受診してみましょう。何科に行っていいかわからなくても、どこかの科を受診すればその病気にあった科に紹介してもらえます。

「下っ腹が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「下っ腹が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

生理じゃなくても下っ腹が痛いのは原因は何故なんでしょうか?

岡本彩那医師岡本彩那(医師)

下っ腹が痛い場合、生理前であれば排卵の時の痛みである可能性があります。その他にも、腸炎など他の臓器の病気である可能性もあります。症状が続くなら一度病院を受診しましょう。

左側の下っ腹が痛むのは何かの病気でしょうか?

岡本彩那医師岡本彩那(医師)

下っ腹が痛む原因はいろいろとあり、何らかの病気である可能性があります。ただし、便秘や腸の動きなどによる痛みである可能性もあります。症状が続く、繰り返す、徐々に悪くなるようなら一度病院を受診しましょう。

女性の右側の下っ腹が痛い原因はどんなことが考えられますか?

岡本彩那医師岡本彩那(医師)

女性で右下腹部が痛くなる場合は卵巣など女性特有の病気である可能性があります。その他にも、腸炎や尿路結石など、男女関係なく起こる病気である可能性もあります。

まとめ

下っ腹が痛い場合、原因となる病気は様々です。腸炎などの一般的な病気であることもありますが、中には重大な病気が隠れていたり、命に関わるような病気だったりすることもあります。激しい痛みの場合は我慢せず、すぐに病院を受診しましょう。下腹部痛以外にも症状がある場合、症状がひどくなくても長く続いたり、徐々に症状が悪くなる場合も詳しい検査や治療が必要になることがあります。ためらわずに病院を受診しましょう。

「下っ腹が痛い」症状で考えられる病気

「下っ腹が痛い」から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

泌尿器科の病気

婦人科の病気

ご覧のように下腹部(下っ腹)が痛い原因となる疾患はたくさんあります。スペースの都合上全て列挙しておらず代表的な病気の記載にとどめています。

「下っ腹が痛い」と関連のある症状

「下っ腹が痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 腹膜炎症状(歩くと響くような痛みなど)
  • 性器出血

特に血便や歩くと響くような痛み、突然の激しい下腹部痛がある場合には、すぐに医療機関への受診をお勧めします。

【参考文献】
・専門医のための消化器病学 第3版

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