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「RSウイルス予防」に“新たな動き”! 予防接種で使用可能となる新たな薬剤とは?

 公開日:2026/05/18
「RSウイルス」予防接種で使用可能となる新たな薬剤とは?

厚生労働省の専門部会は、RSウイルス感染症の予防に使われる「抗体製剤」を、予防接種法に基づく予防接種で使用できるようにする提言をまとめました。乳幼児の重症化予防につながる可能性が期待されており、今後は定期接種化に向けた制度整備が進められる見通しです。この内容について菅原先生に伺いました。

菅原 大輔

監修医師
菅原 大輔(医師)

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2007年群馬大学医学部卒業 。 自治医科大学附属さいたま医療センター小児科勤務 。 専門は小児科全般、内分泌代謝、糖尿病、アレルギー。日本小児科学会専門医・指導医、日本内分泌学会専門医、日本糖尿病学会専門医、臨床研修指導医。

厚生労働省が発表した内容とは?

編集部

厚生労働省が発表した内容を教えてください。

菅原 大輔先生菅原先生

厚生労働省の専門部会は2026年4月30日、RSウイルス感染症の予防に用いられる「抗体製剤」について、予防接種法に基づく予防接種で使用できる医薬品の一つとして位置づけるよう提言をまとめました。
 
現行の予防接種法では、「病気に対する免疫を得るために使用するもの」として主にワクチンが想定されています。一方、抗体製剤はこれまでワクチンとは異なる医薬品として扱われてきました。
 
近年、一定期間にわたりRSウイルスに対する防御効果が期待できる抗体製剤が開発され、2024年には乳幼児向けの製剤も承認されています。こうした状況を踏まえ、厚生労働省では制度上の整理が検討されてきました。
 
今回の提言は、抗体製剤を予防接種に用いる医薬品として、制度上に位置づけるための整理を行い、将来的な活用に向けた環境整備を進める必要性を示したものです。
 
なお、RSウイルス感染症の予防をめぐっては、2026年4月から妊婦を対象としたRSウイルス母子免疫ワクチンが定期接種として開始されています。これは接種により母体内に作られた抗体が胎盤を通じて胎児へ移行し、生後早期の乳児を守ることを目的としたものです。一方、今回の提言で扱われている抗体製剤は、「出生後の乳幼児に直接投与する薬剤」であり、ワクチンとは仕組みが異なります

RSウイルス感染症とは?

編集部

RSウイルス感染症について教えてください。

菅原 大輔先生菅原先生

RSウイルス感染症は、乳幼児を中心に流行する呼吸器感染症です。多くは軽症で経過しますが、特に生後間もない乳児では重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。低出生体重児(出生体重が2500g未満の赤ちゃん)や、心臓・肺の基礎疾患、免疫機能が低下している子どもは注意が必要です。
 
RSウイルスの流行時期は年や地域によって異なり、以前は冬を中心に流行がみられましたが、近年では春から夏にかけて増加する地域もあります。感染経路は、くしゃみやせきによる飛沫感染、手指や物品を介した接触感染です。家庭内でも広がりやすい特徴があります。
 
多くの子どもが2歳までに少なくとも一度は感染するとされており、その後も再感染を繰り返すことがあります。日常生活の中での手洗いや換気など、基本的な感染対策が重要です。
また、単なる感染予防だけでなく、重症化を防ぐことがRSウイルス感染対策における重要な目的の一つとされています。

内容への受け止めは?

編集部

厚生労働省が発表した内容への受け止めを教えてください。

菅原 大輔先生菅原先生

今回の提言は、これまで「ワクチン」を前提としていた予防接種制度の中で、ワクチンとは仕組みが異なる抗体製剤を予防接種に用いる医薬品の一つとして扱えるようにするための重要な一歩だと受け止めています。
一方で、この提言によって直ちに抗体製剤が定期接種として広く使用できるようになるわけではありません。今後、対象となる子ども、接種時期、母子免疫ワクチンとの関係、費用負担、安全性評価、産科や小児科での運用体制などを具体的に整理していく必要があります。保護者には、「RSウイルスを完全に防げる」というよりも、「重いRSウイルス感染症を減らすための予防手段が広がる可能性がある」と理解してもらうのがよいと思います。

編集部まとめ

RSウイルス感染症は多くの子どもがかかる身近な感染症ですが、乳幼児では重症化することもあります。今回の提言によってRSウイルスから赤ちゃんを守るための選択肢が増える可能性があります。日頃から手洗いや換気を心がけ、流行時期には小さな子どもの体調変化に早めに気づけるよう過ごしましょう。

この記事の監修医師