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「りんご病」とは?症状や大人が発症した場合についても解説!

 更新日:2023/03/27
「りんご病」とは?症状や大人が発症した場合についても解説!

りんご病は、幼稚園や小学校低学年のお子さんがかかることが多いといわれる疾患です。りんご病は通称で、正式名称は伝染性紅斑といいます。

りんご病はウイルスによる感染症のため、人にうつる疾患です。りんごのように頬が赤くなることから「りんご病」と呼ばれています。

今回は、りんご病についてのお話です。りんご病の特徴や治療、注意する点についても解説しているため、ぜひ参考にして下さい。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

りんご病(伝染性紅斑)とは

頬を抑える兄弟

りんご病はどんな病気ですか?

  • りんご病を引き起こすのはヒトパルボウイルスB19というウイルスです。発疹は両頬以外にも現れるケースも少なくありません。
  • りんご病はお子さんを中心に流行する感染症になります。りんご病は両頬に赤い発疹が現れることが特徴です。
  • 発疹が現れる1週間~10日前に、咳や鼻水など風邪のような初期症状が現れることがあります。初期症状が何もないケースも珍しくありません。
  • 熱がでることは少なく、発熱しても高熱になることは殆どないです。初期症状の期間を過ぎたあとに、両頬に赤い発疹が現れることで、りんご病の疑いがもたれます。
  • 発疹の跡が残ることはなく自然に消えてしまうことがほとんどです。

発疹以外の症状はありますか?

  • りんご病は、両頬にでる赤い発疹が主な症状になります。頬の紅斑以外での症状は、四肢のかゆみを伴う、レース様の紅斑・関節痛です。
  • 大人の方がりんご病に罹患した場合、頬の発疹よりも関節痛が症状として現れるケースが多くあります。
  • 関節痛のほかに、発熱や頭痛といった風邪のような症状もりんご病の症状です。

大人の方が症状は軽いのでしょうか?

  • りんご病は大人でも罹患する可能性はあり、症状の強さは個人差があります。とくに子どもと接する機会が多い職種の方や、お子さんがいる方などでりんご病の経験がない場合は、子どもから感染する場合もゼロではありません。
  • 大人の場合は、りんご病の明らかな症状が現れずに不顕性感染になることが多いです。りんご病の特徴である赤い発疹も顔にでることは、ほとんどありません。その代わり、りんご病に罹患した大人の方に多い症状は関節炎です。関節炎は女性に多く現れるとされています。
  • 関節炎は1~3週間程度で自然に回復することが多いですが、まれに長い期間続くことがあり、痛みの強さも軽いものから動くのも辛いなどさまざまです。また、むくみを伴う例もあり、これも症状の強さは個人差があります。
  • このほかに発熱や頭痛など発疹以外の症状がでやすいのも、大人のりんご病の特徴です。大人の場合は、りんご病と特定することが難しい場合も少なくありません。

潜伏期間や流行する時期について教えてください。

  • りんご病のウイルスの潜伏期間は数日~2週間ほどです。潜伏期間のあと風邪のような症状が現れ、1週間ほどすぎると頬に赤い発疹が現れるのが一般的な流れです。
  • りんご病は冬~春にかけて増えることが多く、子どもを中心に数年の周期で流行を繰り返しています。

りんご病の治療法

お薬

りんご病の治療法について教えてください。

  • りんご病を引き起こすウイルス、ヒトパルボウイルスB19にはインフルエンザウイルスに使うタミフルのように有効に働く薬はありません
  • りんご病の初期は風邪症状だけのことが多いため、治療は風邪症状への対症療法が中心です。
  • 発熱や関節炎には解熱鎮痛剤の処方や、発疹に痒みがある場合は抗ヒスタミン剤を処方されることがあります。

合併症などはあるのでしょうか?

  • りんご病は重い症状を伴うことも少なく、合併症もほとんどない病気です。しかし、まれに関節炎や貧血を起こすケースもあります。
  • とくに溶血性貧血がある方(遺伝性球状赤血球症など)では、感染により重度の溶血性貧血を起こし、輸血を必要とする場合などの可能性があるため、注意が必要です。
  • 他の合併症として、心筋炎・急性脳炎・脳症などもあります。

学校や保育園は休む必要がありますか?

  • りんご病には学校保健安全法で定められたような、明確な出席停止期間はありません。りんご病の特徴的な症状がでる前は、風邪のような症状がでるだけです。
  • 実は、りんご病の感染力が強いのは初期のころで、頬に発疹がでるころには、感染力もほとんどなくなっています。そのため、りんご病と断定できるころは誰かに感染させる心配はない状態です。
  • 病院を受診してりんご病と判断され、医師から感染の心配がないといわれれば頬に発疹がでていても元気なら、学校や保育園をお休みする必要はありません。
  • かかりつけの医師から、りんご病の診断と登園の許可をもらっておきましょう。

再感染の心配はないのでしょうか?

  • りんご病は、おたふくかぜなどと一緒で1度かかったら再度かかることはない病気です。
  • ただ、罹患後に1度治った発疹が再燃するケースがあります。これは、りんご病に再感染したわけではなく日光や機械的な刺激によって、再度赤みがでただけの状態です。
  • 上記でもお話しましたが、りんご病は頬に発疹がでた段階では人に感染する可能性はありません。再度、発疹がでた場合も他人にうつす心配はないのです。
  • りんご病が治まった後に発疹が再燃しても、再感染したわけではないため保育園や学校を欠席する必要はありません。

りんご病で気をつけるポイント

弟にマスクをかける姉

りんご病の予防法やワクチンはありますか?

  • りんご病のウイルスには、専用の薬と同様に予防するためのワクチンもないです。そのため、おたふく風邪や水疱瘡のような、予防接種はありません
  • りんご病をワクチンで防ぐことはできないので、周りで流行っている場合は注意が必要です。
  • りんご病のウイルスに感染する経路は、患者さんの咳やくしゃみによる飛沫と接触からになります。飛沫や接触からのりんご病を予防するには、風邪などの感染症予防と同じように、こまめな手洗い・うがい・マスクの着用が1番です。
  • お子さんが通っている保育園や学校で、りんご病が流行っている場合はこまめに手洗いとうがいをさせましょう。もちろん、家族の方も同様です。

妊婦さんはかからない方が良いと聞きますが…。

  • りんご病は子どもがかかるぶんには、軽症なことがほとんどですし大人がかかった場合でも心配な状態になるケースは少ないといえます。しかし、妊婦さんがりんご病にかかった場合は注意が必要です。
  • 妊婦さんがりんご病にかかると症状の有無に関わらず、お腹の赤ちゃんに影響がでる可能性があります。
  • お腹の赤ちゃんへの主な影響は、赤ちゃんの皮膚や胸などに水が溜まってむくんだ状態になる(胎児水腫)ことで、赤ちゃんの命にかかわる可能性もあるのです。とくに妊娠28週未満の妊婦さんは、赤ちゃんの異常や流産のリスクがあるため、注意をして下さい。
  • もちろん、妊娠中にりんご病にかかったからといって、絶対に赤ちゃんに影響するというわけではありません。胎児水腫が起きても自然に回復するケースもあります。
  • 過度に心配をする必要はありませんが万が一を考えて、できるだけりんご病の予防をすることが大切です。もし、妊娠中にりんご病の疑いがある場合は、まず内科か皮膚科を受診して下さい。
  • りんご病と診断された場合は、健診前でも産婦人科に相談をしましょう。

りんご病かも?と思ったら、病院を受診することが大切なのですね。

  • りんご病の初期症状は風邪と変わらないため、初期段階でりんご病と診断をすることは難しいです。りんご病の初期は高熱などがなければ自宅で様子をみても問題ありません。
  • ただ、りんご病の特徴である発疹が現れた場合は、たとえ元気でも病院を受診して下さい。
  • 発疹がでるころは感染の心配はありませんが、りんご病以外にも発疹がでる疾患があります。りんご病か別の病気による発疹かを判断してもらうようにして下さい。
  • また、りんご病は病院から感染者数の届け出をする必要があります。これは、患者数を把握することで流行の状況を把握し、感染予防に役立てるためです。
  • 妊婦さんなど、りんご病に感染することでリスクがある方への情報提供にもなるため、りんご病が疑われる症状がある方は、受診するようにしましょう。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

  • りんご病は子どもに多い感染性の疾患ですが、罹患の経験がなければ大人でも感染する可能性はあります。
  • りんご病には特効薬もワクチンもないため、予防は自分でするしかありません。日頃から感染症の予防をしておくと安心です。
  • りんご病は冬~春に増える傾向があるため、この時期は子どもと関わることが多い職種の方や子育て中の方とくに流行に注意をしましょう。

編集部まとめ

体温計と赤ちゃん
今回は、りんご病についてのお話をしてきました。りんご病は子どもも大人も感染する可能性がある疾患です。

多くの場合は軽症ですむ疾患ですが、妊婦さんなど注意が必要な方がいます。りんご病は初期の頃が1番感染力も高いです。

まわりで流行の兆しがある場合に風邪のような症状がある場合はりんご病と診断される前でも、周りへの感染を防ぐためにもマスクの着用をするようにしましょう。

この記事の監修医師