「りんご病」の感染者が急増中、青森県で最も多く 初期症状・原因・対処法を医師が解説
「りんご病」とも呼ばれている伝染性紅斑の感染者数が増加傾向にあります。この内容について中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
りんご病の感染状況とは?
りんご病の感染状況について教えてください。
中路先生
りんご病の感染状況をめぐっては、国立感染症研究所が全国の感染者数を集計しています。集計によると、2024年10月7~13日までの1週間の患者数は、1医療機関あたり全国平均で0.25人でした。去年の同じ時期の人数が0.01人だったので、25倍の感染者数となります。
都道府県別に見ると、1医療機関あたりの感染者数が最も多くなったのは青森県で、0.86人でした。その次に多かったのは神奈川県と東京都で、1医療機関あたり0.84人でした。ついで埼玉県の0.6人、千葉県の0.59人と続いています。今回のりんご病感染拡大については、2024年4月末頃から患者数が例年と比べて多く、右肩上がりで推移していました。
りんご病とは?
感染者数が増加しているりんご病について教えてください。
中路先生
正式には伝染性紅斑という病気で、両頬がりんごのように赤くなることから、りんご病と呼ばれています。
国立感染症研究所が1981年7月から実施している感染症発生動向調査によると、1987年、1992年、1997年、2001年と約5年ごとの流行周期で発生数が増えていました。年始から7月上旬頃に症例数が増加していき、9月頃に症例数が最も少なくなるという季節性が示されています。また、患者の年齢分布で最も多いのが5〜9歳で、次に0〜4歳が多くなっています。
りんご病の病原体は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスです。10〜20日の潜伏期間を経て、頬に境界鮮明な紅い発疹が表れ、その後、手足にも発疹がみられるようになります。発疹は1週間前後で消えますが、なかには長引く人もいます。発疹が表れたときにはウイルス血症は終息しており、ウイルスの排泄はほとんどないため、感染力はほぼ消失している状態です。感染経路は、飛沫または接触感染ですが、ウイルス血症の時期に採取された輸血用血液による感染も起こり得ます。
今回のニュースへの受け止めは?
りんご病の感染者数が去年と比べて25倍になっていることについて、受け止めや感染予防法を教えてください。
中路先生
りんご病は風疹や水痘と同様、妊娠中の女性が罹患すると胎児に影響します。子どもからウイルスをもらうことが多いため、妊娠中は流行時期に子どもと接触する機会を減らすなどの対策が必要です。また、子どもと接触が多い職業の人も注意が必要です。残念ながらりんご病にはワクチンがないため、手洗いやうがい、マスクの着用などの基本的な感染症対策が重要となります。
まとめ
りんご病の感染者数が増加傾向にあることが今回のニュースでわかりました。りんご病は、感染した人のウイルス排泄期には特徴的な症状を示さないので、実際的な二次感染予防策はないと言われています。