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「夜になると胃が痛い」原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

「夜になると胃が痛い」原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

夜になると胃が痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

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群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「夜になると胃が痛い」症状で考えられる病気と対処法

昼間は気にならないけれど夜になると胃が痛い、と悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。胃が痛い原因はさまざまです。
胃がんなどの重い症状が隠れていることもあります。主な原因や考えられる病気や、何科へ受診すべきか、対処法などについて解説します。

夜になると胃が痛い症状で考えられる原因と対処法

夜はリラックスする時間帯です。副交感神経が有利になり、眠りに入るように促します。そのため昼間には気付かなかった痛みが実感しやすくなります。
「もともと胃にトラブルがあるのに、痛みが鈍くて夜しか気づかない」場合は、初期の胃潰瘍や機能性ディスペプシアなどの可能性があります。
原因は様々で、ストレスや気疲れ、食中毒、喫煙、アルコール、暴飲暴食、刺激物の食べ過ぎなど、日常生活の乱れなどで起こります。これらの自覚があるなら、安静にして不摂生を止めて、胃を休ませましょう。1週間は消化の良いものを食べて、早寝早起きを習慣付けます。それでも胃に違和感があれば、できるだけ早めに消化器内科を受診しましょう。
差し込むような鋭い胃の痛みは、胃潰瘍などの可能性があります。胃がんの場合は自覚症状が乏しいこともありますが、激しい胃の痛み、むかつきや違和感が出ることがあります。どちらも放置しておくと悪化するだけなので、早急に消化器内科を受診しましょう。

夜になると胃が痛く吐き気がする症状で考えられる原因と対処法

吐き気を伴う胃の痛みは、急性胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、食中毒などが考えられます。原因はカフェインの多い飲料やアルコール、消化の悪いもの、刺激の強い食品、鮮度の悪い食品の食べ過ぎがあります。過度な喫煙や薬の副作用で急性胃腸炎を引き起こすことがあります。
食品アレルギーや食品に含まれる細菌やウイルスでも引き起こされます。
「吐く」というのは危険な内容物を取り除くのに有効です。吐いて胃が楽になるなら、安静にして胃を休ませましょう。痛みやむかつき、違和感が取れないときは、翌朝に消化器内科を受診しましょう。
アスピリン、イブプロフェンなど抗炎症薬(NSAIDs)は、胃粘液の分泌を妨げ胃潰瘍を引き起こしやすくなります。NSAIDs胃潰瘍という病気で、胸やけ、嘔吐、胃もたれ、食欲不振などを併発します。吐血、下血が起こることもあるので、これらの薬を長期服用しているなら早急に消化器内科を受診しましょう。

夜になると胃が痛く下痢になる症状で考えられる原因と対処法

胃痛と下痢を併発する時は、ストレス、暴飲暴食による消化不良、体の冷え、食中毒、アレルギー、人工甘味料の過剰摂取などの可能性があります。悩みが頭から離れず症状が出るなら、ストレス軽減を試みましょう。冷えは冷たいものを摂取するだけでなく、飲酒やカフェイン飲料、風に長時間当たるなどでも起こります。特に、筋肉量が少ない女性は冷えやすいので、夏場でも足首にレッグウォーマーを当てる、腹巻をするなど冷え対策をすることをおすすめします。人工甘味料は消化しない成分があり、多量に摂取すると腹痛と下痢を起こすことがあります。
一度の下痢で症状が和らぐなら、安静にして水分摂取しましょう。ただの水ではなく、スポーツドリンクなど電解質の水分を摂取して、脱水を防ぎましょう。
下痢が続く、胃痛が収まらないときは翌朝に消化器内科を受診することをおすすめします。
急に息が苦しくなるなど、急性アレルギー症状が出た時は、迷わず救急車を呼んで下さい。

妊娠初期に夜になると胃が痛い症状で考えられる原因と対処法

内関

妊娠初期はつわりに悩まされる女性が多いのですが、つわりで夜になると胃が痛い症状が出ることがあります。原因は自律神経の乱れや逆流性食道炎が考えられます。妊娠中に多く分泌される女性ホルモン、プロゲステロンのはたらきで胃腸の動きが鈍ることで引き起こされます。
プロゲステロンは排卵後に分泌されるホルモンで、妊娠の維持に欠かせません。体温を上げ、眠気を引き起こし、母体が安静になるように促します。消化器官の動きが鈍るため、消化不良や吐き気、便秘を引き起こし、逆流性食道炎を起こすことがあります。
対処療法としては、ツボの刺激が有名です。手首のツボ「内関(ないかん)」を親指でしっかりと押すと、一時的に消化器のはたらきが改善し、吐き気が収まることがあります。
つわりの症状は16週を超えると自然に改善することが多いですが、耐えられないほどの痛みがある時は消化器内科を受診しましょう。受診時には、必ず「妊娠中」であることを伝えて下さい。緊急性がなければ、妊婦健診の際に産婦人科医に相談しましょう。

すぐに病院へ行くべき「夜になると胃が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

出血、耐えられないほど痛い症状の場合は、救急外来へ

「耐えられないほどの激痛」「吐血」「血便、真っ黒い便が出る(下血)」という時は、迷わず救急車を呼んで下さい。急性胃炎、重度の胃潰瘍、胃がんなど、さまざまな病気の可能性があります。
激しい腹痛とともに肌が黄色くなる(黄疸)時は、急性胆のう炎、急性胆管炎の可能性があります。放置するとショック状態になるおそれがあるので、ただちに救急車を呼びましょう。

受診・予防の目安となる「夜になると胃が痛い」ときのセルフチェック法

  • 夜になると胃が痛い以外に吐き気がある場合
  • 夜になると胃が痛い以外に下痢の症状がある場合
  • 夜になると胃が痛い以外に出血の症状がある場合

「夜になると胃が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「夜になると胃が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

機能性ディスペプシア

胃が痛いのに胃の炎症などの症状が見つからないことは珍しくありません。以前は慢性胃炎と言われていましたが、現在は異なる病気と分かり、「機能性ディスペプシア」という病名が付けられました。
医学的には「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛(みぞおちが痛む)や胃もたれなどの心窩部(胃のあたり)を中心とする腹部症状を呈する疾患」を差します。
機能性ディスペプシアは、胃痛を代表する病気です。健康診断では11~17%、病院で受診した人の44~53%が機能性ディスペプシアであるという統計があります。聞き慣れない病名ですが、ありふれた病気なので不安になることはありません。
原因は多く、胃や十二指腸の動きが悪くなる、胃の知覚過敏、ストレスや不安、虐待など心理的なトラブル、胃酸過多、ヘリコバクター・ピロリ菌、生まれつきFDを起こしやすい遺伝的要因などさまざまです。暴飲暴食や寝不足、アルコール過多、感染性胃腸炎の後遺症、胃の変形なども原因になります。
機能性ディスペプシアは検査を行い、胃がんや胃潰瘍、炎症などがないことを調べます。ピロリ菌感染があれば治療を行います。ピロリ菌を駆除することで改善することもあります。
治療は胃酸を抑える制酸薬と、消化管運動機能改善薬を服用します。それでも改善しない場合は抗不安薬や漢方薬を使用します。
胃痛が続くときは消化器内科を受診しましょう。機能性ディスペプシアに精通した医師の治療を受けながら、生活改善を行うことで改善します。

胃がん

胃がんは年間13万件以上発見される、日本では決して珍しくない病気です。しかし早期発見、早期治療することで寛解できるケースが増えています。以前は死亡率が高い病気でしたが、胃カメラ検診やピロリ菌の治療で大きく改善しました。胃がんの初期症状は無症状で、健診で見つかることが珍しくありません。必ず、定期健診を受けましょう。
自覚症状は胃潰瘍や胃炎にそっくりで、胃痛、胃の違和感や胸やけ、吐き気が出ることがあります。自己診断はできないので、これらの症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう。早期に発見できれば、内視鏡で手術できることがあります。
胃がんの中にはスキルス胃がんと呼ばれるものがあります。はっきりとした腫瘍などがなく、内視鏡でも見つけにくいがんです。腹膜に転移しやすく、寛解が難しいのが特徴です。検査をして異常がなくても胃の不調が続く時は、必ず医師に相談して下さい。

急性胃炎

突然、胃壁に炎症が起こり、激しい腹痛が起こります。胃やみぞおちの痛み、胃がむかつく、吐き気や嘔吐、食欲不振、発熱を伴うことがあります。胃の内部がびらん(ただれ。表面がはがれ、その下の組織が露出した状態)や腫瘍、発赤、出血、浮腫が出ることで、痛みが起こります。
急性胃炎の原因はストレス、暴飲暴食や過度なアルコール摂取、コーヒーの飲みすぎ、ピロリ菌の感染、NSAIDsと呼ばれる抗炎症剤の副作用、アニサキス症、アレルギー、蜂巣織炎(ほうかしきえん・皮膚とその下の組織に発生する細菌感染症)、敗血症などさまざまです。特に、ピロリ菌は胃炎粘膜から70%以上の確率で発見され、主要な原因のひとつと考えられています。
治療は原因物質の除去、食習慣の改善、ピロリ菌の治療、H2ブロッカーなど胃液の過剰分泌を抑える薬などを服用します。過食が原因なら1~2食抜いて胃を休め、消化の良い食事を再開します。ピロリ菌の治療を行わないと、慢性胃炎に進行することがあります。ピロリ菌が見つかったら必ず治療しましょう。
急性胃炎の症状が出たら、できるだけ早く消化器内科を受診することをおすすめします。完治した後も不摂生を控え、食生活を改善することで再発リスクを下げることができます。

逆流性食道炎

胃が痛い、胸やけ、むかつき、慢性的な咳が続く、呑酸(どんさん・胃酸が喉や口まで逆流し、口の中に苦みを感じること)の症状がある時は逆流性食道炎かもしれません。日本では15~20%の人が罹患しているという報告もあるほど患者が多く、食事や睡眠の妨げになっています。逆流性食道炎の原因は多く、過食や脂っこい食事、ストレス、胃酸過多、胃や食道の動きの低下、妊娠や肥満などで腹圧が上がる、食道粘膜の知覚過敏などが挙げられます。
これらの症状が続くときは、できるだけ早めに消化器内科を受診しましょう。食道の内視鏡検査で特定できます。治療は食習慣の改善、PPI(プロトンポンプ阻害薬)など酸分泌抑制薬の内服などを行います。

「夜になると胃が痛い」ときの正しい対処法は?

胃が痛い理由は思い当たりますか?食べ過ぎ、飲みすぎが原因だと自覚しているなら、まず安静にして様子を見ましょう。吐き気、下痢があれば我慢せずに出すと軽減することがあります。
生の魚介類を食べた後に激しく痛むときはアニサキス症かもしれません。放置しても治らないので、すぐに消化器内科を受診しましょう。
痛みに耐えられないときは市販の胃腸薬(制酸剤)を服用して様子を見るのも一つの手段です。
暴飲暴食やアルコール、カフェイン、辛みの強い刺激物を食べると胃痛が起こりやすくなります。これらを避けて、しばらくの間は消化に良いものをゆっくり食べましょう。それでも症状がスッキリ治らない場合は、胃がんなど危険な病気かもしれません。様子を見ても完治しない時は、必ず消化器内科で検査を受けましょう。

「夜になると胃が痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「夜になると胃が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ストレスが原因で夜になると胃が痛くなることはありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

あります。精神と胃、腸管は繋がっていて、ストレスがもとに胃腸の運動や感覚が悪化することがあります。ストレスが原因で自律神経が乱れることがあり、胃酸過多を引き起こします。多すぎる胃酸で胃壁が荒れるのが、胃痛の原因です。

胃痛が楽になる姿勢はありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

横になり、足を曲げて安静にするとお腹の張りがとれて楽になることがあります。逆流性食道炎は胃の内容物の逆流を防ぐために頭を上げておく(座る)と痛みが軽くなることがあります。横になれない時は前屈み(前屈姿勢)、うずくまると楽になることがあります。

夜になると胃が痛いときの対処法はありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

まずは安静にして胃を休めましょう。暴飲暴食や飲酒、カフェイン飲料を控え、常温か温かい水分を摂って休みましょう。体が冷えているなら、ひざ掛けや毛布をかぶって温めるのも効果的です。

まとめ 夜になると胃が痛いときは機能性ディスペプシアの可能性あり

夜になると胃が痛い原因は急性胃炎のように一過性のものから、胃がんなど命に係わる大きな病気まで多種多様です。その場で痛みが引いても胃の違和感が残る、しばらく様子を見てもスッキリ改善しない時は、消化器内科で検査を受けましょう。大した痛みでなくても、調べてみたら胃がんだった、というケースは珍しくありません。コロナ禍の自粛ムードが解けて会食の機会が増えましたが、暴飲暴食やアルコールの飲みすぎ、喫煙はほどほどにしましょう。これらは夜になると胃が痛い原因になります。弱い痛みでも長引くなら早めに受診することをおすすめします。

「夜になると胃が痛い」症状で考えられる病気

「夜になると胃が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

婦人科の病気

暴飲暴食や刺激物の食べ過ぎであれば様子見で改善することが多いですが、数日経っても痛みが治らない、黒い便や血が出る場合や何らかの他の症状も伴っている場合には、胃がんなど危険な病気が隠れている可能性があります。

「夜になると胃が痛い」に似ている症状・関連する症状

「夜になると胃が痛い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「夜になると胃が痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「機能性ディスペプシア」「急性胃炎」「逆流性食道炎」「胃潰瘍」「胃がん」「つわり」などの疾患の可能性が考えられます。食後すぐに寝転がると症状が強くなる場合や、血便、黒い便などを伴うなどの場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。