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「大腸がん」はヨーグルトを食べれば防げる 長期的な摂取で発症リスク低下の可能性

 公開日:2025/03/17

アメリカのハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院の研究員らは、長期にわたるヨーグルト摂取が大腸がんの発症率に及ぼす影響についての研究を発表しました。この研究結果は、学術誌「Gut Microbes」に掲載されています。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

ハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院の研究員らが発表した内容を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

ハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院の研究員らによる研究では、腫瘍組織中のビフィズス菌の豊富さに着目し、ヨーグルト摂取と大腸がん発症の関連を調査しました。研究対象は、アメリカの大規模な前向きコホート研究である看護師健康調査(NHS)と医療専門家追跡調査(HPFS)の参加者13万2056人です。

研究の結果、ヨーグルトを長期的に摂取した人は、ビフィズス菌陽性の腫瘍において大腸がん発症率低下の可能性が示されました。一方で、ビフィズス菌陰性の腫瘍では、そのような関連は認められませんでした。特に近位結腸がんにおいて、この差異的な関連が観察されました。

ヨーグルトは腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを保ち、腸管のバリア機能を強化する働きを持つと考えられています。ビフィズス菌は短鎖脂肪酸を産生し、炎症を抑えることで腫瘍の発生を防ぐ可能性があるため、ヨーグルトの摂取が特定の大腸がんリスクを低下させるメカニズムの1つと推測されます。しかし、腫瘍ビフィズス菌の役割や、なぜビフィズス菌陰性の腫瘍には予防効果がみられないのかといった点は、今後の研究でさらなる解明が求められるでしょう。今後の研究のさらなる発展が期待されます。

大腸がんに関する研究内容への受け止めは?

アメリカのハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院の研究員らが発表した、大腸がんに関する研究内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

この研究により、ヨーグルトを摂取している人のビフィズス菌陽性の大腸がん発症リスクは20%低いことが示唆されました。研究の特筆すべき点として、ヨーグルト摂取の効果は大腸がんの部位によって異なることが挙げられます。日本での別の研究でも、ビフィズス菌を含むヨーグルトの摂取により、大腸がんのリスク要因と考えられている毒素産生型の菌である「バクテロイデス・フラジリス」が除菌される可能性も示唆されています。

今回の研究結果は今後どのように活用できそうか?

今回紹介していただいた研究結果は、どのようなことに活用できるものでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

この研究結果は、ビフィズス菌を含むヨーグルトの長期的な摂取により、大腸がんのリスクが低下する可能性を示唆していますが、今後もさらなる研究が必要であると考えます。また、全てのヨーグルトが同様な効果をもたらすわけではないことにも注意が必要です。

まとめ

ハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院の研究員らの調査で、ヨーグルトを長期的に摂取すると、大腸がんのリスクが低下する可能性が示されました。腸内環境を整えることが、がん予防につながるかもしれません。健康的な食事習慣を意識し、健康な腸内環境を目指しましょう。

この記事の監修医師

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