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“切らない”乳がん治療「早期乳がん」に対して保険適用、14カ所で受け入れ開始

 公開日:2024/02/07
“切らない”新たな乳がん治療 実施・医師研修受け入れ施設は14箇所に

早期の乳がん患者に対して、胸に細い針のような電極を刺して熱でがんを焼いて死滅させる「ラジオ波焼灼療法(RFA)」が2023年12月に保険適用されました。日本乳癌学会は、14カ所の実施・医師研修受け入れ施設を公表しています。こうした状況について、甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(TOTO関西支社健康管理室産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。2023年、TOTO関西支社健康管理室産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

ラジオ波焼灼療法(RFA)とは?

まず、今回のテーマとなっているラジオ波焼灼療法について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

経皮的ラジオ波焼灼療法は、2004年に肝がん治療で初めて保険適用された治療法です。これまでに多くの医療機関で使用されてきましたが、2022年に肺がん、腎がん、悪性骨軟部腫瘍、良性の類骨骨腫に対して適応が拡大されています。そして2023年7月、早期の乳がんに対して適応拡大が薬事承認されました。

乳がんの治療は早期でも乳房の一部や全部を切除する手術が中心となっていますが、ラジオ波焼灼療法は傷が小さいため体への負担も少なく、これまでの臨床研究でも切除手術と同等の効果が認められました。対象となるのは1つのがんだけで、がんの大きさが1.5cm以下などの条件に当てはまった早期の乳がんになります。ラジオ波焼灼療法は、日本乳癌学会が認定した14の医療機関でおこなわれます。

乳がんとは?

今回の研究対象となった乳がんについて教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

乳がんは乳腺に発生するがんで、女性がかかるがんの中で最も多いとされています。日本人では40~50代女性の発症が多く、全体の半数近くが乳首を中心として外側の上部分にできるという調査結果があります。がん細胞の広がり方によって、乳がんは「非浸潤がん」と「浸潤がん」に分類されます。

非浸潤がんは、母乳を作成して乳頭まで届ける小葉と乳管内にがんが留まっているものです。一方で浸潤がんは、乳管の外側に存在する基底膜を超えて、がん細胞が乳管の外の間質に広がっているものを指します。間質には血管やリンパ管が存在するため、浸潤がんでは乳房を超えてほかの臓器にがん細胞が移動する可能性が出てきます。非浸潤がんの段階で適切な治療を受ければ治ることが見込まれ、浸潤がんも浸潤が小さいうちに治療を受ければ、ほとんどの場合で治ることが期待されています。

ラジオ波焼灼療法の早期乳がん患者への実施についての受け止めは?

ラジオ波焼灼療法の早期乳がん患者への実施についての受け止めを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

早期乳がんは手術によってがんを切除するのが中心であり、がんの状態によっては乳房部分切除術や乳房全切除術などの手術療法、あるいは放射線治療、薬物療法を組み合わせて治療します。しかし、乳房の切除は侵襲を伴う治療であり、手術に伴う出血のリスクや乳房に傷や変形を残すため、患者さんに負担の少ない治療開発がこれまでに大きな課題となっていました。

今回、医師主導の臨床研究により治療法の有効性・安全性が示されて、薬事承認および保険適用に結びついたラジオ波焼灼療法は、がんの中に細い針状の電極を差し込んでラジオ波帯の電流を流し、発生する熱を利用しがんを焼灼する治療法です。従来の手術治療と比べて、患者さんの身体への負担が比較的少ない治療手段であると考えられます。

ラジオ波焼灼療法の早期乳がんへ適応追加の薬事承認が得られて保険適用となったことによって、今後の医療現場において、早期乳がん例に対して乳房を切除することのない低侵襲治療の選択肢が新たに加わったことになります。

まとめ

早期の乳がんの患者に対して、胸に細い針のような電極を刺して熱でがんを焼いて死滅させる「ラジオ波焼灼療法」が2023年12月に保険適用され、2024年1月29日現在で14カ所の実施・医師研修受け入れ施設を公表していることがわかりました。負担が少ない乳がんの治療法に注目が集まっています。

この記事の監修医師