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「歯茎がめくれる」原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

「歯茎がめくれる」原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

歯茎がめくれるのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

見立 英史

監修歯科医師
見立 英史(福岡歯科大学 口腔外科)

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九州大学歯学部卒業。親知らずの抜歯をはじめ、口腔粘膜疾患、口腔がんの診療を行なっている。日本口腔外科学会指導医・専門医、日本口腔科学会認定医。

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「歯茎がめくれる」症状で考えられる病気と対処法

歯磨きをしていてふと鏡を見ると、歯茎がめくれていることに気づいた、ということはありませんか?前歯のこともあれば、奥歯あたりの歯肉がめくれていることもあります。このように。歯茎がめくれるような症状を認めた時、どういう病気が考えられるのでしょうか?そしてその対処法を説明します。

奥歯の歯茎がめくれる症状で考えられる原因と治し方

奥歯の歯茎がめくれる症状で、考えられるものには、いくつかあります。

  • 1) 火傷・外傷
  • 2) 永久歯、親知らずなどが生えてくるため(歯肉弁)
  • 3) 剝離性歯肉炎
  • 4) 扁平苔癬(へんぺいたいせん)

などです。それぞれの詳細は後ほど説明していきます。

親知らずが生えかけで歯茎がめくれる症状で考えられる原因と治し方

親知らずは大学生のあたりの年齢から生え出して来る一番最後の永久歯です。全く出来ない方もいれば、横向きになっていて生えてこない場合もよく見られます。これは、人類の進化のプロセスで、小顔傾向にあるために、まっすぐ生えるだけのスペースがなかったから、という説があります。

親知らずが歯肉をやぶって生えてこようとする時は、歯肉がめくれ、痛みをともなうことがあります。痛みに対しては鎮痛剤を内服することも1案ですが、歯肉炎などを起こすことは避けたいものです。そのため、まずはお口の中を清潔に保ちましょう。歯磨きを起床時、毎食後、寝る前などしっかり行います。うがい薬を併用するのもいいでしょう。

数日様子を見ても歯肉の痛みやめくれているのが改善しないようであれば、歯科医院で診てもらいましょう。清潔にするだけでいいのか、処置が必要なのかを診てもらいます。歯肉を切り取って洗いやすくする処置(歯肉弁切除術)を受けた方が、その後の経過が良い時もあります。

親知らずの抜歯後に歯茎がめくれる症状で考えられる原因と治し方

親知らずを抜歯した後で、歯肉がめくれている、というお悩みをよくおうけします。

この原因には、親知らずを抜歯する方法によるものが多いようです。完全に埋もれている親知らずはもちろんのこと、斜めになって生えている親知らずは、抜歯する際に器具を入れてすぐに抜歯できるわけではありません。一度歯肉をめくり、必要に応じて骨を削ったり歯を分割したりして歯を抜去します。その後に歯肉を縫合して終了します。この縫合は、歯肉を元の位置に戻すことが目的の場合もあれば、抜けたところを完全閉鎖するように縫合することもあります。つまり、歯肉がめくれやすいのは、手術で歯肉をめくってまた縫合するためです。

歯肉の形は時間とともになじむように徐々に変形しながら治っていきます。まずは抜歯して1か月間ほど、歯肉がめくれることが落ち着いていくか様子をみてください。それでも改善しない時は、抜歯した歯科医院で歯科医師に確認してもらいましょう。

6歳臼歯の歯茎がめくれる症状で考えられる原因と治し方

6歳臼歯(第一大臼歯)は、永久歯の大臼歯の中で、最初に生えてきます。その名前の通り、6歳ごろに生えてきます。歯肉を破って生えてこようとする時は、歯肉がめくれ、痛みをともなうことがあります。先ほど述べた親知らずとほぼ同じで、歯肉炎などを起こすことを予防しましょう。まずはお口の中を清潔に保ちましょう。歯磨きを起床時、毎食後、寝る前などしっかり行います。うがい薬を併用するのもいいでしょう。

数日様子を見ても歯肉の痛みやめくれているのが改善しないようであれば、歯科医院で診てもらいましょう。清潔にするだけでいいのか、処置が必要なのかを診てもらいます。歯肉を切り取って洗いやすくする処置(歯肉弁切除術)を受けた方が、その後の経過が良い時もあります。

歯茎がめくれて痛い症状で考えられる原因と治し方

歯茎がめくれて痛い場合、主に3つが考えられます。
まず多いのは、火傷や外傷によるものです。熱い食べ物を食べたり、タバコを吸うことで、火傷を起こすことがあります。特に寒い季節では、熱い食べ物が欲しくなるため、火傷する可能性も高くなります。
一方、固いものをよく食べる人や、急いで食べることが多い方は、箸やフォークなどで歯茎を傷つけてしまうことがあります。火傷や外傷による傷は、ステロイド軟膏を1日1~2回程度塗布して治りを待ちましょう。そして日頃からゆっくり食べるようにしましょう。

2つ目に多いのは、永久歯・親知らずなどがお口の中に生えてくるため、歯茎がめくれて痛いという場合です。これは歯が生えきってしまうまで症状が続きます。清潔に保つことをこころがけてください。

3つ目としては、剝離性歯肉炎というものです。これは歯茎の腫れ・ただれ・出血しやすい状態と、症状が軽くなる状態とが繰り返し現れるという特徴があります。原因が多彩なため、治療がとても難しい病気です。金属のアレルギー、天疱瘡(てんぽうそう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)という疾患との関連が指摘されています。

まずできることは、口の中を清潔に保つことです。また痛みが強い場合は、やわらかめの歯ブラシやヘッドの小さな歯ブラシを使い、ぬるま湯ですすぐようにします。原因を見つけることは難しいのですが、早めに歯科医院を受診して、対症療法としてステロイド軟膏などを処方してもらいましょう。

痛くないが歯茎がめくれている症状で考えられる原因と治し方

歯茎がめくれているけれども痛みがない場合、先ほど述べた火傷や外傷が軽症で済んだ場合の他に、扁平苔癬という疾患の可能性があります。
扁平苔癬とは、歯茎にレース様のような白い模様ができることが特徴です。すぐ近くに金属の被せ物が入っていたり、レジンという白い詰め物が入っている場合に、これらの物質に対するアレルギーとして現れているという説がありますが、詳しい原因については不明なこともあります。また、剥離性歯肉炎と同じく、症状が軽い時期と重い時期を繰り返します。

扁平苔癬そのものは良性の疾患ですが、他の疾患に比べて口腔がんに進展する可能性のある病変とされています。これは口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)といいます。痛みが無いうちはまだ良性の時期のことが多いのですが、酸味・塩味などの刺激物や、接触痛といった痛みが出るようになったら、悪性化の可能性も出てきます。なるべく早く歯科医院か耳鼻咽喉科を受診してください。

まず、扁平苔癬は、なるべく早めに歯科医院を受診して相談しましょう。一番問題となるのは、悪性化していないかどうかです。万一悪性化していた場合でも、早期発見により、最小限の切除で済む可能性があります。

次に、ステロイド軟膏を使っても症状が変化しない場合は、すぐに歯科医院か耳鼻咽喉科を受診しましょう。治りにくい(難治性)口内炎の可能性の他に、歯肉がんの可能性を否定できないからです。

すぐに病院へ行くべき「歯茎がめくれる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

痛みがある、長期間治らない場合は、歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科へ

痛みがある、というのは、体にとって何か良くない刺激が加わっている、神経にダメージを受けるような刺激を受けている、というシグナルとも言えます。この刺激の原因を早めに解決することが必要です。痛みがある、長期間治らないという場合は、早めに歯科・口腔外科、もしくは耳鼻咽喉科を受診し、チェックしてもらいましょう。

受診・予防の目安となる「歯茎がめくれる」ときのセルフチェック法

  • ・歯茎がめくれる以外に歯が生えてきている場合
  • ・歯茎がめくれる以外にしみるような痛みがある場合
  • ・歯茎がめくれる以外に歯茎に白っぽい病変がある場合

「歯茎がめくれる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「歯茎がめくれる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

剥離性歯肉炎

剥離性歯肉炎は、歯茎の腫れ・ただれ・出血しやすい状態と、症状が軽くなる状態とが繰り返し現れる特徴があります。金属のアレルギー、天疱瘡(てんぽうそう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)という疾患との関連が指摘されていますが、原因をつきとめるのが困難なので、対症療法になります。症状を認めたら、歯科医院もしくは耳鼻咽喉科で相談してください。
基本はお口の中を清潔に保つこと、それと合わせてステロイドの軟膏や噴霧式口内炎治療剤を使って、症状をマネジメントしていくことになります。症状は繰り返すので、長期戦になると思ってください。

歯肉弁

歯肉弁は、歯が生える時に歯肉を破って出てきます。その際の破れた歯肉を歯肉弁と言います。食べかすが入りやすく、歯磨きもしにくいため、炎症を起こしやすいというリスクがあります。
綺麗に保つように歯科医院で切除してもらうことで、症状が軽減することが期待できます。

「歯茎がめくれる」ときの正しい対処法は?

歯茎がめくれる時は、歯茎に何らかの問題が起きていると言えます。外部からの傷、火傷のようなものから、アレルギーのような免疫系の何かが過敏になっているか、などです。

原因を見極めるのは難しいのですが、いずれの場合でも基本はお口の中を清潔に保つことです。歯磨きはできる範囲にとどめていただき、めくれた部分を綺麗にするのは歯磨き後のうがいでも十分構いません。

「歯茎がめくれる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「歯茎がめくれる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

歯茎がめくれる・剥がれるのは歯肉弁の症状でしょうか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

歯茎がめくれる・剥がれるのは歯肉弁の症状の可能性があります。しかし、それだけではありません。火傷、外傷、剥離性歯肉炎、扁平苔癬など、様々な原因が考えられます。

歯茎が一部だけめくれて取れそうです。痛くなくても危険でしょうか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

抜歯をしたなど、明らかな原因が無い場合は、痛くなくても歯科医院でチェックしてもらいましょう。なぜ歯茎がめくれているのか、治療薬を処方してもらうこと、そして治る見込みはあるのかなどを確認しておくべきでしょう。

前歯や奥歯の歯茎がめくれているのは治りますか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

歯茎がめくれる原因によっては、治る場合と、悪化する場合があります。また治る場合も難治性口内炎のように長期間かかる場合もあります。悪性の疾患がある場合は、治ることはありません。いずれにしても、早めに歯科医院で診断してもらうことが必要です。

歯茎がめくれるときは歯医者に行った方がいいですか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

自己判断ではなかなか治らない時や、悪性の病変だったりすることもありえますので、歯科医院に早めの受診をした方がいいでしょう。

まとめ

歯肉がめくれることは、火傷や外傷、歯が生えてきているなど、原因として思い当たる出来事があれば、原因に気づくかと思います。しかし、思い当たるものがない場合も多いものです。長期間、安易に自己判断せず、早めに歯科医院で診てもらって、診断と治療方法を相談することをお勧めします。

「歯茎がめくれる」症状で考えられる病気

「歯茎がめくれる」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

歯科の病気

内科、皮膚科の病気

  • 天疱瘡
  • 類天疱瘡

腫瘍内科の病気

  • 転移性腫瘍(他の臓器の腫瘍が歯茎に転移したもの)

何らかの原因が思い当たる場合にはわかりやすいのですが、思い当たるものがないことも少なからずあります。長期間、安易に自己判断せずに、歯科医院に相談することをお勧めします。

「歯茎がめくれる」に似ている症状・関連する症状

「歯茎がめくれる」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 歯茎が腫れている
  • 歯がグラグラしている
  • 歯茎から出血する
  • 歯茎が変色している

「歯茎がめくれる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「歯肉弁」「剥離性歯肉炎」「扁平苔癬」「歯肉がん」「天疱瘡」「類天疱瘡」「転移性腫瘍」などの疾患の可能性が考えられます。歯が生えてきている場合、歯茎にしみるような痛みがある場合、歯茎に白っぽい病変がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修歯科医師