成長期の膝の痛み「オスグッド病」を早く治す、予防する方法やストレッチを教えて
スポーツをしていると、「多少の痛みはつきもの」と思ってしまいがちですが、正しくケアすれば、症状の緩和が期待できるものもあります。「成長期の膝の痛み『オスグッド病』を早く治す、予防する方法やストレッチ」について、理学療法士で柔道整復師の大沼晋太郎先生(整骨院インテグレート院長)に、Medical DOC編集部が話を聞きました。
監修柔道整復師:
大沼 晋太郎(整骨院インテグレート)
目次 -INDEX-
オスグッド(・シュラッター)病とは? 成長痛とどう違う? 原因や症状、特徴について教えて
編集部
「オスグッド病」とは、どんな疾患なのですか?
大沼先生
膝蓋骨、いわゆる「膝のお皿」から数cm下の部分(脛骨粗面)に痛みや腫れ、熱感を生じる障がいです。正式名称は、「オスグッド・シュラッター病」と言います。
編集部
どうしてその部分に症状が出るのですか?
大沼先生
オスグッド病で痛みが起こる「脛骨粗面」と呼ばれる骨の部分には「大腿四頭筋」という、とても大きくて強力な筋肉がついています。その筋肉を使いすぎると、筋肉の「引っ張る力」に耐えきれず、軟骨の一部が剥がれて、腫れや炎症を起こしてしまうのです。
編集部
「使いすぎる」と起こるのですね?
大沼先生
そうですね。「オスグッド病」という名称ではありますが、怪我や病気というよりも、使いすぎによって起こる「スポーツ障害」という方がイメージしやすいかもしれませんね。
編集部
「成長痛」とは違うのでしょうか?
大沼先生
「成長痛」と混同されてしまうこともあるようですが、「オスグッド病」と「成長痛」とは全く異なる病態です。「成長痛」は、部位もさまざまで、痛みは夜間に強くなるのに対し、「オスグッド病」の疼痛部位は先ほどの「脛骨粗面」周囲に限定されていることが多く、また、運動時に痛みが強まります。
編集部
オスグッド病はどんな人に起こりやすいのですか?
大沼先生
10~14歳の成長期に起こりやすい疾患です。小学校高学年から中学生くらいの時期ですね。「成長痛」と混同されてしまうのは、この時期に起こりやすいという共通点があるからだと思います。統計的には、女子よりも男子に多いと報告されています。また、「使い方」と「使いすぎ」が原因となる疾患なので、「スポーツ」をしている人、特にサッカーやバスケットボール、バレエなど、素早い方向転換やストップ動作、ジャンプなどを繰り返し行うスポーツをしている人に多くみられます。
オスグッド病を早く治すには、整骨院でどんな施術、ストレッチが受けられる
編集部
「オスグッド病」はどのようにしたら治るのですか?
大沼先生
まずは「安静にすること」です。ほとんどの場合は、何もしなくても、筋肉や関節を休めることでオスグッド病は治ります。
編集部
それ以外には何かありますか?
大沼先生
いくら「使い過ぎが原因」とはいえ、大事な時期に、長期にわたり競技を休まなければならないのは辛いですよね。先ほどの「大腿四頭筋」にアプローチすることで、オスグッド病による痛みを早く治すことが期待できるとされています。
編集部
具体的にどのようにするのですか?
大沼先生
温熱療法などの物理療法で痛みを緩和しながら、大腿四頭筋、とりわけ「膝を伸ばす力」がかかりすぎないような姿勢で競技ができるようにアプローチしていきます。重心の位置や、骨盤の傾き、足首の緩みや硬さによって、膝にかかる力も変わってきますので、太腿の後ろ側にある筋肉「ハムストリングス」やふくらはぎにある「下腿三頭筋」をストレッチするなど、股関節や骨盤、足首を、より良い使い方にしていきます。
編集部
整骨院で施術を受けた場合、費用はどのくらいかかりますか?
大沼先生
接骨院での施術の場合、オスグッド病に対しては保険適用外となりますので、自費での診療となります。目安として当院での料金をお伝えすると、40分で4200円となっています。施設によって料金は変わりますので、お近くの整骨院に確認してみてください。
ストレッチ・テーピングなど、オスグッド病の予防、悪化させないセルフケアが知りたい
編集部
オスグッド病は、予防することが出来ますか?
大沼先生
はい。原因がはっきりしているので、それについて予防策をとれば良いのです。最も効果的なのは、「大腿四頭筋のストレッチ」です。特に、スポーツの前後には、念入りにストレッチを行って、大腿四頭筋および脛骨粗面に負担をかけないことが大事です。
編集部
具体的にはどのようなストレッチ方法がありますか?
大沼先生
当院でよく指導するのは、ベッドなどにうつ伏せになって、膝を曲げていく方法です。この時、おへそが浮いてこないように、太ももの前が伸びているのを感じながら行ってください。慣れてきたら、反対側の足をベッドの端から下ろすようにすると、大腿四頭筋がよりストレッチされていくと思います。
編集部
ほかにはどんなセルフケアがありますか?
大沼先生
サポーターやテーピングもおすすめです。オスグッド用の膝サポーターというのが販売されていますので、取り入れてみるのも良いかもしれません。また、重心を正しい位置に持っていくために、インソール(靴の中敷)なども有効です。テーピングの巻き方については、インターネットで写真や動画がたくさん公開されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。
大沼先生
成長期に、部活やクラブチームなどで日々頑張っている学生さんの身体には、オスグッド病に限らず、さまざまなスポーツ障害が起こりえます。若いので、多少の無理が出来てしまうかもしれませんが、将来的に長期化するような不調に繋がってしまうことも考えられます。競技を長く続けるためにも、無理をせず、少しの不調でも専門家に一度診てもらってください。ちょっとしたケアで、その後の競技人生が大きく変わる可能性もあります。
編集部まとめ
「オスグッド病」について、理学療法士で柔道整復師の大沼先生にお話を伺いました。若いとどうしても頑張り過ぎてしまうかもしれませんが、大好きなスポーツを長く続けるためにも、必要に応じた専門家のケアは大切だと感じました。大沼先生、ありがとうございました。
院情報
所在地 | 〒166-0004 東京都杉並区阿佐ヶ谷南 1-16-10 巳善第二ビル4階 |
アクセス | JR中央線「阿佐ヶ谷」駅南口から徒歩5分 東京メトロ丸の内線「南阿佐ヶ谷」駅から徒歩2分 |
診療科目 | 整骨院 |