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特効薬は存在しない?『りんご病の治療法』はご存知ですか?3つの対処法を解説!

 公開日:2026/05/07
特効薬は存在しない?『りんご病の治療法』はご存知ですか?3つの対処法を解説!

「急に子どものほっぺが真っ赤に…」「風邪かな?と思っていたら発疹が出てきた」
そんなときに考えられる病気のひとつが、りんご病(伝染性紅斑)です。名前のとおり、頬がりんごのように赤くなるのが特徴で、子どもに多く見られるウイルス感染症です。多くの場合は軽症で自然に治るため、感染してもあわてる必要はありません。
ただし、妊娠中の方や基礎疾患のある方が感染した場合は、重篤な合併症を引き起こすリスクが高いため注意が必要です。本記事ではりんご病の症状や感染経路、治療法、家庭でのケアのポイントなどを詳しく解説します。

居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

りんご病の基礎知識

りんご病の基礎知識

りんご病とはどのような病気ですか?

りんご病は、ヒトパルボウイルスB19によるウイルス感染症です。特に子どもを中心に流行し、感染者数は例年1月~7月にかけて増加しますが、明確な流行時期はないといわれています。感染すると、10〜20日ほどの潜伏期間を経て発症し、頬がりんごのように赤くなるという特徴的な症状がみられます。

りんご病の症状を教えてください

感染初期には微熱や発熱、喉の痛みなど風邪によく似た症状がみられます。それから7~10日ほど経過した後、両頬に境界がはっきりとした赤い発疹が出てきます。これがりんご病と呼ばれる由来です。 続いて、胸やおなか、手足などに網の目やレースのような模様の発疹が現れることもあります。発疹は1週間ほどで自然に消えますが、日光や入浴によって、いったん消えた発疹が再び出現することもあります。なお、再出現しても周囲への感染力はありません。
大人が感染した場合は、典型的な頬の紅斑が目立ちにくいケースもあります。また、感染しても症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)は、全体の約4分の1を占めるとされ、小児でも一定数みられますが成人ではさらに高い割合とされます。

りんご病の感染経路にはどのようなものがありますか?

りんご病の感染経路は、主として飛沫感染(ひまつかんせん)接触感染です。くしゃみや咳に含まれたウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手を介して、目や口にウイルスが侵入したりすることで感染します。 感染力が高いのは、紅斑が出る前の風邪のような症状がみられる時期です。紅斑が出た頃には、すでに感染力はほぼなくなっていると考えられています。
そのため、症状が出る前の無自覚な時期に周囲に感染を広げてしまう点には注意が必要です。

りんご病の合併症を教えてください

りんご病に感染しても、多くの場合は合併症を起こすことなく自然と治癒します。
しかし、次のような方は注意が必要です。

妊娠中の方
妊娠中の方が感染すると、ウイルスが胎児に感染して高度な貧血を生じ、後に胎児水腫(たいじすいしゅ)を引き起こすことがあります。胎児水腫とは、胎児の身体がむくんだり、胸やお腹に水がたまってしまう状態のことです。特に妊娠初期に感染した場合は、流産や死産に至ることもあります。

溶血性貧血のある方
りんご病に感染すると、一時的に赤血球が破壊されて赤血球の数が減少します。赤血球は常に生産されているため、通常は特に問題になりません。しかし溶血性貧血の方の場合、もともと赤血球の寿命が短く、体内での赤血球の供給が追いつきにくい状態にあります。そこへウイルスが感染すると赤血球の数が急激に減り、赤芽球無形成発作(せきがきゅうむけいせいほっさ)と呼ばれる重度の貧血状態に陥ることがあるのです。

免疫力が低下している方
免疫力が低下している方が感染すると、ウイルスを体内から排除ができず、慢性的な感染が続くことがあります。

りんご病の受診目安と治療法

りんご病の受診目安と治療法

りんご病の疑いがあるときは医療機関を受診すべきですか?

りんご病が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。症状が軽くても、麻疹(はしか)や風疹(三日はしか)など、りんご病によく似た似た症状を持つほかの感染症との鑑別が必要です。

また、周囲でりんご病が流行している時期には、発疹がなくても風邪のような症状が出た段階で感染を疑うことが大切です。特に妊婦の方や基礎疾患のある方と同居している場合は、家族内での感染拡大を防ぐためにも、早めに医療機関へ相談するようにしましょう。子どもが通う保育園や学校で流行している情報があれば、それも医師に伝えると診断の参考になります。

りんご病には治療薬がありますか?

現時点で、りんご病への特効薬はありません。したがって、治療は症状に応じた対症療法が中心となります。

りんご病の対症療法を教えてください

りんご病の対症療法には、以下のようなものがあります。

解熱鎮痛剤の使用
発熱や関節痛がある場合、解熱鎮痛剤が処方されます。熱や痛みによって睡眠が妨げられるようなときは服用して、休息がとれるようにしましょう。

肌のケア
りんご病による発疹は、かゆみを伴うことがあります。強くかいてしまうと皮膚に傷がつき、二次感染(とびひなど)を起こす可能性もあるため注意が必要です。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬が処方されることもあります。
また、肌の乾燥はかゆみを悪化させる要因になるため、保湿ケアが重要です。入浴後や寝る前などに、低刺激の保湿剤をたっぷりと塗ることで、肌を守りつつかゆみをやわらげることができます。

りんご病の自宅での対処法と過ごし方

りんご病の自宅での対処法と過ごし方

りんご病と診断されたら登園・登校は何日程度控えるべきですか?

りんご病と診断されても、発疹が出る頃には感染力はほとんどなく、文部科学省の出席停止基準でも登園・登校を控える必要はないとされています。ただし、発熱や全身倦怠感が強い場合は安静が必要です。

りんご病と診断された場合に気を付けることを教えてください

りんご病と診断されたら、感染した本人の体調管理だけでなく、家庭内や周囲への配慮も重要です。具体的には、以下のようなポイントに注意しましょう。

症状の経過を観察する
症状が長引く場合や悪化する場合には、合併症やほかの疾患を発症している可能性があります。療養中は症状の経過を観察して、異変を感じたら医療機関を再度受診しましょう。

家族や周囲の人への感染リスクに配慮する
りんご病は、発疹が出ている段階では感染力がなくなっている可能性が高いです。しかし、周りに妊娠している方や基礎疾患のある方がいる場合は、念のため接触を避けましょう。すでに接触していた場合には、状況を医師に相談して適切な対応を確認してください。

りんご病の子どもを看病するときのポイントを教えてください

りんご病は、多くの場合軽症で自然に治癒しますが、子どもがゆっくりと療養できる環境づくりが大切です。看病の際には、以下のようなケアを意識しましょう。

体調に合わせて休養をとらせる
発疹があるだけで元気な場合は、普段どおり過ごしてかまいません。ただし、熱や倦怠感があるときは、無理をせず静かな環境でゆっくり休養をとらせましょう。

かゆみや発疹のケアを行う
発疹によるかゆみがある場合は、保湿剤やかゆみ止めの軟膏を塗布しましょう。また、涼しい服装を選んだり、汗を早めにふき取ったりするなど生活環境を整えることも効果的です。子どもが皮膚をかいて傷つけないように、爪を短く切っておくのもよいでしょう。
りんご病の発疹は、いったん消えた後に再び現れることがあります。このようなケースでは他者への感染力はほぼないため、慌てずに対応しましょう。

水分と栄養をこまめにとる
発熱時は食欲が落ちることがあります。そのような場合はおかゆやうどん、バナナなど、食べやすく消化のよいものを少しずつ与えて体力の回復をサポートしましょう。また、脱水症の予防のためにこまめな水分補給を意識することも大切です。経口補水液や麦茶、スープなど、子どもが飲みやすいものを用意してあげるとよいでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

りんご病は、多くの場合は軽症で自然に回復しますが、妊娠中の方や基礎疾患を持つ方が感染した場合は、重篤な合併症につながる可能性があるため注意が必要です。
治療は特効薬がないため、症状に応じた対症療法と家庭での安静が基本となります。感染に気付かず周囲に広げてしまうリスクがある点も含め、正しい知識をもって冷静に対応することが大切です。特に子どもの場合は、体調に合わせた看病や保湿ケアなど、日常的なサポートが回復を助けます。また、身近に妊娠中の方や基礎疾患のある方がいる場合には、慎重な配慮も忘れずに行いましょう。万が一症状が長引いたり悪化する場合は、自己判断を避け、早めに医療機関を受診することが、重症化の予防につながります。

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