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「大腸がん」の原因となる“キケンな”食生活とは? 50歳未満で増加している理由

 公開日:2025/02/12

イギリスのがん研究団体「Cancer Research UK」は、大腸がんのリスクと原因についての記事を発表しました。この記事では、25~49歳の若年層の大腸がん発症率が世界的に上昇していることが示されています。この内容について吉川医師に伺いました。

吉川 博昭

監修医師
吉川 博昭(医師)

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医学博士。日本ペインクリニック学会専門医、日本麻酔科学会専門医・指導医。研究分野は、整形外科疾患の痛みに関する予防器具の開発・監修、産業医学とメンタルヘルス、痛みに関する診療全般。

研究団体が発表した内容とは?

イギリスのがん研究団体Cancer Research UKの大腸がんに関する記事の内容ついて教えてください。

吉川 博昭 医師吉川先生

イギリスのがん研究団体Cancer Research UKの記事には、「25~49歳の若年層における大腸がんの発症率が、世界的にもイギリスにおいてもわずかに上昇している」ということが示されています。また、アメリカがん協会(ACS)の記事でも、「アメリカにおける50歳未満の大腸がん発症率は、2012~2021年にかけて毎年2.4%増加している」と報告されています。若年層における大腸がんの発症率が増加している原因は明確ではありませんが、生活習慣の変化や遺伝的要因、早期発見技術の向上が関与している可能性があるとされています。

また、Cancer Research UKによれば、大腸がんの発症リスクは年齢や遺伝だけでなく、食生活や生活習慣にも大きく左右されるとのことです。特に赤肉や加工肉の過剰な摂取は、リスクを高める要因とされており、代わりに鶏肉や魚、豆類を取り入れた食事が推奨されています。さらに、食物繊維の摂取量が少ないと発症リスクが高まることがわかっており、全粒穀物や野菜、果物を積極的に摂取することが重要だと指摘されています。加えて、カルシウムの摂取が大腸がんのリスク低減に寄与する可能性があるという研究結果も報告されています。

研究テーマになった疾患とは?

今回の研究テーマに関連する大腸がんについて教えてください。

吉川 博昭 医師吉川先生

大腸がんは、大腸の内側を覆う粘膜から発生する悪性腫瘍の総称で、日本では特に直腸やS状結腸に多くみられます。加齢とともに罹患率が高まり、特に男性の方が発症率や死亡率が高い傾向にあります。発症には遺伝的要因と生活習慣が関係し、高脂肪・低繊維の食事や飲酒、喫煙、運動不足がリスクを高めます。初期の大腸がんは無症状のことが多く、進行すると血便や腹痛、便通異常などが現れるため、注意しましょう。

大腸がんの診断には、便潜血検査や大腸内視鏡検査が広く用いられています。特に大腸内視鏡検査は、ポリープの発見と同時にその場での切除が可能であり、早期発見・早期治療において非常に有効です。

大腸がんの治療法としては、進行度に応じて内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線治療が選択されます。粘膜内にとどまる早期がんでは内視鏡的切除が可能である一方、進行がんでは外科手術や補助的な抗がん剤治療が必要になる場合もあります。大腸がんは早期発見・早期治療によって予後が大きく改善されるため、リスクのある人は定期的な検診を受けることが重要です。

今回の研究内容への受け止めは?

イギリスのがん研究団体Cancer Research UKが公開した記事への受け止めを教えてください。

吉川 博昭 医師吉川先生

大腸がんの若年層での発症率増加は、世界的に注目されている課題です。今回の報告では、発症率がわずかに上昇していることが示されましたが、その背景には生活習慣の変化や食生活の影響が関与している可能性があります。特に、食物繊維の摂取不足や赤肉・加工肉の過剰摂取は、大腸がんリスクを高める要因として指摘されており、予防にはバランスのとれた食事が重要です。早期発見・早期治療が可能ながんであるため、リスクのある方は適切なタイミングで検診を受けることが望まれます。

編集部まとめ

今回紹介した記事では、若年層における大腸がんの発症率がわずかに上昇していることが示されました。その要因は明確ではないものの、食生活や生活習慣の変化が関与している可能性が指摘されています。今後も研究が進むことで、より具体的なリスク要因や予防法が明らかになることが期待されます。

この記事の監修医師

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