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“超加工食品”が脳に与える悪影響 「脳卒中」「記憶力低下」リスク増加、ハーバード発表

 公開日:2024/06/09

アメリカのハーバード大学らの研究グループは、「清涼飲料水、ポテトチップス、クッキーなどの超加工食品を多く食べる人は、あまり食べない人と比べて、記憶力や思考力の問題や脳卒中のリスクが高い可能性がある」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

アメリカのハーバード大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する研究はアメリカのハーバード大学の研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「Neurology」に掲載されています。

研究グループは、45歳以上の成人3万239人を平均11年間追跡しました。参加者のうち、認知機能低下については1万4175人、脳卒中については2万243人を調べ、両群とも認知機能障害や脳卒中の既往歴はありませんでした。研究終了時までに、768人が認知機能障害、1108人が脳卒中と診断されました。

研究の結果、超加工食品を食べる量が10%増えると、認知機能障害のリスクが16%高くなることがわかりました。未加工または最小限の加工食品を多く食べることは、認知機能障害のリスクを12%低下させることも判明したとのことです。また、研究グループは、超加工食品の摂取量が多い人は脳卒中のリスクが8%増加する一方、未加工または最小限の加工食品の摂取量が多い人は脳卒中のリスクが9%減少することも明らかにしています。

研究グループは、今回得られた結果について「食品加工は既知の危険因子や推奨される食事パターンの遵守とは無関係に、高齢者の脳の健康に重要である可能性がある」とコメントしています。

超加工食品とは?

今回の研究テーマになった超加工食品について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

超加工食品は砂糖、脂肪、塩分を多く含み、タンパク質や食物繊維が少ない食べ物です。具体的には、清涼飲料水、塩分や糖分の多いスナック菓子、アイスクリーム、ハンバーガー、ベイクドビーンズの缶詰、ケチャップ、マヨネーズ、包装されたパン、味付けされたシリアルなどが挙げられます。その一方で、超加工食品の対極にある未加工または加工度の低い食品には、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類、野菜、果物などが挙げられています。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

アメリカのハーバード大学らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

超加工食品の危険性に関する研究は、これまで数多く実施されてきました。今回の研究においても、人々の健康を維持するためには、超加工食品の摂取を減らすことが重要であることが示されました。そのため、国の機関などは超加工食品の制限に関する法律を整備する必要があると考えます。具体的には「タバコ」や「アルコール飲料」と同様に、超加工食品のパッケージにも危険性の記載を義務付けたり、テレビなどのメディアでの超加工食品の広告の制限したりするといった対策が挙げられます。加えて、加工度の低い自然食品の摂取を増やす対策も重要と考えます。

まとめ

アメリカのハーバード大学らの研究グループは、清涼飲料水、ポテトチップス、クッキーなどの超加工食品を多く食べる人は、あまり食べない人と比べて、記憶力や思考力の問題や脳卒中のリスクが高い可能性があることを発表しました。こうした超加工食品は、私たちの生活にも多く関わっているため、今後の研究にも注目が集まりそうです。

この記事の監修医師