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「新型コロナ」パンデミックで1590万人が死亡、世界の平均寿命が1.6年短く

 公開日:2024/03/26

アメリカのGBD(Global Burden of Disease)の研究グループは、定期的に報告しているレポートの最新情報で「新型コロナウイルスの影響を受けて、2019~2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小した」と発表しました。この内容について郷医師に伺いました。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

GBDが発表した研究内容とは?

今回、GBDの研究グループが発表した研究内容について教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回紹介する研究成果は、学術誌「The Lancet」に掲載されています。論文によると、「2020年と2021年にパンデミックがなければ生きていたはずの人々が、全世界で1590万人死亡した」と推計しています。このうち2020年には590万人が、2021年には1000万人弱が死亡しています。これは2019~2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小したことを示しており、この研究が開始されて以降、今回初めて平均寿命が縮小しました。

研究グループは「84%の国と地域でパンデミック期間中に寿命が短くなっており、これは新型コロナウイルスの破壊的な影響力を示している」と述べています。一方、オーストラリア、ニュージーランド、中国などの国では、パンデミックの早い時期に寿命が延びていました。こうした国ではパンデミック期間中の新型コロナウイルスの感染者数が、世界のほかの地域よりも少なかったものの、それが理由であるかどうかについては論文では言及していません。また、小児の死亡率はパンデミック期間中も減少を続け、2021年の5歳未満児の死亡者数は、2019年と比べて50万人少ない結果となりました。

研究グループは、「人口増加の減速と高齢化は、今後の人口増加が医療環境の悪い貧困地域に集中していくことに伴い、社会的、経済的、政治的に過去に類を見ない課題をもたらす。若年人口が縮小している地域における労働力不足や、人口の急増が続く地域での資源不足などとなる。これらの問題に対処するためには、影響を受ける地域において十分に先を見越した政策を取る必要がある」と述べています。

今回の研究内容への受け止めは?

GBDの研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

概ね予想通りの結果と言えるでしょう。新型コロナウイルスの感染による死亡はもちろんですが、パンデミックの期間中は通常医療ができなかったり、受診控えだったりの理由で、ほかの疾患による死亡率も上昇しました。これらの影響は、現在ではかなり改善されていると思われますが、まだ完全には制限を解除しきっていないところが現状です。少なくとも、早期発見をすることが我々に求められることであると言えるでしょう。

今後の新型コロナウイルスとの向き合い方は?

2024年4月から新型コロナウイルスの治療体制が変わります。今後、私たちは新型コロナウイルスとどのように向き合っていけばいいのでしょうか?

郷 正憲医師郷先生

4月以降、新型コロナウイルスは診療体制の変更で、多くの自己負担がかかるようになります。抗ウイルス薬による治療もかなりの負担増となるため、まずはかからないように、基本的な感染対策をおこなうことが引き続き求められます。インフルエンザと同様、周囲に感染させるリスクも考慮し、マスクと手指衛生は実施すべきと言えるでしょう。また、体調不良時には療養することも重要です。分類は変わるものの免疫不全者にとっては非常に致死的であり、ワクチンの効果が切れてきている人にとってはまだまだ重症肺炎になる可能性がある感染症です。引き続き、気を引き締めましょう。

まとめ

アメリカのGBDの研究グループは、定期的に報告しているレポートの最新情報で、「新型コロナウイルスの影響を受けて、2019~2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小した」と発表しました。社会に対して大きな影響を与えた新型コロナウイルスが、世界の平均寿命にも影響を及ぼしていたことを導き出した今回の研究は注目を集めそうです。

この記事の監修医師