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「唾液が多い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

唾液が多い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

森崎 剛史 医師

監修医師
森崎 剛史 医師

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鳥取大学医学部卒業。医学博士。耳鼻咽喉科全般、声の疾患、甲状腺腫瘍を専門に診療にあたっている。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本内分泌外科学会認定内分泌外科専門医の資格を有する。

「唾液が多い」症状で考えられる病気と対処法

唾液が多い症状には具体的に、唾液が多く常にティッシュで口を拭かなければならない、口の中に泡が多い・しゃべりにくい、外出がおっくうである、などの症状があり、困っているという方が少なくありません。精神的な問題とされやすいこの症状ですが、実際はどうなのか、解説します。

唾液が多い・通常より増えた症状で考えられる原因と治し方

唾液が多いと感じる原因には様々ありますが、実際に唾液分泌が増えている場合と、唾液が増えていないのに増えたと感じる場合があります。人間は唾液を普段無意識に飲み込んでいる(嚥下)のですが、この嚥下機能が低下しているときには、唾液の量が同じでも飲み込む量が減って唾液があふれるようになり唾液が増えたと感じます。抜歯後であることや、虫歯、口内炎などの炎症が刺激になって唾液が増える、同時に痛みにより飲み込みづらくなっているといった、両方の原因が混在していることもあります。嚥下機能が低下する病気にはパーキンソン病、進行性核上性麻痺、筋萎縮性側索硬化症、その他に単に加齢による嚥下機能低下も十分にありえます。
まずは総合診療科、内科、耳鼻咽喉科、歯科・口腔外科などを受診して相談することになります。

唾液が多く、吐き気を催す症状で考えられる原因と治し方

胃腸の不調からくる吐き気に唾液の増加が伴っている場合は、まずは胃炎を考えます。胃潰瘍や膵炎などでも同様の症状を起こします。胃炎では胃を休めるためにしばらく食事をやめておく、市販の胃薬を飲む、などで対応可能ですが、胃潰瘍膵炎は放置すると危険ですので、内科へお早めに受診することをお勧めします。他に、唾液分泌を増やす毒物を口にした可能性が考えられます。水銀、鉛、ヨード、ヒ素、ニコチンなどです。毒物を口にした場合には、急いで病院を受診して胃から出してもらう必要があります。
休日夜間でもすぐに病院の救急外来を受診してください。

唾液が多く、ストレスを感じる症状で考えられる原因と治し方

ストレスを感じていて唾液が多いということは、精神的な側面が主に影響していることが考えられます。仕事や家庭の人間関係の疲れや業務量の過多があると、なにかしらの異変が体に現れるようになりますが、唾液が多くなる方もおられます。唾液は自律神経の働きで分泌量が調整されますから、ストレスによる自律神経の乱れが唾液の増加につながることは考えられますし、ストレスから喉の違和感を感じることで嚥下頻度が低下していて唾液が多くなっていることが考えられます。
この場合は病院での処方でもなかなか改善しませんので、ご自身の環境を整えること、休養をとることが解決策となるでしょう。また、パニック障害やヒステリーなどの病気で唾液が増えるという場合もありますので、精神科や心療内科への受診も検討するべきかもしれません。

唾液が多く、喉が痛い症状で考えられる原因と治し方

唾液が喉を通って胃に流れていかないような場合は、唾液の分泌が多い少ないに関わらず唾液があふれて多いと感じるはずです。これは前述の嚥下機能低下のほかに、唾液の通り道が物理的に塞がれている場合にもあてはまります。喉の痛みがあるようでしたら喉に腫瘍ができている可能性があります。喉が痛く固形物が喉を通りにくい、飲み込もうとしたら吐いてしまう、声がかすれる、食事のときにむせて咳が出る、しゃべりにくいなどの症状があるようでしたら、喉の腫瘍がないかどうかを調べてもらう必要がありますので、なるべくお早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

妊娠中で唾液が多い症状で考えられる原因と治し方

妊娠中には、つわりの吐き気が引き金となって唾液が多い症状が現れることがよくあります。つわりがおさまれば自然と唾液も改善していくことがほとんどです。まれに、つわりがおさまった後や出産後にも唾液の多い症状が続く方がおられます。この場合には、つわりのときの体験をきっかけにして、唾液のことに意識が向きすぎ、それまで無意識に飲み込めていた唾液の嚥下を毎回意識してしまっているために唾液が多いと感じる状態となっている方がほとんどです。「気にしないでおこう」とするのは意識をさらに向けることになり逆効果ですので、「今は唾液が多いけどそういう時期もある」と気楽に思うようにして過ごしていればそのうち改善することでしょう。精神科や心療内科、漢方外来を受診してうつの薬や不安神経症の薬、漢方薬を出してもらう方も多いのですが効果のある方は一部です。薬を試してみたい方は受診するのも良いと思います。
妊娠で血液の必要量が増えることで相対的な鉄分不足、貧血になっている場合があります。貧血では舌の味覚を感じる装置が萎縮してしまって、味覚異常、さらにそれが引き金となり唾液の多い症状が出現することがあります。妊娠中には鉄分も不足しないように注意しましょう。

すぐに病院へ行くべき「唾液が多い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

唾液が多く、吐き気があり、毒物を口にした可能性のある場合は、内科、救急科へ

人体にとって有害な毒物(水銀、鉛、ヨード、ヒ素、ニコチン)による吐き気、唾液の多さであれば、緊急で治療を受ける必要があります。これらの毒物は人体にとって致死的となる可能性を持っています。受診時には緊急性があることを電話口や窓口で必ず伝えるようにして何時間も診察を待つことの無いように取り次いでもらいましょう。

「唾液が多い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「唾液が多い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

唾液分泌過多・唾液過多症

唾液分泌過多症では、実際に唾液分泌が増加する真性唾液過多と、唾液の分泌自体は増加していないにも関わらず嚥下などの問題で唾液が多いと感じる仮性唾液過多があるとされています。真性唾液過多は医療者でもめったに遭遇することがなく、遭遇しただけで珍しさから学会や論文で報告されているほどです。そもそも唾液の分泌量の正常値自体が曖昧であることもあり、真性唾液過多は無いと断言する医療者もおります。つまり、唾液が多いと感じる方のほとんどが仮性唾液過多ということになります。吐き気、胃の痛みが刺激になって唾液分泌が増えると言われていますがこれを証明することは難しく、この場合の唾液が多い感じも、唾液の量自体は変わっていないのかもしれません。病院で異常が指摘されないようであれば、休養を意識しつつ普通の生活を送っていくうちに改善することも多いようです。病院では耳鼻咽喉科や歯科・口腔外科への受診となります。

嚥下障害(えんげしょうがい)

嚥下障害とは、口の中のものを飲み込む嚥下機能が低下している状態のことです。嚥下機能が低下する病気にはパーキンソン病、進行性核上性麻痺、筋萎縮性側索硬化症などがあります。その他に単に加齢による嚥下機能低下も十分にありえます。また、首や喉の手術、放射線治療の結果として起こることもあります。まずは病院の耳鼻咽喉科を受診して相談することになります。

口腔虚弱(オーラルフレイル)

オーラルフレイルは口腔機能の衰えのことで、まだ病気とまではなっていないがその予備軍といった概念です。この段階で適切に対応すれば、口腔機能が健康な状態に戻るといわれています。進むと噛んだり飲み込んだりといった機能が低下して、元には戻らなくなってしまいます。症状は滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細なものであり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。歯周病やむし歯などで歯を失った際には、適切な処置を受けることはもちろん、定期的に歯や口の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要です。また、地域で開催される介護予防事業など、さまざまな口腔機能向上のための教室やセミナーなどを活用することも効果的です。

ドライマウス

ドライマウスとは唾液の分泌量が減っている状態の総称です。口が乾く、口がねばつく、唾液が溜まっている、水をよく飲む、話しづらい、食事しづらい、舌が痛い、口臭が気になるなどの症状がでます。薬の副作用、糖尿病、腎臓病、膠原病、ストレス、口呼吸、加齢など、原因は多岐にわたります。このうち、全身の病気(糖尿病、腎臓病、膠原病)の一症状がドライマウスとして現れているようでしたら早めに原因となっている病気を診断してもらう必要があります。まずはドライマウスになっているかどうかを調べてもらうために、歯科・口腔外科への受診をお勧めします。

「唾液が多い」ときの正しい対処法・予防法は?

唾液が多いと感じるときは、全身の問題や嚥下の問題を起こす病気が潜んでいないか病院を受診することになりますが、病院で異常が指摘されないようであれば、休養を意識しつつ普通の生活を送っていくうちに改善することも多いようです。どうしても気になってしまうときには漢方薬の補中益気湯を試すと効果がある方がおられます。ただし、妊娠中の服用はなるべく避けたほうが無難です。つわりで唾液が多い場合は、無理に抑えようとせず、おちついて唾液を飲み込みながら普通の生活を送ってください。
また、他の漢方薬と一緒に飲むと生薬のとりすぎになる可能性がありますので、薬剤師さんに相談するのが良いでしょう。肝臓、肺に持病のある方は。悪化するリスクがありますので服用は控えてください。唾液が多い症状を早く治そうとすると、かえって意識が唾液に向かってしまい、改善まで長期化するかもしれませんので、焦らないことが重要です。唾液が多いと感じていると、唾液を飲み込む回数が増えていることが考えられますので、深い呼吸は空気を一緒に飲み込んでしまう呑気症となるリスクがあります。鼻呼吸で、通常の深さの呼吸を行ってください。自律神経を整えるために、温度調整水分補給はこまめに上手に行ってください。嚥下機能を向上させる「嚥下体操」がリハビリやトレーニングには良いでしょう。飲酒、喫煙は唾液を増やす原因になりますので、中止してください。食事や睡眠の方法については特に変える必要はないでしょう。

「唾液が多い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「唾液が多い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

最近急に唾液が増えた気がします。放置しても大丈夫でしょうか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

気になる場合に内科へご相談ください。

無意識に唾液が溢れることがあります。何科を受診すべきですか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

歯科・口腔外科がよいでしょう。

嚥下機能の低下でよだれが出る場合、どんな治療法がありますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

まずはリハビリで嚥下体操などの指導を受け実践してみる治療があります。嚥下障害が不可逆である(元の状態に戻らない)場合は嚥下改善手術という手術治療も選択肢に入ってきます。

健康な範囲で唾液が多いことのメリットを教えてください。

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

唾液が少ないと、口がねばつく、水をよく飲む、話しづらい、食事しづらいなどの症状がおこります。そのため、唾液が多いことはこれらのトラブルと無縁になれるという良い点もあります。

まとめ

唾液が多い症状があっても、他に気になる症状が何もないのあれば心配しすぎるのはよくないです。唾液の多さが気になる以外の症状がなければ、全身の病気などが起こっている可能性は医師の見解として決して高くないと思います。一時的なものだと割り切って、唾液の感覚と向き合っていくという気持ちの切り替えが重要となります。なかなか症状の辛さが人にわかってもらえない状態でもありますので、精神的にストレスを溜め込まないように、身近な人には遠慮せず自分の症状の辛さを伝えていくことも重要です。

「唾液が多い」で考えられる病気と特徴

「唾液が多い」から医師が考えられる病気は15個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

神経科の病気

精神科の病気

吐き気が引き金になり唾液が増えることから、消化器に関係する疾患が多いこと、特徴的な嚥下障害を呈する神経系疾患が多いことがわかります。また、精神的な要素も大きく関与してくる症状ですので、精神系の疾患も考えられます。

「唾液が多い」と関連のある症状

「唾液が多い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 唾液が多く、吐き気を催す
  • 唾液が多く、ストレスを感じる
  • 唾液が多く、喉が痛い
  • 妊娠中で唾液が多い

「唾液が多い」症状の他に、これらの症状がある場合も「胃炎」「胃潰瘍」「膵炎」「口内炎」「パーキンソン病」「進行性核上性麻痺」「筋萎縮性側索硬化症」「毒物中毒」「パニック障害」、ヒステリー」「咽頭腫瘍」「つわり」などの疾患の可能性が考えられます。当てはまる場合はなるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

この記事の監修医師