「おりものが茶色い」原因とは？生理前後や生理がこない場合も医師が解説！

おりものが茶色いのは、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
吉田 悠人（アルテミスウィメンズホスピタル）

「おりものが茶色い」症状で考えられる病気と対処法

茶色いおりものが出たとき、「何か病気が隠れているのでは？」と心配になりますよね？
おりものが茶色い場合の中には、病気が隠れている場合とそうでない場合があります。
この記事では、おりものが茶色になると思われる原因をそれぞれ解説していきます。

おりものが茶色い症状で考えられる原因と治し方

おりものが茶色く見えるのは、一般的におりものに少量の血液が混ざっている状態が考えられます。
おりものが茶色くなる原因として、主に考えられるものは以下の通りです。

【病気でない場合】

• 〇経血の残り、経血の始まり
• 〇排卵期の出血
• 〇妊娠超初期の着床出血

など

【病的な原因の場合】

• 〇子宮頸がん、子宮体がん
• 〇子宮筋腫
• 〇子宮内膜ポリープ
• 〇子宮頸管ポリープ
• 〇性感染症（クラミジア、淋菌）

など

各項目について、それぞれ解説していきます。

生理がこなくておりものが茶色い症状で考えられる原因と対処法

病気でない場合では、排卵期出血、妊娠超初期の着床出血が原因として考えられます。
排卵期出血は月経が不順な方で、排卵が遅れている場合に想定されます。
少量の茶色のおりものが1日～数日間出ることが多いです。
自分でまずできる対処法は、最後の生理の後に１回でも性交渉の機会があった場合、妊娠検査薬を使用することです。
注意点としては、妊娠していたとしても検査時期が早すぎると陽性とならない場合もあることです。1回検査をして陰性であってもその後で陽性になってくることもあります。きちんと生理が来るまでは数日～1週間くらい空けて何度か検査をした方がよいでしょう。
また、通常きちんと生理が来れば妊娠の可能性は低いですが、妊娠初期の切迫流産などの出血症状を生理の出血と見間違えることもあるため、心配があれば生理の出血がきた後も妊娠検査薬を使ってみるのが確実です。

上記の判断で迷う場合や病気の心配がある場合は、妊娠の可能性もそうですが病気が隠れている可能性もありますので、早めに産婦人科を受診しましょう。

生理前におりものが茶色い症状で考えられる原因と対処法

生理は子宮内膜がはがれて子宮の外に出てくる現象ですが、この現象は徐々にゆっくりと始まり生理2～3日目をピークに再び徐々に減少していきます。
生理に先立って数日間茶色いおりものが出て生理がそれに続く場合は、一般的に生理の始まりが長い場合であり、異常ではありません。
しかし、この出血が徐々に長くなる場合や病気の心配がある場合は、ホルモンの異常や病気が隠れている可能性もありますので、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。

生理後におりものが茶色い症状で考えられる原因と対処法

「生理前のおりもの」で解説したように、月経血は2～3日目をピークに徐々に減少していきます。その過程で生理の終わりの残ったわずかな出血が茶色いおりものとして数日の間自覚することがあり、この場合異常ではありません。
また、生理と生理の中間くらいに少量の茶色いおりものが出る場合は、排卵期出血の可能性があります。これも排卵期のホルモンの変動によるものであり異常ではありません。
ただし、まれに病気が隠れている可能性もありますので、一度早めに産婦人科に相談することをおすすめします。

おりものが茶色くて水っぽい症状で考えられる原因と対処法

原因が1つである場合、要注意なのがクラミジアや淋菌などの性感染症です。
これらは症状がない場合も多い性感染症ですが、症状がある場合はおりものの増加・不正出血・腹痛などの症状を呈することがあります。
また、クラミジアなどがおりものが水っぽくなる症状のみをきたしており、おりものが茶色くなる原因が別にある可能性もあります。
ただ、中には排卵期の出血＋排卵前のおりものの増加というパターンもあり、この場合は異常ではないと考えられます。
いずれにしても一度早めに産婦人科を受診し、異常がないかを確認しましょう。

おりものが茶色くて臭い症状で考えられる原因と対処法

「おりものが茶色くて水っぽい」でも解説したような性感染症に加え、細菌性腟症や腟トリコモナス症などによる症状の可能性もあり、これに他のおりものが茶色くなる原因が合わさっている状態と考えられます。
おりものが臭う症状、茶色いおりものの症状のそれぞれに対する診断が必要な状態と思われるため、産婦人科で診察を受けるのが良いでしょう。

すぐに病院へ行くべき「おりものが茶色い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

茶色から真っ赤な血液に変わった場合、頻度や期間が増える場合は、産婦人科へ

茶色いおりものは少量の血液がおりものに混ざっている状態が考えられるとここまでで解説しました。
しかしその量が増えてくると、茶色から赤い血液へと変化してくることもあります。
病気でない状態の時も、赤いおりものが出ることはありますが、茶色から赤に変化しているということは徐々に量が増えてきている可能性があります。
また、それ以外にも茶色や赤いおりものが出る時期が不規則になったり、頻度が増えたりといった症状にも注意が必要です。
これらの症状は全て子宮のがんをはじめ、病気が隠れている可能性が高い症状のためすぐに産婦人科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「おりものが茶色い」ときのセルフチェック法

• ・おりものが茶色い以外に腹痛がある場合
• ・おりものが茶色い以外におりものが臭う場合
• ・おりものが茶色い以外におりものが水っぽい場合

「おりものが茶色い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「おりものが茶色い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

子宮頸がん

子宮頸がんは子宮下部の管状の部分の子宮頸部にできるがんです。
20～30代女性が好発年齢と言われており、ほとんどの場合ヒトパピローマウイルスと言われるウイルスが性行為などで子宮頸部に感染することにより発生します。
初期の段階や、異形成と言われる前がん病変の段階では症状が全くないことがありますが、不正出血が初期症状として現れることが多いです。
治療は、異形成やごく初期では子宮を残す手術が可能なこともありますが、子宮全摘手術が必要となることが多く、場合により術後に化学療法（抗がん剤）を行うこともあります。進行した例や再発した例では手術は行わず、放射線療法や化学療法が主体となります。
予防としてHPVワクチン、早期発見として定期的な子宮頸がん検診が推奨されています。（HPVワクチンを接種した人も、子宮頸がん検診が勧められます）他にも茶色いおりものを含めた不正出血などの症状がある場合は早めに産婦人科を受診することも早期発見のために重要です。

子宮体がん

子宮の上部のふくろ状になっている部分からできるがんです。子宮の上部には子宮内膜があり、ここから発生するため子宮内膜がんともいいます。
子宮体がんは子宮頸がんより好発年齢が高く、閉経前後や閉経後の女性で多いと言われています。閉経前でも、月経不順があり何か月も月経が来ない方や、乳がんになったことがある方では注意が必要です。
子宮体がんで最も多い初期症状は不正出血です。特に、閉経後の不正出血は要注意です。
子宮体がんの治療は、子宮全摘術を主体とした手術や化学療法が基本となります。放射線療法を行うことがありますが、非常にまれです。
ごくごく初期の子宮体がんや子宮内膜増殖症という子宮体がんの前がん病変の場合、妊娠希望が強い方に対して子宮を残すホルモン治療を行うこともあります。しかし、この治療はごくごく初期の、かつ限られたタイプのものに限られます。よって、子宮体がんも早期発見が非常に重要となります。
不正出血がある方、特に月経不順の方や閉経後の方は、早めに産婦人科で相談することを強くおすすめします。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮に出来るこぶ状の良性の腫瘍です。小さいものを含めると、30歳以上の女性の20～30%が持っているといわれるありふれた腫瘍です。女性ホルモンの刺激により、徐々に大きくなると言われています。
子宮筋腫は、できる場所により子宮の外に発育する漿膜下筋腫、子宮筋層の中で大きくなる筋層内筋腫、子宮内腔に向かって粘膜下筋腫に分かれますが、このうち粘膜下筋腫が不正出血や過多月経の原因となります。
子宮筋腫は必ずしも治療が必要な腫瘍ではありませんが、症状をきたす場合は治療が必要となります。ホルモン療法で筋腫の発育を抑えたり小さくしたりすることができますが、根本的な治療法は手術となります。手術には子宮を残す子宮筋腫核出術や、子宮全摘術などがあります。

子宮内膜症

子宮内膜ポリープとは、何らかの原因で子宮内膜の一部が過剰に増殖し、子宮の内腔に突出したものを指します。一般的には良性であることがほとんどです。症状がないこともありますが、不正出血や過多月経、不妊症などの症状を呈することがあります。
症状がない場合は治療をせず経過観察をすることもありますが、症状がある場合や悪性腫瘍の可能性がある場合は手術による治療が必要となります。

子宮頚管ポリープ

子宮の入り口で子宮頸部の粘膜の一部が増殖することにより、茎状に突出してくる腫瘍です。ほとんどの場合良性で、子宮口から飛び出していることが多いです。
性交時や激しい運動時に不正出血の原因となることがあります。
子宮頸管ポリープも症状がない場合は切除せず経過観察することもありますが、子宮口から飛び出しているため外来などでも容易に切除できるものもあるため原則切除されることが多いです。大きいものや茎が大きいものは、麻酔下や入院での切除が必要となる場合もあります。

クラミジア頸管炎

性行為などによりクラミジアの病原体が子宮の入り口に感染し、炎症を起こした状態です。時間の経過とともに卵管を通じてお腹の中に広がり、骨盤内で炎症を起こしたり、肝臓の周囲にまで広がり炎症を起こしたりすることもあります（肝周囲炎と呼ばれます）。
症状としては水っぽいおりものの増加などのおりものの異常に加え、性交時痛やまれに不正出血などが起こります。お腹の中に広がった場合、強い腹痛を生じることもあります。しかし、クラミジア頸管炎の半数以上は全く症状がないと言われています。早期発見されないまま放置すると、卵管炎を起こし不妊症の原因となることがあります。
オーラルセックスなどを通じて咽頭（のど）にも感染することがあり、クラミジア咽頭炎と呼ばれます。
おりものの異常など症状のある時はもちろん、パートナーがクラミジアの診断を受けたなど、症状がなくても心配があれば早めに検査を受けることが非常に重要です。
また、クラミジアの診断を受けた場合、パートナーの検査や治療も必要です。
治療は、通常抗菌薬の内服で行います。内服後は、2～3週間後に再検査を受けて治癒したことの確認が必須です。

淋菌性頸管炎

淋菌が性行為などにより感染することで生じます。
やや黄色っぽいおりものや排尿時の痛み、腹痛、不正出血などの症状をきたすことがありますが、症状がないことも多いです。放置し子宮内に感染が広がると、子宮内膜炎や骨盤内での炎症を起こし強い腹痛を起こすこともあります。オーラルセックスなどでのどに感染し、咽頭痛やイガイガ感が出現することもあります。
淋菌も症状が全くないこともあり、治療されず長期間放置されると卵管炎をおこし不妊症の原因となります。
淋菌もクラミジアと同様に早期検査や、パートナーの検査・治療が重要になってきます。

「おりものが茶色い」ときの正しい対処法は？

茶色いおりものが出る症状では、病気ではなくそのまま様子を見ていてもよい場合と、病気が隠れており診断や治療が必要な場合とがあります。重要なのは、ここまでで説明してきた病気ではない状態の症状と似ているからといって自己診断のみで終わらせないことです。
病気ではない場合でも、必要な診察や検査を受けてそれらの全てに異常がないことを確認した上で、そのように結論付けることができます。おりものが茶色くなる症状の中には子宮のがんなど命にかかわる病気もありますので、必ず産婦人科で診察を受けてから判断するようにしてください。定期的に子宮頸がん検診を受けることも非常に重要です。

まとめ

今回は茶色いおりものが出た場合に考えられる状態について解説しました。
茶色いおりものが出るとき、病気が隠れている場合とそうでない場合、妊娠に関係する場合とがあります。
異常ではない生理的なケースもありますが、子宮のがんなど早期発見が非常に大切な病気が隠れている可能性もあります。結果的に問題ないものであっても、必ず一度産婦人科を受診し症状について相談しましょう。

「おりものが茶色い」症状で考えられる病気

「おりものが茶色い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

病気ではない状態の症状と似ているからといって、自己診断のみで終わらせないことは重要なことです。

「おりものが茶色い」に似ている症状・関連する症状

「おりものが茶色い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「おりものが茶色い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「子宮頸がん」「子宮体がん」「子宮筋腫」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」「クラミジア頚管炎」「淋菌性頚管炎」「妊娠」などの疾患の可能性が考えられます。腹痛がある場合やおりものが茶色い以外におりものが臭う場合、おりものが茶色い以外におりものが水っぽい場合には、早めに医療機関を受診しましょう。