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「急激な老化は2回訪れる」新たに判明、老化予防のカギを握る“2つのタイミング”とは

 公開日:2024/08/25

アメリカのスタンフォード大学らの研究グループは、調整障害につながる生体分子の変化が44歳と60歳に集中していることを明らかにしました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

アメリカのスタンフォード大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回発表された内容はスタンフォード大学らの研究グループによるもので、研究結果は学術誌「Nature Aging」に掲載されています。

研究グループは、アメリカのカリフォルニア州に住む25~75歳の108人を対象に追跡調査をおこないました。追跡期間は中央値で1.7年、最も長い対象者で6.8年となりました。追跡期間中は3~6カ月おきに血液や排泄物、皮膚のサンプルを採取しました。さらに1~7年間、リボ核酸(RNA)やタンパク質、胃や皮膚の細菌を調べました。

これらの解析の結果、加齢の分子マーカーには一貫した非線形パターンが認められ、実質的な調節異常は年齢がおよそ44歳と60歳の2つの時期に発生したこともわかりました。また、これらの時期に関連する分子や機能的経路も同定されています。例えば、免疫調節や糖質代謝は60歳の移行期に、心血管疾患や脂質、アルコール代謝は40歳の移行期に変化していたことがわかりました。研究グループは「40代の変化は閉経前の女性特有のものと推測していたが、男性でも同様に起きることが分かった」とのことです。また、肌や筋肉の老化もこの2期に加速するとしています。

今回の結果を受けた研究グループは「全体として、本研究は加齢に関連する疾患の機能とリスクが、ヒトの寿命を通じて非線形に変化することを実証し、これらの変化に関与する分子および生物学的経路に関する洞察を提供するものである」と述べています。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

アメリカのスタンフォード大学らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

本研究の特記すべき点は、「年齢とともに身体が徐々に変化(老化)していく」という既存の概念を覆したことであると考えます。特に40代半ばと60代前半の2時期に大きな変化(老化の加速)があることを科学的に証明したことは、大変有意な研究であると言えるでしょう。

今回の結果をどのように活かすことができるか?

44歳と60歳で老化が加速するという今回の結果を、今後どのように活かしていける可能性があるのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

具体的には、40代・60代の老化が加速する年代に近づいたら、適度な運動や食事療法をおこない、規則正しい生活を心がけるようにすることが「健康寿命」を延ばすのに重要であると考えられます。

まとめ

アメリカのスタンフォード大学らの研究グループは、調整障害につながる生体分子の変化が44歳と60歳に集中していることを明らかにしました。人の老化は漸次進むのではなく、44歳、60歳前後の2期に加齢変化が集中することが示されたことで、今後私たちの老化へのアプローチはどう変わるのか、今後の研究などにも注目が集まりそうです。

この記事の監修医師