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定期接種が始まったコロナワクチンに不安の声…レプリコンの安全性・効果を医師に問う

 公開日:2024/10/11

今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの定期接種が2024年10月1日から始まりました。使用されるワクチンは、レプリコンワクチンという新しいタイプを含む5製品です。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

今シーズンの新型コロナワクチン定期接種の内容は?

新型コロナウイルスワクチンの今シーズンの定期接種が2024年10月1日から始まりましたが、接種の詳細について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

新型コロナウイルスのワクチンの定期接種について、2024年3月までは無料で接種することができました。しかし、今シーズンの接種については、インフルエンザワクチンと同じように原則、費用の一部を自己負担する形で実施されています。

定期接種の対象になるのは、65歳以上の高齢者と60~64歳までの重症化リスクの高い人です。これらの対象者は、2025年3月末までに1回接種します。接種費用は約1万5000円となりますが、国が1回あたり8300円を助成することで、自己負担が約7000円に収まるよう配慮されています。自治体によっては、独自の補助をおこなうところもあるので、接種を検討する場合はお住いの自治体のホームページなどを確認するといいでしょう。

定期接種に使われる新型コロナワクチンは、ファイザー、モデルナ、第一三共のmRNAワクチン、ノババックスが開発して武田薬品工業が販売する組替えタンパク質ワクチン、Meiji Seikaファルマのレプリコンワクチンの5種類になります。

レプリコンワクチンの効果や安全性は?

今回の承認で注目を集めるレプリコンワクチンという新しい種類のワクチンについて、ネット上では「レプリコンワクチン接種者は入店拒否」という情報が掲載されるなど、不安の声が上がっています。レプリコンワクチンの効果や安全性について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

レプリコンワクチンは接種後の一定期間、ウイルスの働きを抑える中和抗体の産生につながるmRNAが体内で増えるという特徴を持っています。そのため、接種量は従来の6分の1から20分の1で済み、少量の接種で効果が長く続く特性があります。

また、レプリコンワクチンは、従来のmRNAワクチンを改良したワクチンです。Meiji Seikaファルマがおこなった臨床試験では、接種後1カ月時点で、血中の中和抗体量は接種前の8倍、半年時点でも4倍の数値が確認されたとのことです。海外製の承認済みワクチンと比べて中和抗体量が高く、副反応の頻度に違いがみられなかったことも示されています。また、ARCT-154というレプリコンワクチンを対象にした臨床試験では、重症化予防効果が95.3%、発症予防効果が56.6%という結果が示されています。さらに、ARCT-154を追加接種した場合も、ウイルスに対する中和抗体価が6カ月以上持続することが確認される研究結果も示されています。

ワクチン接種の副反応について、国内でおこなわれた臨床試験では、92.4%に接種部位の痛みが出たほか、44.8%に倦怠感、39%に頭痛、20%に37.5度以上の発熱などが報告されています。

今回のニュースへの受け止めは?

今シーズンの定期接種がスタートしましたが、情報の取捨選択や接種を検討する上で留意すべきことを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

ワクチンは自治体や現場の医療機関などがメーカーから購入するため、どの種類のワクチンがどこで接種できるかについて、それぞれの自治体や医療機関に問い合わせる必要があります。

レプリコンワクチンについての有効性と安全性は確認された上で承認されており、これまでのmRNAワクチンと同様に考えて良いと思われますが、今後のリアルワールドでの副反応のモニターや、接種についての説明が重要であると考えます。いずれにしても、現時点でほかの組み換えタンパク質ワクチンも含めた選択肢がいくつかあるため、かかりつけ医に相談したり、これまで公表されたデータを参考にしてどのワクチンを接種するかを決めたりする必要があるでしょう。

まとめ

今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの定期接種が2024年10月1日から始まりました。今回の定期接種をめぐっては、接種費用の一部自己負担や、レプリコンワクチンという新しいワクチンの登場など、これまでとは環境が異なります。接種対象者はしっかりと情報を集めて、接種を検討するといいでしょう。

この記事の監修医師