「ストレスで生理がこない」のはどうして?その疑問に医師が答えます!
ストレスで生理がこないとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
阿部 一也(医師)
「ストレスで生理がこない」症状で考えられる病気と対処法
生理とは、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちることによって出血が起こる現象です。正常な生理は、次のような特徴があります。
- 周期:25~38日
- 持続日数:3~7日
- 経血量:20~140ml
しかし、上記の周期日数をすぎても生理がこない場合があります。本章では、生理がこない症状で考えられる病気と対処法について解説します。
ストレスで生理がこない症状で考えられる原因と対処法
受験や仕事、過度なダイエットなどにより、心身に大きなストレスがかかっていると生理がこないことがあります。ストレスによってホルモンバランスが乱れるためです。
月経は、次の女性ホルモンが作用することによって起こります。
- 妊娠の準備のために子宮内膜を厚くする役割であるエストロゲン
- 厚くなった子宮内膜を維持し、受精卵を着床しやすくする役割のプロゲステロン
しかし、ストレスによってこれらのホルモンバランスが崩れてしまうと、生理の開始が遅れたり、生理がこなかったりするのです。
生理の開始日が数日遅れている程度であれば緊急性はありません。しかし、排卵障害を含む卵巣機能不全、視床下部と呼ばれる脳の一部の機能低下や高プロラクチン血症といった病気が原因の場合もあるため、生理が3か月以上こないようであれば、婦人科を受診しましょう。
ピルの休薬期間中にストレスで生理がこない症状で考えられる原因と対処法
ピルを服用中は休薬期間であっても生理がこなかったり、経血が少量しか見られなかったりする場合があります。なぜならピルを服用していると、卵巣は休眠状態になり、子宮内膜が厚くならないからです。
子宮内膜が薄ければ、生理として剥がれ落ちるものも少なくなります。ピルを服用中に生理がこなくても、問題はありません。
とはいえ、妊娠の有無はチェックが必要です。ピルには避妊効果がありますが、飲み忘れや服薬後すぐの嘔吐や水様性下痢などによって効果が薄れ、妊娠の可能性がないわけではありません。妊娠しているようであれば産科の受診が必要となるので、確認を怠らないようにしましょう。
ストレスで生理がこなくて微熱がある症状で考えられる原因と対処法
生理がこなくて微熱がある場合は、妊娠をしている可能性があります。妊娠の初期症状のひとつとして、体温が高い状態が続くためです。
妊娠の初期症状は、生理の遅れと微熱のほかに次のような症状も見られます。
- 胸の張り
- 吐き気
- 下腹部の痛み
妊娠しているようであれば産科の受診が必要となるので、まずは妊娠検査薬で確認をしましょう。
ストレスで生理中になかなか血が出てこない症状で考えられる原因と対処法
生理中になかなか血が出てこない原因は、更年期症状に伴う影響が考えられます。更年期とは一般的に45歳~55歳の期間を指します。加齢とともに卵巣機能が弱まり閉経へ向かうため、生理が不順になったり経血量が減少したりします。日本人の平均閉経年齢は約50歳のため、近しい年齢であれば更年期による影響の可能性が高いでしょう。
ただし、生理がなかなか出てこない原因は必ずしも更年期によるものとは限りません。ホルモンバランスの崩れや、若くても卵巣機能が低下する早発卵巣不全といった病気によって起こる場合もあります。40歳未満で生理中になかなか血が出てこないようであれば、婦人科にご相談ください。
すぐに病院へ行くべき「ストレスで生理がこない」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
生理が3か月以上こない場合は、婦人科へ
生理が3か月以上こないようであれば、ストレスではなく別の病気が原因の可能性があるため、速やかに婦人科を受診してください。また、生理がこない期間が3か月未満であっても、微熱がある場合は妊娠の可能性があります。妊娠の有無を確認し、妊娠していたら産科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「ストレスで生理がこない」症状のセルフチェック法
- ストレスで3か月以上生理がこない場合
- ストレスで生理がこない以外に微熱がある場合
- ストレスで生理がこない以外になかなか血がでてこない症状がある場合
「ストレスで生理がこない」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ストレスで生理がこない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群とは、卵子が入った袋である小さな卵胞が卵巣にたくさん見られ、排卵障害を来す病気です。症状としては、無月経や生理不順、そして不妊があります。正常な女性は約1か月に1度排卵しますが、多嚢胞性卵巣症候群を発症していると定期的な排卵が起こらないため、不妊症の原因のひとつとなっています。
妊娠希望の有無によって治療方針は変ってくるものの、初経からずっと生理が不順な場合は多嚢胞性卵巣症候群の可能性があるので、婦人科を受診しましょう。また、多嚢胞性卵巣症候群を悪化させる要因となるため、肥満の場合は減量をはじめとしたライフスタイルの改善を心がけてください。
視床下部性無月経
視床下部の障害によって生理が起こらない場合もあります。視床下部とは脳の一部分のことを言います。視床下部に障害があると、卵胞の育成を促進する「ゴナドトロピン」というホルモンの分泌が不十分となるため、卵巣の機能が低下するからです。排卵が起こらないことに起因する無月経の原因は、視床下部の障害によることが多いとされています。
生理がこない原因が視床下部の障害によるものかどうかは、血液検査をする必要があるので、婦人科を受診しましょう。
甲状腺疾患
甲状腺ホルモンに異常があると生理に影響を及ぼす可能性があります。甲状腺疾患の症状として、生理の頻度が少なくなったり出血量が少なくなったりすることがあるためです。
甲状腺ホルモンとは、血液の流れに乗って全身の臓器に作用し、代謝を促進する役割がありますが、ホルモンの分泌量に異常をきたすと次のような病気を発症します。
- 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される→バセドウ病
- 甲状腺ホルモンが不足する→甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが過剰でも不足しても生理の異常が見られますが、特にバセドウ病では生理が止まる場合があります。また甲状腺機能低下症では、高プロラクチン血症を引き起こしやすいため、生理の異常を来すことがあります。
生理の異常が甲状腺疾患によるものであれば治療が必要です。甲状腺疾患の専門は内分泌科ですが、生理の異常に関しては、まずは婦人科に相談すると良いでしょう。
「ストレスで生理がこない」症状の正しい対処法は?
生理がこないときは、まずは妊娠の有無をチェックしましょう。妊娠をしていたら、産科の受診に加えて、薬の服用やアルコールの摂取といった避けるべき行動があります。行動によっては胎児に影響を及ぼす可能性もあるので、「妊娠に気づかずやってしまった」といった事態を避けるためにも、必ず妊娠の有無をご確認ください。
妊娠が否定された場合にできる対処法は次の3つです。
- 漢方薬を服用する
- ストレスの解消を心がける
- 基礎体温を記録する
市販薬として月経不順や月経サイクルを整える効果をもつ漢方があります。「飲めばすぐに生理がくる」という薬はありませんが、不順を解消するひとつの方法として、試してみてください。
一方で、生理がこない原因がストレスであれば、それを取り除くことも非常に重要です。好きなことをしたり、リラックスをしたりして、ストレスの解消を心がけましょう。
また、基礎体温を記録することで、排卵の有無や女性ホルモンが正常に分泌されているかどうかが確認できます。婦人科を受診する際に提出を求められることもあるので、記録しておくと良いでしょう。
「ストレスで生理がこない」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ストレスで生理がこない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ストレスで生理がこないときに生理を来させるツボなどはありますか?
阿部 一也医師
生理痛や生理不順といった女性特有の症状改善に効果的とされている次のツボがあります。
■三陰交:くるぶしから指4本分ほど上にあるツボ
■湧泉:足の裏の中央部分
これらは「押せば生理がすぐにくる」というものではありませんが、血の巡りを良くしたり、リラクゼーション効果があったりするため、試してみると良いでしょう。
ストレスで1か月間生理がこない場合は婦人科を受診した方が良いですか?
阿部 一也医師
生理が遅れると不安を感じる方も多いでしょう。しかし、1か月間生理がこなくても、妊娠していないようであれば慌てる必要はありません。
ただし、生理がこない原因は必ずしもストレスとは限らず、別の病気が隠れているおそれもあります。3か月以上生理がこないようであれば、婦人科を受診しましょう。
まとめ ストレスで生理がこない症状が続く場合には産婦人科を受診
心身が過度なストレスを感じていると、ホルモンバランスが崩れて生理がこないことがあります。生理の遅れが1か月程度であれば慌てる必要はありませんが、3か月以上生理がこない場合は、ほかの病気が隠れているおそれもあるため、婦人科を受診しましょう。
また、生理がこない原因は必ずしもストレスとは限らず、妊娠している可能性もあります。生理がこなければ、まずは妊娠の有無をチェックし、妊娠しているようであれば速やかに産婦人科をご受診ください。
「ストレスで生理がこない」症状で考えられる病気
「ストレスで生理がこない」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
生理がこない症状は、婦人科系の病気や甲状腺に関する病気が考えられますが、妊娠している可能性もあります。
「ストレスで生理がこない」に似ている症状・関連する症状
「ストレスで生理がこない」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
生理がこないほかに、これらの症状がある場合でも「続発性無月経」「多嚢胞性卵巣症候群」「視床下部性無月経」「高プロラクチン血症」「早発卵巣不全」「更年期症状」「妊娠」「バセドウ病」「甲状腺機能低下症」といった疾患の可能性が考えられます。上記のいずれかが当てはまるようであれば、医療機関を受診してください。