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「おりものに血が混じる」のは「子宮頸がん」や「子宮体がん」が原因?医師が解説!

おりものに血が混じっているとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

吉田 悠人

監修医師
吉田 悠人(アルテミスウィメンズホスピタル)

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2015年東北大学医学部卒業。東北大学病院、複数の総合病院勤務を経て、アルテミスウィメンズホスピタル勤務。産婦人科専門医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。

「おりものに血が混じる」症状で考えられる病気と対処法

おりものに出血が混じる症状があった時、量が少なかったり1日で終わったりすると産婦人科を受診しようか迷うことが多いと思います。このような症状がある場合は病気が隠れている場合とそうでない場合とがありますが、症状のみからでは正常か病気が隠れているかの判断は非常に難しいです。
今回、おりものに血が混じる症状がある時に考えられる病気などについて解説していきます。

生理前のおりものに血が混じる症状で考えられる原因と治し方

生理前におりものに血が混じる場合、病気でないものとしては生理の始まりが長い場合が考えられます。
生理は子宮内膜がはがれて子宮の外に出てくる現象ですが、この現象はゆっくり始まり、生理2〜3日目をピークに徐々に経血量が減少していきます。この場合は異常ではありません。
しかしこの出血が徐々に長くなる場合や量が多くなる場合は病気や異常が隠れている可能性があるため、病気の心配がある場合も含め早めに産婦人科で診察を受けましょう。

生理後のおりものに血が混じるの症状で考えられる原因と対処法

「生理前におりものに血が混じる症状」で説明したように月経血は2〜3日目をピークに徐々に減少していきます。その過程で生理の終わりの残ったわずかな出血がおりものに残って数日間わずかな出血として自覚することがありますが、この場合異常ではありません。
また、生理開始日と次の生理開始日のちょうど中間くらいに少量の出血が出る場合は、排卵期出血の可能性があります。これも排卵期のホルモンの変動によるものであり異常ではありません。
ただし、病気が隠れていての症状の可能性もありますので、一度早めに産婦人科に相談することをおすすめします。

おりものにピンクや茶色い血が混じる症状で考えられる原因と治し方

血がピンクや茶色の場合はそれぞれ量が非常に少なかったり、古い出血であったりする場合が考えられます。
量が少なければ大丈夫、と考える方も多いですが、少量でも不正出血の可能性があり病気が隠れている可能性があります。このような症状の場合でも一度産婦人科で診察を受けることをおすすめします。

すぐに病院へ行くべき「おりものに血が混じる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

月経周期に関係なく出血の量や頻度が増えるとき、長く続く場合は、産婦人科へ

生理前後の出血や排卵期出血の場合は、月経周期に伴って規則的に起こる場合異常ではない可能性が高いです。(ただし前述したように異常ではないと分かるためには産婦人科での診察が必要です)

しかし月経周期と関係のない不規則な出血や、徐々に量や頻度・期間が長くなる出血の場合は上記の出血と比べ病気が隠れている可能性が高いです。
このような症状では子宮頸がんや子宮体がんが隠れている場合もあるため、早期発見が非常に重要となります。思い当たる症状がある場合、すぐに産婦人科を受診し診察・検査を受けることを強くおすすめします。

受診・予防の目安となる「おりものに血が混じる」ときのセルフチェック法

  • ・おりものに血が混じる以外に腹痛がある場合
  • ・おりものに血が混じる以外におりもの自体が多い場合
  • ・おりものに血が混じる以外に月経不順がある場合

「おりものに血が混じる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「おりものに血が混じる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)

おりものに血が混じる症状を呈する病気のうち最も命にかかわりうるものとしては子宮のがんがあります。
子宮のがんは子宮頸がんと子宮体がんに大別されますが、それぞれ全く異なるがんです。

子宮頸がん

子宮頸がんは子宮下部の管状の部分の子宮頸部にできるがんです。
20~30代女性が好発年齢と言われており、ほとんどの場合ヒトパピローマウイルスと言われるウイルスが性行為などで子宮頸部に感染することにより発生します。
初期の段階や、異形成と言われる前がん病変の段階では症状が全くないことがありますが、症状としてはまず不正出血が現れることが多いです。
治療は、異形成やごく初期では子宮を残す手術治療が可能なこともありますが、多くの場合子宮全摘手術が必要となることが多く、場合により術後に化学療法(抗がん剤)を行うこともあります。進行した例や再発した例では手術は行わず、主に放射線療法や化学療法が行われます。
予防としてHPVワクチン、早期発見として定期的な子宮頸がん検診が推奨されています。(HPVワクチンを接種した人も、子宮頸がん検診が勧められます)他にも、おりものに血が混じる程度の不正出血でも早めに産婦人科を受診することも早期発見のために重要です。

子宮体がん

子宮体がんは子宮の上部(体部)のふくろ状になっている部分からできるがんです。子宮の体部には子宮内膜があり、ここから発生するため子宮内膜がんともいいます。
子宮体がんは子宮頸がんより好発年齢が高く、閉経前後や閉経後の女性で多いと言われています。閉経前の若い方でも、月経不順があり何か月も月経が来ない方や、乳がんになったことがある方では注意が必要です。
子宮体がんで最も多い初期症状は不正出血です。特に、閉経後の不正出血は要注意です。
子宮体がんの治療は、子宮全摘術を主体とした手術や化学療法が基本となります。放射線療法を行うことがありますが、非常にまれです。
ごくごく初期の子宮体がんや子宮内膜増殖症という子宮体がんの前がん病変の場合、妊娠希望が強い方に対して子宮を残すホルモン治療を行うこともあります。しかし、この治療はごくごく初期の、かつ限られたタイプのものに限られます。よって、子宮体がんも早期発見が非常に重要となります。
不正出血がある方、特に月経不順の方や閉経後の方は、早めに産婦人科で相談することを強くおすすめします。

子宮頸管炎

子宮頸部の管状の部分を子宮頸管と言います。その部分に細菌などの病原体が感染し、炎症を起こすことを子宮頸管炎と呼びます。
一般的な細菌の他、多くの場合クラミジアや淋菌などの性感染症が原因となることが多いです。
症状としては不正出血やおりものの増加などがありますが、特にクラミジアや淋菌などは感染していても症状が全くないことが多いです。感染が広がって子宮内やお腹の中に広がった場合、腹痛や腰痛などを生じることもあります。
クラミジアや淋菌は感染したまま長時間経過すると症状が全くなくても徐々に子宮や卵管を通してお腹の中に広がり、卵管炎を起こして不妊症の原因になることもあります。症状が全くなくても性感染症の心配がある場合は、早めに検査を受けることが重要です。
治療はおりものを採取して原因を特定した後、それに対して有効な抗菌薬を投与します。クラミジアや淋菌、その他性感染症は治療後の再検査で治癒しているか確認が必要なものもあります。再検査が必要かどうかは必ず病院で確認しましょう。
パートナーがいる場合、同時に検査や治療を受けることも重要です。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープとは、何らかの原因で子宮内膜の一部が過剰に増殖し、子宮の内腔に突出したものを指します。一般的に良性であることがほとんどです。症状がないこともありますが、不正出血や過多月経、不妊症などの症状を呈することがあります。
症状がない場合は治療をせず経過観察をすることもありますが、上記の症状がある場合や悪性腫瘍の可能性がある場合は手術による治療が必要となります。

子宮頸管ポリープ

子宮の入り口で子宮頸部の粘膜の一部が増殖し、茎状に突出してくる腫瘍です。ほとんどの場合良性で、子宮口から飛び出していることが多いです。
性交時や激しい運動時などに不正出血の原因となることがあります。
子宮頸管ポリープも症状がない場合は切除せず経過観察することもありますが、子宮口から飛び出しているため容易に切除できるものもあり、原則切除されることが多いです。
大きいものや茎が大きいものは、麻酔下や入院での切除が必要となる場合もあります。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮に出来るこぶ状の良性の腫瘍です。小さいものを含めると、30歳以上の女性の20~30%が持っているといわれるありふれた腫瘍です。女性ホルモンの刺激により、徐々に大きくなると言われています。
子宮筋腫は、できる場所によって子宮の外に発育する漿膜下筋腫、子宮筋層の中で大きくなる筋層内筋腫、子宮内腔に向かって粘膜下筋腫に分かれますが、このうち粘膜下筋腫が不正出血の原因となります。粘膜下筋腫の場合、月経血が増加する過多月経という症状を呈することがあり貧血の原因となることがあります。
子宮筋腫は必ずしも治療が必要な腫瘍ではありませんが、症状をきたす場合は治療が必要となります。ホルモン療法で筋腫の発育を抑えたり小さくしたりすることができますが、根本的な治療法は手術となります。手術には子宮を残す子宮筋腫核出術や、子宮全摘術などがあります。

子宮内膜炎

子宮内膜炎とは子宮の中の子宮内膜がある部分に細菌などの病原体が侵入し炎症を起こす病気です。
症状としては不正出血の他、腹痛や腰痛、発熱、悪臭のあるおりものが出るなどの症状が合併することが多いです。
内診を受けた際、子宮を押し上げられると痛みが強くなるのが特徴です。
原因としては子宮口を通して病原体が侵入してくることによるものが多いです。出産後は子宮口が開いた状態が続くため起こりやすい時期である他、中絶手術や子宮内膜の検査、ミレーナなどの避妊具の留置・挿入など子宮内操作を施した場合もリスク因子となります。
検査や治療として、おりものを採取して原因の病原体を特定し、有効な抗菌薬の投与を行います。前述したクラミジアや淋菌など性感染症も原因となる可能性があるため、性感染症の検査を行うこともあります。
閉経後の女性の場合子宮の中に膿が溜まってしまうことがあり、子宮留膿腫(しきゅうりゅうのうしゅ)という状態になることがあります。この場合子宮口を広げて膿を排出する処置が必要になることがあります。

「おりものに血が混じる」の正しい対処法は?

おりものに血が混じる症状がある場合、排卵期出血など病気ではない場合と、病気が隠れており診断や治療が必要な場合とがあります。重要なのは、病気ではない出血であっても産婦人科を受診しなければ異常なしとは言い切れないということです。
病気ではない場合でも、必要な診察や検査を受けてそれらが全て異常がないことを確認した上でそのように結論付けることができます。おりものに血が混じる症状の中には子宮のがんなど命にかかわる病気もありますので、必ず産婦人科で診察を受けてから判断するようにしてください。
定期的に子宮頸がん検診を受けることも非常に重要です。

「おりものに血が混じる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「おりものに血が混じる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

おりものに血が混じっていたら婦人科を受診すべきですか?

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

排卵期出血など異常ではないケースもありますが、不正出血の可能性があるため産婦人科を受診すべきだと思います。

おりものに血が混じるのは不正出血でしょうか?

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

前述のように異常の無い出血の可能性もありますが、不正出血の可能性ももちろんあります。異常か異常でないかは、診察や検査を受けなければ分かりません。

おりものに一度だけ血が混じっていた場合放置して問題ないですか?

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

不正出血の可能性があり病気が隠れている可能性もありますので、一度は産婦人科で診察を受けることをおすすめします。

おりものに血が混じるのは更年期が原因でしょうか?

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

不規則な月経による出血などの場合異常ではなく更年期と関連した出血の場合もありますが、子宮頸がんや子宮体がんが隠れている可能性もあります。心配があれば産婦人科で相談をしましょう。

まとめ 血が混じるおりものは産婦人科を受診し異常がないかを確認しましょう

今回はおりものに血が混じる症状があった場合に考えられる状態や病気について解説しました。
異常ではない場合もありますが、子宮のがんなど早期発見が非常に大切な病気が隠れている可能性もあります。結果的に問題ないものであっても、必ず一度産婦人科を受診し症状について相談をしましょう。

「おりものに血が混じる」症状で考えられる病気

「おりものに血が混じる」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

異常でないこともありますが、早期発見が重要な子宮の病気などが隠れている可能性もあります。

「おりものに血が混じる」に似ている症状・関連する症状

「おりものに血が混じる」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「おりものに血が混じる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「子宮頸がん」「子宮体がん」「子宮頸管炎」「子宮内膜ポリープ」「子宮頚管ポリープ」「子宮筋腫」「子宮内膜炎」などの疾患の可能性が考えられます。腹痛がある、おりもの自体が多い、月経不順がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師