「胃もたれ」の解消法・薬・原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
胃がもたれるときどうしたらいいの?今回はMedical DOC監修医が胃もたれの症状の対処法と考えられる原因や病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「胃もたれ」で考えられる病気と対処法
食べ過ぎたり飲み過ぎたりした後に胃がもたれた、という経験は誰しもあるでしょう。食べ過ぎや飲み過ぎのような思い当たるエピソードがある場合には、しばらく様子を見て次第に回復するのを待つという対応で問題ないことが多いのですが、特に理由なく症状が出ると不安になりますよね。今回は胃もたれの症状で考えられる原因や対処法などについて解説したいと思います。
胃もたれの症状とストレスで考えられる影響と治し方
ストレスにより胃もたれが生じる可能性はあります。
胃の蠕動運動(食べ物を消化するために腸へ送る働き)は自律神経と関連しています。ストレスにより自律神経が乱れると胃の働きが悪くなり、胃もたれが生じることになります。対処法としてはストレスを軽減したり、生活習慣を改善することになります。胃の蠕動を促進するような薬を飲むこともできますが、根本的な治療はストレスを軽減することになります。
胃がもたれ、吐き気を催す症状で考えられる原因と治し方
胃もたれがあり、吐き気を催している場合、胃腸炎の可能性があります。生魚や生焼けの肉などを食べる場合には、注意が必要です。胃腸炎はウイルス性のものがほとんどであり、自然に症状が治まるのを待つことが基本的な考え方になります。症状が強い場合は、症状に合わせた薬を使うこともあります。治療期間には個人差がありますが、数日~2週間程度かかるでしょう。ノロウイルスなど感染対策が必要な病原体もありますので、家族や周りの方で胃腸炎の人がいる場合は気を付けましょう。主な診療科は、内科や消化器内科です。
胃もたれの症状と食べ過ぎで考えられる影響と治し方
暴飲暴食により胃もたれが生じる可能性があります。
誰しも食べ過ぎた翌日に胃もたれを経験したことはあるのではないでしょうか。これは消化が追い付いていないため、胃の中に食物残渣が残ってしまっている状態です。食べ過ぎた場合や消化に時間がかかるような脂っこいものなどを食べるときは注意しましょう。市販の胃薬なども効果的ですが、基本的には時間がたてば症状は楽になるので消化されるまで待ちましょう。
すぐに病院へ行くべき「胃もたれ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
胃がもたれ、痛みがとても強い場合は、内科・消化器内科へ
胃もたれでも強い腹痛を伴う場合は注意が必要です。
腸閉塞(イレウス)では、腸が通らなくなり強い痛みや、吐き気を催すことがあります。また、虫垂炎も腹痛や嘔吐が症状として見られます。どちらも最初は、胃もたれかな?という程度の軽い症状から始まることがあります。症状が続いたり、悪化して腹痛が強い場合は病院を受診しましょう。
「胃もたれ」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「胃もたれ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胃がん
胃がんは日本人に多い癌と言われています。ピロリ菌の感染が発症と強く関連しているので、ピロリ菌の感染を調べること、ピロリ菌がいる場合は除菌することがとても重要になってきます。治療としては早期のものであれば内視鏡で治療できますし、進行しているものですと、手術や化学療法(抗がん剤)での治療となります。予防としてはピロリ菌の検査、早期の除菌が重要となります。気になる場合には、ピロリ菌の抗体検査や内視鏡検査を受けることをお勧めします。
食道がん
食道がんの原因としては喫煙、飲酒の他に、逆流性食道炎などがあります。治療法は胃がんと同様に、内視鏡治療、手術、抗がん剤治療などです。早期発見のためにも定期的に内視鏡検査を受けることが重要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは胃や十二指腸があれて穴があいている状態です。ピロリ菌の感染が主な原因と言われていますが、ストレスなども原因となります。治療としては内服薬(プロトンポンプ阻害薬)で胃酸の分泌を抑えることです。予防としては胃癌同様、ピロリ菌の除菌となります。胃もたれ以外の症状として、腹痛、吐血、黒色便などがあるので、これらの症状がある場合は、内視鏡検査を受けることお勧めします。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃酸が胃から食道に逆流することで食道があれる病気です。近年、食生活の欧米化により逆流性食道炎の方が増えています。胃もたれ以外に、胸やけ、咳などの症状もあります。診断は内視鏡検査でおこないます。治療としては、プロトンポンプ阻害薬を飲むことになります。長年放っておくと癌の原因となりますので、内視鏡検査で見てもらうことをお勧めします。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアとは、内視鏡などで分かるような明らかな原因がないにも関わらず、胃や腸の不調がある状態です。内服薬などで症状を和らげることもできますが、生活習慣を改善したり、ストレスを軽減することが治療につながると言われています。
「胃もたれ」の正しい解消法・対処法・市販薬は?
胃もたれに対して、市販薬を使用しても大丈夫ですが、症状によっては病気が悪化する可能性があります。普段から飲んでいる場合は問題ありませんが、新しく飲む場合などは病院を受診してからをお勧めします。
市販薬では、ガスターやセルベールなどがあります。漢方薬のなかでは、胃の蠕動を良くする目的で六君子湯(りっくんしとう)などを飲むのが効果的です。
自宅でできる解消法や対処法として、規則正しい生活、ストレスを軽減することが胃もたれを和らげるために効果的です。また、喫煙も胃もたれの原因となるので、禁煙することをお勧めします。
吐き気や不快感、胃のむかつきの症状がどういうときによく出るか注意しましょう。食後すぐの場合などは、食後しばらくは横にならないなど姿勢の改善だけでも症状が和らぐことがあります。なお、寝る時の姿勢は、頭を少し上げることで楽になるかもしれません。
若年者の場合は、ストレスがかかりやすく、逆流性食道炎などの可能性が高いです。また高齢者の場合は、ピロリ菌による症状の可能性がありますので内視鏡検査を受けましょう。
症状が持続する、食事がとれないなどの場合には、消化器内科を受診し、内視鏡検査などの検査を受けることがお勧めです。
「胃もたれ」におすすめの食べ物・飲み物は?
胃がもたれている時には、消化にいいものを食べましょう。例えば、おかゆなどがお勧めです。辛いものや味の濃いものなど、刺激の強い物はなるべく避けるようにしてください。アルコールも胃もたれの原因となるので控えましょう。
また、1日3食、規則正しく食べることも心がけましょう。夜寝る前に食べると、翌朝の胃もたれに繋がりますので控えましょう。なお、食べてすぐ寝るのは逆流性食道炎が発症しやすいので、避けてください。
「胃もたれ」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃もたれ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
最近胃のむかつき・不快感が頻繁にあります。胃もたれでしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
胃もたれの可能性はありますが、他の病気の可能性もありますので一度検査を受けることをお勧めします。
朝、寝起きに胃もたれが気になるのはストレスが原因でしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
ストレスの可能性もありますが、前日夜の食事が影響している可能性もあります。まずは食事内容や食生活を見直してみましょう。
胃もたれがどのくらい続いたら、病院に行くべきですか?
マイマイテイリ イマム 医師
個人差がありますが、生活に支障が出るのであれば受診することをおすすめします。連日続くようなら早めに受診しましょう。
胃がもたれるのは加齢も関係しているのでしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
加齢により胃の蠕動が低下してきます。
病院では胃もたれを治すのにどんな治療方法がありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
蠕動を良くする漢方薬などがあります。また食生活の改善や指導を行うこともあります。
まとめ
胃もたれの原因は、軽症のものから癌など治療が必要なものまでさまざまです。ピロリ菌など、早期に治療することが重要なものもありますので、気になる方は、消化器内科を受診して、一度内視鏡検査などを受けてみてはいかがでしょうか。
「胃もたれ」で考えられる病気と特徴
「胃もたれ」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
- 胃腸炎
- 胃潰瘍/十二指腸潰瘍
- 腸閉塞(イレウス)
- 逆流性食道炎
- 胃がん
- 食道がん
- 機能性ディスペプシア
- 慢性胃炎
胃もたれの原因となる病気は、軽症のものから癌など治療が必要なものまでさまざまあります。
「胃もたれ」と関連のある症状
「胃もたれ」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「胃もたれ」の他に、これらの症状がある際は、「胃腸炎」「胃がん」「逆流性食道炎」「腸閉塞」「十二指腸潰瘍」「機能性ディスペプシア」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか治らない場合は早めの医療機関への受診を検討しましょう。