加藤先生
磯村さんがサウナ好きだということを知っている人は多いと思うのですが、サウナにはけっこう入りますか?
磯村さん
入りますね。ただ、サウナに行き始めた頃に比べると、少なくなりました。
加藤先生
週に何回くらい行きますか?
磯村さん
週に2回行けたら自分の中では、満足ですね。
加藤先生
以前はもっと行っていたんですね?
磯村さん
週に5回行かないと、気が済まなかったです。
加藤先生
サウナへの入り方は、変わってきていますか?
磯村さん
すごく変わったと思います。
加藤先生
どのように変わりましたか?
磯村さん
最初の頃は、サウナ室に8〜10分入ってから水風呂に入り、休憩するサイクルを3セット繰り返すことが大事だと聞いて、その方法で入っていました。でも最近は、自分の心と会話しながら入ることが大切だと感じて、時間に縛られない入り方に変わりましたね。
加藤先生
時間や温度などの情報に縛られずに入るのは、医学的にも良い方法だと思いますね。磯村さんにとって、“ととのう”状態ってどんな感覚ですか?
磯村さん
浮いている感じです。
加藤先生
頭がスッキリする感覚はありますか?
磯村さん
頭がスッキリする感覚は、ととのった後に訪れます。“ととのう”状態は、医学的にも解明されているんですか?
加藤先生
完全には解明されていないです。自律神経を考えると一番わかりやすいので、まずは自律神経の説明をしますね。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は緊張している時に、副交感神経はリラックスしている時に活性化されます。
磯村さん
サウナや水風呂に入ると、それらはどの様に変化するのですか?
加藤先生
サウナや水風呂という環境は、体にとって異常な状態なので、まず交感神経が活性化します。サウナや水風呂の後に休憩をとると、人間はホッとするので、今度は反動をつけて副交感神経が優位な状態になります。
磯村さん
緊張状態から、リラックスした状態に変わるということですね。
加藤先生
はい。その時に重要なのが、体がリラックスした状態にあるにも関わらず、交感神経が活性化した時に血中に分泌された興奮物質がまだ残っているということです。この特殊な状態が、”ととのい”のメカニズムの一つと考えられています。人によって表現は異なりますが、体はすごくリラックスしているのに、ぐったりして眠い感じではなく、頭がスッキリした感覚になります。磯村さんのように浮遊感を感じる人も多いですね。
磯村さん
緊張とリラックスというギャップが大事なんですね。危機的な状況下にあれば、サウナ以外でも、“ととのう”状態になる可能性もあるのでしょうか?
加藤先生
ありますね。一番分かりやすいのが、ジェットコースターです。あとは、映画や音楽で感動して泣いた後のスッキリ感が“ととのう”状態に近いと思います。
磯村さん
“ととのう”感覚を説明するのって難しいですけれど、ジェットコースターや感動した後の状態を説明すると、分かりやすいですね。
加藤先生
磯村さんのお気に入りの施設や、印象に残っている施設などはありますか?
磯村さん
いくつもありますが、北海道にある白銀荘は、僕の中では良かったです。景色が良い場所や外気浴ができる施設は、印象に残ることが多いですね。
加藤先生
磯村さんは、いつ頃からサウナが好きになったんですか?
磯村さん
サウナが好きになったのは、ドラマ『サ道』への出演がきっかけですね。自分が「ととのった〜」というセリフを言うのに、その状態を知らなかったら嘘になりますから。クランクイン前にサウナに行き始めて、そこからはまっていきました。
加藤先生
磯村さんが感じる、サウナの最も大きい効果はなんでしょうか?
磯村さん
肉体的・精神的に疲弊していても、体が冷えていても、サウナに入るだけでマイナスの状態がゼロに戻るという感覚は、サウナでしか味わえない感覚だと思っています。
加藤先生
何か具体的なエピソードはありますか?
磯村さん
はい。冬場の雪の中で雨を降らしながら深夜ずっと撮影をする過酷な現場があったんですよ。その時も、撮影終わりにサウナに入って、寝るという生活をしていたら、体がずっと元気でしたね。あの時、サウナに出会っていなかったら、たぶん風邪を引いていただろうなって思います。
加藤先生
過酷な撮影ですね。そんな磯村さんにとってサウナとは、どんな存在ですか?
磯村さん
僕にとってサウナは、命の恩人ですね。サウナに出会っていなければ、挫折していただろうなって感じる場面がいくつもあります。それを救ってくれたのが、サウナです。