「超回復」でスポーツのパフォーマンスUP コンディショニングの重要性とは?
スポーツの試合などで思うような結果を出せなかったという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか? 実は、パフォーマンスは試合前のコンディショニングに左右される部分が大きいそうです。世田谷総合鍼灸整骨院の島崎先生に、その理由と対策を教えてもらいました。
監修柔道整復師:
島崎 建(世田谷総合鍼灸整骨院)
試合前後のコンディショニングって何のため?
編集部
試合前後のコンディショニングという言葉をよく聞きます。そもそもコンディショニングとはなんですか?
島崎先生
一般的にスポーツの領域でコンディショニングという言葉は、「競技で最上のパフォーマンスを行うために調子を整えること」という意味で使われています。厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」によれば、「コンディショニングとは運動競技において最高の能力を発揮出来るように精神面・肉体面・健康面などから状態を整えること」と述べられています。
編集部
具体的にどんなことを行うのですか?
島崎先生
非常に多岐にわたります。先述の厚生労働省によれば、コンディションは「体力」「精神」「技術」「医療」「栄養」「環境」といった要因から影響を受けていると語られており、これらに総合的にアプローチし、競技の際に能力を最大限に発揮出来るようにコントロールすることが大事、と語られています。
編集部
具体的に言うと?
島崎先生
たとえば、体力面でいえば筋力トレーニングや柔軟性トレーニングが必要ですし、精神面ではストレスケアやメンタルトレーニングが大切です。また医療面ではスポーツ医学やアスレチック・リハビリテーション、栄養面ではスポーツ栄養学など、非常に多岐にわたる要因が求められます。これらは独立しているのではなく、密接に関わりを持っており、これらの要因を総合的に取り入れることが最良のコンディショニングと言えるでしょう。
試合前のコンディショニングで大切なこと
編集部
試合前後でコンディショニングが必要ということですが、まず、試合前に大切なことはなんですか?
島崎先生
エネルギーが蓄えられていることやストレスがたまっていないこと、疲労感がないこと、質の良い睡眠を取ることなど重要なことはたくさんありますが、まず大切なのは、練習をやりすぎないということです。
編集部
それはなぜですか?
島崎先生
前日に練習を多く行うと、当日にエネルギーが欠乏したり、筋疲労が残ったりしてパフォーマンスの低下を招きます。前日は軽めのトレーニングで汗を流すくらいにして、疲労を翌日に持ち越さないようにしましょう。
編集部
練習をやりすぎてはいけないのですね。
島崎先生
筋肉は、トレーニングによって破壊された筋肉が再生することで、以前より強化された状態になります。これを「超回復」といい、試合に最高の状態で臨むためには、試合当日を「超回復」の状態にもっていくことが大切です。
編集部
超回復のタイミングがずれるとどうなるのですか?
島崎先生
超回復のピークを過ぎると再び退化が始まるため、あらかじめ「トレーニングをしたら、どれくらいで体力が回復して超回復の状態になるか」を知っておくことはとても大切。そのペースを見越して、試合前からトレーニングプログラムを考えることが必要です。
編集部
試合の当日を最高の状態にするには、普段から気をつけなければいけないことがたくさんあるのですね。
島崎先生
多くの場合、試合前はマッサージで筋肉をほぐすよりも、筋肉に適度に張りがある状態をキープしておいた方が、試合当日好成績を残せるようです。だからこそ、正しいコンデショニング・アプローチが必要になります。
試合後のコンディショニング
編集部
一方、試合後のコンディショニングで気をつけることはありますか?
島崎先生
疲労を最小限にとどめて普段のトレーニングに戻るには、リカバリーが大切です。リカバリーとは「回復」の意味であり、そのために最も大切なのは睡眠と食事です。
編集部
具体的にはどんなことに気をつけたらよいですか?
島崎先生
まずは質の良い睡眠をしっかりとること。それから試合後で疲れて食欲が落ちていても、タンパク質と糖質をしっかり摂ることも大切です。
編集部
栄養をしっかり摂ることがリカバリーに関係するのですね。
島崎先生
ハードな運動をしたあとは、筋疲労が起きています。筋疲労とは過剰に筋肉を使いすぎたことによって筋肉が疲労し、筋肉が十分な力を発揮できない状態のことです。筋疲労が起きているときにはタンパク質やグリコーゲンの不足が考えられるので、これらの栄養素をしっかり補うことが必要です。特にタンパク質は筋肉を増やすだけでなく、損傷を受けた筋肉を回復させる働きもあるのできちんと摂りましょう。
編集部
そのほかに注意点は?
島崎先生
筋疲労を残さないために、しっかりクールダウンを行うことも大切です。軽目のジョギングを行ってから軽くストレッチを行うなどして、なるべく早く疲労物質が分解し、代謝されていくように血流を良くすることを心がけましょう。また、痛みなどがある場合には患部をアイシングし、炎症を抑制するようにしましょう。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。
島崎先生
スポーツの「前」に行うコンディショニングに集中し、「後」のコンディショニング、言い換えればアフターケアを行っていないという人が少なくありません。しかし、スポーツの「後」に行うべきコンディショニングを怠ると、疲労が長期にわたって蓄積されるだけでなく、その疲労が原因となって筋肉が硬くなり、可動域が狭まることにより、ケガを生じやすくなります。スポーツの「後」に行うコンディショニングでは、強張っている筋肉をストレッチやマッサージでほぐし、筋肉と可動域の回復を促すことが重要です。自分で行うことが難しい場合には鍼灸や整骨院などに相談すると、適切な処置を受けられるかもしれません。スポーツ「後」のコンディショニングをあまり意識していないという場合は、パフォーマンスを上げるためにも、また、ケガを予防するためにも、一度、治療院で相談することをおすすめします。
編集部まとめ
最近、コンディショニングという言葉を耳にする機会が増えました。しかし実際にはどのようなことをやっているのか、あまり理解していなかった人も多いと思います。もし、「一生懸命練習しているのに成績が上がらない」「試合後にいつまでも疲労が残る」というような悩みを抱えている場合には、ぜひ一度、整骨院などでアドバイスを受けたり、必要な施術を受けたりすると良いかもしれません。
医院情報
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診療科目 | 整骨院 |