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【NEWS】世界初「寄生虫ダイエット」効果証明(医師コメント3件)

 更新日:2023/03/27

米科学誌「インフェクション&イミュニティ」に8日付で掲載された論文によると、国立感染症研究所と群馬大学などのグループは、マウスに寄生虫を寄生させる実験を行い、これによって体重増加が抑えられることを世界で初めて証明した。

寄生虫と体重については、20世紀最高のソプラノ歌手といわれたマリア・カラスがサナダムシを腹に飼い、1年間で体重が106キロから55キロまで落としたという噂があるほどダイエット効果が注目されていた。グループは、太らせたマウスに蠕虫(ぜんちゅう)を寄生させ、寄生虫のいないマウスと同じ量の餌を与えて実験を行い、寄生虫がいるマウスは体重の増加が抑えられていることを確認。また、脂肪量や中性脂肪、コレステロールなどの減少も確認することができた。この成果は、単に肥満対策というだけでなく、これがもたらす高血圧や高血糖、動脈硬化の対策や心筋梗塞などの病気にも応用できると期待される。

医師のコメント

  • 田嶋 美裕(内科医)

寄生虫による体重減少効果は、以前から知られていました。
寄生虫は宿主のエネルギーを奪って成長することで、宿主の体重が減少すると考えられます。
最近の研究で寄生虫感染により腸内細菌の変化が起こり、糖尿病などの生活習慣病も改善する効果が指摘されています。
ただ、健康への影響を考慮すると、臨床試験などを重ねなければ、実臨床への応用は難しいと思われます。

  • 眞鍋 憲正(整形外科医・スポーツ医学担当)

寄生虫が食べたものを消費してくれる、というのではなく腸内細菌を変化させることによって交感神経が活性化され、体重減少がおさえられたようです。今後はヒトへの応用ですが、直接寄生虫を使うのではなく、寄生虫が産生する物質をつきとめ、それを製薬していくことが期待されます。

  • 武井 智昭(内科医・小児科医)

寄生虫ダイエットを試みている方もいらっしゃると思いますが、実際には危険が伴うと思います。その理由としては、この実験内容がマウスによる検証であるからです。蠕虫(ぜんちゅう)の増殖などは体内でコントロールすることは困難であり、状況によっては腸閉塞などの重症化が懸念されます。