「インフルエンザ」に一生かからなくなる未来に!? 驚くべき“予防新薬”の開発が進行中
アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学らの研究グループは、「インフルエンザウイルスの突然変異の発生を防ぐ、薬剤のような分子を発見した」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
研究グループが発表した内容とは?
アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。
中路先生
今回紹介する研究報告は、アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学らの研究グループによるもので、インフルエンザウイルスの突然変異を防ぐという驚くべき内容です。研究対象となった化学物質「F0045(S)」は、H1N1インフルエンザAウイルスに結びつく可能性があるとして、すでに見つかっていました。このF0045(S)の構造を改良することで、より強固にウイルスに結合し働きかける分子を作り出したことが、今回紹介する内容のポイントです。
研究グループはF0045(S)を改良する過程で、4(R)と6(R)という2つの分子が結合特性を大幅に上昇できる見込みがあることを明らかにしました。発見された2つの分子のうち6(R)は、従来のF0045(S)の200倍結合しやすく無毒性であることから、インフルエンザ予防薬として期待されています。この6(R)をさらに改良すると、抗ウイルス効果の高い化合物7が作られたそうですが、化合物7については現在は動物実験の段階です。
研究者たちは、「鳥インフルエンザとして知られるH5N1など、感染力が強く、ヒトに深刻な被害を与える可能性のあるほかのタイプのウイルスを対象にした研究もおこなっている」とのことです。
研究内容への受け止めは?
アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学らの研究グループが発表した内容について、受け止めを教えてください。
中路先生
特に新たな分子6(R)に関しては、強い結合力と安全性以外にも、感染の初期段階でウイルスの拡散を抑制し、感染拡大を防ぐ可能性が指摘されています。今後のインフルエンザ予防薬として注目されます。
発見された分子の実用化の可能性は?
今回研究グループが発見した4(R)と6(R)について、実際に私たちが服用することはできる日が来るのでしょうか?
中路先生
これらの新たな分子が、リアルワールドで使用できるようになる可能性はあります。ただし今後、具体的な効果や投与方法を含め、段階的な臨床試験で検証していく必要があります。
まとめ
アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学らの研究グループは、インフルエンザウイルスの突然変異の発生を防ぐ、薬剤のような分子を発見したと発表しました。インフルエンザをめぐっては世界中で毎年多くの人が罹患しており、今回紹介したような研究は大きな注目を集めそうです。