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「手足口病」が再び大流行 夏に流行る感染症がなぜ秋に…35都府県で“警報基準”超え

 公開日:2024/10/04

子どもを中心に感染する「手足口病」の患者数が、再び増加傾向になっています。警報基準を超えた自治体も多く出ており、注意が必要な状況です。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

手足口病の感染状況とは?

手足口病の感染状況について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

手足口病の感染状況が増加傾向にあり、2024年9月16〜22日に報告された患者数は、全国の1拠点あたり7.77人でした。これは、去年の同時期と比べて約5.9倍になります。

手足口病の警報基準は1拠点あたり5人で、2024年9月16〜22日におこなわれた報告によると、35都府県で警報基準を超えている状態です。感染者数が最も多い都道府県は愛媛県で、1拠点あたりの感染者数は19.95人となっています。次に多いのが富山県で1拠点あたりの感染者数が17.62人、さらには宮城県が16.09人、島根県が14.18人、石川県が12.66人と続いています。逆に最も感染者数が少ないのが徳島県で、1拠点あたり1.87人でした。次いで沖縄県が2.25人、岡山県が2.33人、佐賀県が2.78人、三重県が2.98人となっています。

手足口病の2024年の感染者は、前年よりも多い状態が続いています。2024年5月頃から感染者数は急増しており、2024年7月8〜14日には1拠点あたりの患者数が全国平均で13.34人まで増えました。ここをピークに一時期は感染者数が減少傾向になり、2024年8月12〜18日には全国の1拠点あたりの患者数が3.87になりました。しかしその後、再び増加傾向に転じて現在に至っています。

手足口病とは?

感染が拡大している手足口病について、どのような病気か教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

手足口病は夏に流行する病気で、報告された患者の90%前後が5歳以下の乳幼児です。主にコクサッキーウイルスA6型・A16型、エンテロウイルス71型などのウイルスに感染することで発症し、感染経路は飛沫感染や接触感染、糞口感染です。

ウイルスに感染すると、3~5日後に口の中や手足、背中などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。また、肘、膝、臀部などに発疹が出ることもあります。さらに、コクサッキーウイルスA6型による手足口病では、発症してから数週間後に爪が剥がれる症例も報告されています。患者の約3分の1に発熱症状がみられますが、高熱が続くことは基本的にありません。稀なケースですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などになることもあります。

現在のところ、手足口病には有効なワクチンや予防薬はありません。手洗いや排泄物を適切に処理するといった、一般的な感染予防をおこなうことが重要です。また、治療薬についても、手足口病への特効薬はありません。基本的には、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。経過観察をおこなう中で「髄膜炎や脳炎が疑われる2日以上続く高熱」「嘔吐や頭痛」「視線が合わない」「呼びかけに答えない」「呼吸が速くて息苦しそう」「水分がとれずにおしっこが出ない」「ぐったりとしている」などの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

手足口病の感染状況への受け止めは?

全国的に増加傾向の手足口病の感染状況について、受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

手足口病は、今後も感染拡大が続くと思われます。有効なワクチンや予防薬などはなく、感染経路として飛沫感染以外にも接触感染・糞口感染が挙げられるので、こまめな手洗いなどの感染対策が引き続き必要です。

まとめ

一時は減少傾向にあった手足口病の患者数が、再び増加傾向になっていることが今回のニュースでわかりました。手足口病を予防するために、手洗い・うがいなどの基本的な対策を徹底することが重要です。手洗いなどで使ったタオルを共有しないよう、気をつけましょう。

この記事の監修医師