肩こり・腰痛がある人がやるべき運動とは? 身体のプロが解説
肩こりや腰痛は、日本の国民病と言っても過言ではないほどたくさんの人々を悩ませています。そこで肩こりや腰痛など、不調がある人が改善・緩和のためにやるべき運動について、柔道整復師の長島康之先生(nicori整骨院)に、Medical DOC編集部が話を聞きました。
監修柔道整復師:
長島 康之(nicori整骨院)
目次 -INDEX-
不調や痛みはどうして起こる? 肩こりについても教えて!
編集部
怪我ではないのに体のどこかが動かしにくくなるのにはどんな理由があるのですか?
長島先生
※代償動作:身体の機能低下や痛みなどにより、動作や運動が正しく行えなくなった時に、ほかの筋肉や関節運動で補って行うこと。無意識に行われることが多い
編集部
なるほど。体の安定性が関わっているのですね。
長島先生
あとは足裏の安定性がなく、体の軸がブレることでも代償動作が出やすくなります。また、不調や痛みは筋肉の使い方だけが原因ではなく、姿勢や冷え、心理的・社会的要因など、様々なことが関係していると考えられます。
編集部
確かに肩こりなどは姿勢と関係していますよね。
長島先生
その通りです。首・肩の不調や痛みの原因は姿勢の悪さ、もっと言うと胸椎(背中)の柔軟性低下が原因である場合が多くみられます。胸椎がしっかり動かないと、首や肩など、周りの関節や筋肉に不必要な負担がかかってしまい、痛みが表れる人もいます。ほかには首、背中、胸部の筋肉の硬さ、インナーマッスルの弱さが原因で痛みが表れている方も多いですね。
編集部
肩こりの時は、背中も痛くなってしまいます。
長島先生
姿勢は悪くないのに肩甲骨や背中のあたりが痛くなったりこわばったりする方は、ストレスなどで自律神経が乱れてしまっているかもしれません。ストレスにより自律神経が乱れると、交感神経が優位になり、心身が緊張しやすくなります。心身が緊張すると筋肉がこわばりやすくなり、結果として不調や痛みを引き起こしやすくなるのです。
腰痛で悩んでいる人はどうしたら良い? 自分でできるケアはある?
編集部
では、腰痛はどうですか?
長島先生
腰痛は日本人に起こりやすい痛みTOP3に入る国民病の1つです。ここ数年の間に、在宅ワークを推奨する企業が著しく増え、通勤などで歩いたり、階段を登り降りしたりする機会が減ったことも影響してなのか、デスクワークでの腰痛に悩む方が非常に増えていると感じます。
編集部
体を動かす機会が減ると、腰痛が増えるのですか?
長島先生
長時間のデスクワークなどの同じ姿勢により、胸椎や股関節がこわばって可動域が減ると、胸と股関節の間にある腰椎に負担がかかり、痛みを引き起こしやすいのです。また、お尻や太ももの筋肉の硬さが原因となることもあります。年齢とともに低下する筋力、とくに深層にあるインナーマッスルの筋力低下によって不必要な負担がかかることが原因となっていることが多いようです。
編集部
肩こりや腰痛に悩む人はどのようにしたら良いですか?
長島先生
例えば、デスクワークで肩こりや腰痛になっている人は、椅子の高さを工夫するだけでも姿勢が整ったり、背骨や筋肉への負担を減らしたりすることができると思います。「座ったときにしっかり足の裏が床につく高さ」かつ「肩をリラックスしてデスクに手を置いた時、肘が直角くらいに曲がっている」のが理想的とされています。
編集部
では、肩こりや腰痛に悩む人が自分でできる運動などは何かありますか?
長島先生
繰り返しになりますが、胸椎や股関節の柔軟性が大事だと考えています。例えば股関節のストレッチとしては、仰向けに寝て、片方の膝を抱え込むのがお勧め。この時、特に股関節を内側にねじる方向を意識すると、より効果的です。また、呼吸のトレーニングも重要だと考えています。仰向けに寝て、「大きく息を吸って、できるだけゆっくり吐く」ということを何回かやっていただくのも良いと思います。
セルフケアでも良くならない不調はどうしたら良い?
編集部
セルフケアで改善できるのは嬉しいですね。
長島先生
はい。しかし、あくまでもこれは一例です。肩こりや腰痛の原因は人それぞれであり、ある人にとっては効果のある運動が、別の人にとっては逆効果ということも考えられます。そうならないためにも、一度整骨院などで見てもらって、自分の体に合った適切な運動を指導してもらうのが良いでしょう。
編集部
整骨院に行くと、自分でできる運動を指導してもらえるのですか?
長島先生
そうですね。例えば「姿勢を良くする」と言っても、猫背の方と反り腰の方では、必要な運動や筋肉は異なります。それぞれの体の状態を踏まえた上で、必要な運動を教えてもらうと、効果も出やすく、症状改善のスピードも早いと思います。
編集部
整骨院では、運動指導のほかにどんなことを受けられるのですか?
長島先生
まずは、それぞれの不調や痛みの原因を分析し、必要と思われる手技療法や微弱電流、電気治療、温熱機器などを用いた施術を進めていきます。さらに、症状に応じて肩甲骨や胸椎、骨盤や股関節など、骨格のバランスを整える施術も行います。そして、再発防止のために、自宅でできる柔軟性を高めるセルフケアや安定性を高める運動などもお伝えしています。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
長島先生
肩こり・腰痛に悩む方に特に大事なのは、柔軟性、つまり「動くところがきちんと動いている」ということだと思います。様々な要因から、思いもかけないところがこわばって動かなくなっている方がとても多いと感じています。また、心理面・環境面もとても大事ですので、ぜひ体のことだけにフォーカスするのではなく、ストレスを減らし、穏やかな気持ちで過ごすように心がけてみてください。ご自身でのケアに限界を感じた方は、ぜひ専門家に相談することをお勧めします。
編集部まとめ
安定するべきところが安定し、動くべきところがしっかり動くという、当たり前の体の使い方が現代人には少し難しくなっているのかもしれません。自分で出来る運動は取り入れつつ、頼った方が良いところは専門家に頼れると心強いですね。
院情報
所在地 | 〒135-0047 東京都江東区富岡2-9-1 ジョイフル門前仲町第2ビル B号室 |
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診療科目 | 整骨院 |