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「手足口病」が全国的に感染拡大中、今後さらに流行する見込み 注意したい症状や予防法とは?

 更新日:2024/07/01

子どもを中心に感染し、手足や口などに発疹ができる「手足口病」の患者数が急増しています。警報基準を超えた自治体も複数出ており、注意が必要な状況です。この内容について山田医師に伺いました。


山田 克彦

監修医師
山田 克彦(佐世保中央病院)

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大分医科大学(現・大分大学)医学部卒業。現在は「佐世保中央病院」勤務。専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接。日本小児科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医。

手足口病とは?

現在、感染が拡大している手足口病について教えてください。

山田 克彦医師山田先生

手足口病は夏に流行する病気で、報告された患者の90%前後が5歳以下の乳幼児です。主にコクサッキーウイルスA6型・A16型、エンテロウイルス71型などのウイルスに感染することで発症し、感染経路は飛沫感染や接触感染、糞口感染です。

ウイルスに感染すると、3~5日後に口の中や手足、背中などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。また、肘、膝、臀部などに発疹が出ることもあります。さらに、コクサッキーウイルスA6型による手足口病では、発症してから数週間後に爪が剥がれる症例も報告されています。患者の約3分の1に発熱症状がみられますが、高熱が続くことは基本的にありません。稀なケースですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などになることもあります。

現在のところ、手足口病には有効なワクチンや予防薬はありません。手洗いや排泄物を適切に処理するといった、一般的な感染予防をおこなうことが重要です。また、治療薬についても、手足口病への特効薬はありません。基本的には、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。経過観察をおこなう中で、髄膜炎や脳炎が疑われる2日以上続く高熱、嘔吐や頭痛、視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分がとれずにおしっこが出ない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

手足口病の感染状況とは?

手足口病の感染状況について教えてください。

山田 克彦医師山田先生

手足口病の感染状況は、増加傾向にあります。2024年4月3日~9日の時点では、全国の1拠点あたりの患者数は0.21人でした。しかし、5月頃から急激に感染者が増え始め、6月3日~9日までの集計では1拠点あたり3.83人にまで増加しています。これは前週と比べて0.94人増加しており、去年の同じ時期の約5.8倍です。手足口病の警報基準が1拠点あたり5人なので、全国平均で見ても警報基準に近づいています。

都道府県単位で見ると、すでに17府県で警報基準を超えており、東京でも都内31カ所の保健所中11か所で警報レベルを超えている状況です。地方別に見ても、流行を免れているところはなく、全国39都道府県で流行は拡大中です。例年の流行パターンを参考にすれば、これから流行がさらに拡大していくでしょう。

手足口病の感染状況への受け止めは?

全国的に患者数が増加傾向にある手足口病ですが、保護者が特に気をつけるべきことはなんですか?

山田 克彦医師山田先生

多くの場合は軽症で済む感染症ですが、中枢神経系の重い合併症のリスクも稀にあります。また、小さな子どもは口の中が痛くて水分や塩分が摂れず、脱水症になってしまうこともしばしばあります。子どもが口の中の痛みを訴える場合には、熱いものや酸味が強くてしみやすいものは避けましょう。アイスクリームや口当たりの優しい乳製品の方が摂取しやすいです。また、脱水症予防にはいわゆる経口補水液が有効です。

まとめ

手足や口などに発疹ができる手足口病の患者が子どもを中心に急増しており、警報基準を超えた自治体も複数出ていることがわかりました。手足口病を予防するためには、手洗いうがいなどの基本的な対策を徹底することが重要です。

この記事の監修医師