「身長を伸ばす方法、ありませんか?」整骨院院長に聞いてみた
背の高さは、精神的なコンプレックスに限らず、一部の職業に就く条件になっていることもあります。場合によっては、その人の人生を左右する問題になりかねません。はたして、身長を伸ばす方法などあるのでしょうか? そこで、「SUN鍼灸整骨院」の松葉先生に、子どもの場合と大人の場合に分けて解説していただきました。
監修柔道整復師:
松葉 崇弘(SUN鍼灸整骨院)
成長期の子どもに必要なこと
編集部
今回は「身長」についてですが、まず、子どもに向けた対策からお願いします。
松葉先生
結論からお伝えすると、「特効薬」のような方法はありません。身長には遺伝要因も含まれますし、成長スピードにも個人差があります。そのうえで、一般的に言われていることを挙げるとしたら、「栄養と睡眠」を十分に取ることがとても重要でしょうか。そして、子どものころから姿勢は意識すると良いでしょう。
編集部
では「栄養」から伺います。牛乳を飲むと背が伸びると言われていますが?
松葉先生
カルシウム摂取によって骨が丈夫になることはあっても、「背が伸びるか」は疑問です。それより、カルシウムも含めた「バランスの良い食事内容」を心がけましょう。加えて、しっかり“噛む”ことです。早食いやあまり噛まないで飲み込むと消化不良につながり、取り入れるべき栄養素の吸収効率が悪くなります。また、骨の成長には、日差しを浴びることで生産されるビタミンDが欠かせません。遊びも含めた運動を、適度に取り入れましょう。
編集部
早食いは、満腹感がおとずれにくいとも聞きます。
松葉先生
そのとおりです。好き嫌いがあって早食いだと、偏食かつ食べすぎの可能性がありますよね。また、スナックなどの間食で本来の食事を十分に食べられないことも、偏食の1つでしょう。同じ間食をするなら、「食事で足りていない栄養素」に着目しましょう。身長、つまり成長に必要な栄養素は、なにより「たんぱく質」です。肉類や魚などを積極的に摂取しましょう。大豆などの植物性のたんぱく質も上手に摂取してください。
編集部
言い伝えで「寝る子は育つ」という説もありますよね?
松葉先生
これらは事実でしょう。成長ホルモンは睡眠中に分泌され、とくに夜10時~深夜2時は分泌量が増える「ゴールデンタイム」などと言われています。ゴールデンタイムに差しかかってから慌てて寝ても間に合わないので、夜10時には完全に寝付けるような「寝る準備」が大切ですね。ただ寝れば良いのではなく、成長ホルモンがしっかり分泌されるためには、「質の良い睡眠」が重要です。脳を刺激するスマホやゲーム機操作は、寝付きの悪さや浅い睡眠に繋がるので早めに切りあげましょう。そして、起床時に日差しを浴びることで「体内時計」が整います。やはり、早寝早起きが理想的です。
編集部
冒頭にあった、子どものころから姿勢を意識するとはどういうことでしょうか?
松葉先生
その理由として「質の良い睡眠」が関係してきます。悪い姿勢によって睡眠の質を低下させやすいということが挙げられます。さらに成長過程で不調に悩まされたり、ケガのリスクをあげたりすることになるので注意が必要です。お子さんの姿勢不良や体調不調を改善する施術もあるので、気になる親御さんは是非ご相談ください。
大人になってからできることは限られる
編集部
続いて、成長が終わった大人の場合も知りたいです。
松葉先生
比較的見聞きする機会が多いのは「ストレッチ」ですが、瞬間的な話ですよね。大人の場合は、身長を伸ばすという考えではなく、正しい姿勢を意識してみてはいかがでしょうか。猫背によって背が低く見えてしまったり、姿勢の悪さによって椎間板などが圧迫され、結果として背が縮んだりすることもあるので、そうならない様に今から気をつけていく事が大事になってきます。
編集部
通販などで「背を伸ばすグッズ」を良く見かけますが?
松葉先生
それらで背の悩みが解消されれば素晴らしいですが、実際の効果は疑問です。とくに、バネなどの力で体を引っ張るようなグッズは“危険”ですらあります。身長が伸びる前に、筋肉の繊維を損傷しかねません。仮に伸びるとしても、影響を受けやすい手足が引っ張られるだけで、胴体の長さは変わらないと思います。
編集部
ちなみに先生の鍼灸整骨院では、どのような施術を受けられるのでしょう?
松葉先生
身長を伸ばすような施術はありません。そうではなく、「良い姿勢を保ち続けられるように歪みを整える施術」をします。具体的には、背骨のバランスを整え神経の働きを正常に戻していきます。皆さんに知っていただきたいのは、「筋肉が硬くなって骨格が歪むのではなく、姿勢が崩れることにより骨格が歪み、神経が圧迫され、筋肉が硬くなる」ということです。例えば、肘をピンと伸ばしたまま寝てしまった時、気付いたときにはその状態で筋肉が固まり、肘が曲げにくくなったことはありませんか? ひどい場合は痺れが出る方もいらっしゃいます。これが姿勢により筋肉・神経への影響が出てしまう状態の一例です。
編集部
自分の意思によらない、例えば肩こりなどはどうでしょう?
松葉先生
無意識の肩こりも同様で、デスクワークや家事など前傾姿勢を続けていると肩が巻いて、自分でも気がつかないうちに肩こり状態になっているのです。こうした筋肉の凝りを改善するためにも歪みの生じないような環境を整えてあげるのが、当院でおこなっている施術内容です。
身長が伸びたように見える方法
編集部
なるほど、猫背のような前後に限らず、左右のゆがみ・ねじれも考えられるということですか?
松葉先生
はい。例えば足には「利き足」があります。体の軸が左右の中間にあるように思えても、実際は、利き足寄りになっていることもあります。もし、全身の映る鏡があるなら、あらためて体のゆがみ・ねじれを確認してみてください。
編集部
一方、前後方向のゆがみチェックは、壁を使った方法でできるんですよね?
松葉先生
そうですね。壁に後頭部・肩・お尻、かかとをくっつけた状態が苦しいと感じたり、前に歩き出してしまったりしたら、どこかに不具合があるのでしょう。昨今では、スマホを操作しているときの「うつむいた姿勢」が心配です。
編集部
姿勢を悪くする顕著な要因って、やはりスマホでしょうか?
松葉先生
自分の生活の中に“長く”取り入れている悪癖ですね。スマホ操作かどうかは、人によります。自分ではなかなか気づかないクセなので、「他人のしぐさ」を気にしてみてはいかがでしょうか。そして、「自分でも、あのような悪い姿勢をしていないかな」と自分の姿勢を意識しなおしてみるといいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
松葉先生
身長を伸ばす方法がもしあれば、皆さん試したいですよね。まずは規則正しい生活習慣、そして姿勢を正す意識が大切です。基本的なことかもしれませんが「シンプルイズベスト」です。昨今、あらゆる情報が氾濫しています。しかし、その中から正しい情報を取捨選択することがとても難しい事も事実です。色々と調べても答えが見つからなかったり、判断が難しいと感じたりしたときは、専門家にご相談ください。場合によっては最善の解決策を提案してくれると思いますよ。
編集部まとめ
身長を伸ばすのに近道はないようです。子どもなら「栄養、睡眠、運動」を見直して、特に睡眠や栄養面など様々なサポートが大切みたいですね。大人の場合は、「ゆがんだ姿勢の改善」がカギになりそうです。スラっとした姿勢は、それだけで、他人に良い印象を与えるでしょう。身長に関して大人も子どもも「姿勢」からアプローチする方法が有効的なのかもしれません。
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