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乳がんの症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

乳がん(読み方:にゅうがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
藤田 亨 医師(皿沼クリニック 院長)

乳がんとは

乳がんの多くは乳管から発生し、「乳管がん」と呼ばれます。小葉から発生する乳がんは、「小葉がん」と呼ばれます。乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査(病理検査)すると区別できます。この他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多くはありません。

乳がんは、しこりとして見つかる前に、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(骨、肺、胸膜、肝臓、脳など)に転移して見つかることがあります。乳がんの種類や性質によって、広がりやすさ、転移しやすさは、大きく異なります。

引用:国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・ 院長ドクターの解説
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC: Hereditary Breast and/or Ovarian Cancer Syndrome)の場合、乳がん・卵巣がんは遺伝します。その場合、遺伝子解析により診断されます。女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子解析で病気を知り、予防的に乳房と卵巣を切除したことが話題となりました。しかし、まだ発症していない段階での予防的手術は、お勧めできません。手術よりも生活習慣の改善を心がけて下さい。発症原因に乳脂肪分の摂取が推定されているため、乳製品を食べなければならない際は無脂肪と表示のものを選び、食べなくても良い場面では食べないことをお勧めします。

乳がんの症状

早期の段階では自覚症状に乏しいとされる乳がんですが、病期の進行とともに症状が現れます。よく知られる症状のひとつが乳房のしこりです。乳腺のしこりはほかの病気でも見られ、約90%が良性とされますが、乳がんのしこりは硬く、あまり動かないのが特徴です。しこりを発見したら、自己判断せず、専門医の診断を受けましょう。

乳頭や乳輪に湿疹やただれを生じたり、乳頭から血の混じったような分泌物が出たりといった症状が見られるときも乳がんが疑われることがあります。がんの進行とともに乳房にえくぼのようなへこみを生じることもあります。皮膚の赤みや腫れ、熱っぽさといった症状にも注意しましょう。乳房に感じる痛みから乳がんが発見されることもあります。乳がんが腋わきの下のリンパ節に転移すると、腋わきの下の腫れやしこり、しこりによる神経の圧迫からくるしびれなどを生じることもあります。

こうした症状はほかの病気などでも現れることがありますが、早期発見のためにもなにか異変に気が付いたら、専門医の診断を受けることが大切です。

引用:ファイザー 乳がんを学ぶ
https://ganclass.jp/kind/breast/about.php

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・ 院長ドクターの解説
乳がんは身体の表面にできるため、セルフチェックが重要です。乳房が柔らかくなりしこりに気付きやすい時期、具体的には生理が始まってから一週間前後に実施するといいでしょう。閉経した人は月に一度セルフチェックの日を決めて行いましょう。しこりの有無は乳房全体をまんべんなくチェックしてください。乳がんの発生確率は、上半分外側で43%、上半分内側で24%、下半分外側で15%、下半分内側で8%となります。確率的に低い部位も丁寧に触れて確認してください。セルフチェックでしこりを感じたら、乳腺外来を受診しましょう。

乳がんの原因

乳がんのリスク要因としては、まだはっきりとしたことは分かっていませんが、その中でもいくつかの要因が考えられています。

乳がんのおもなリスク要因
・初経年齢が早い
・閉経年齢が遅い
・出産歴がない
・初産年齢が遅い
・授乳歴がない ・閉経後の肥満
・飲酒習慣
・一親等の乳がんの家族歴
・良性乳腺疾患の既往歴

乳がんの発生、増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています。
上記のリスク要因の中には、体内のエストロゲンレベルに影響を与えるようなものがほとんどです。

引用:日本医師会
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/breast/cause/

乳がんの検査法

問診
月経周期、初潮・閉経時期、未婚/既婚、妊娠・出産歴、病歴、家族歴、気になる症状の有無などの情報を収集します。

視診
乳房の形、左右の対称性、ひきつれ・陥没の有無、皮膚の状態などを観察します。

触診
医師が乳房やわきの下にふれて、しこり、出血や分泌物、リンパ節の腫れなどの有無を確認します。多くの場合、マンモグラフィ検査と併用で行われます。

マンモグラフィ検査
乳房専用のX線撮影装置を用いた検査です。撮影台の上に乳房を乗せ、透明な板で圧迫して薄くのばして、上下や斜め方向からレントゲン写真を撮ります。

超音波検査(エコー)
超音波を発する機器を乳房にあて、反射された音波を画像化して、乳房内部の様子を映し出します。マンモグラフィ検査と合わせて実施することにより、乳がんの発見率を高めます。

細胞診、組織診(生検)
画像診断で良性か悪性かの区別がつかない病変や、がんを疑った場合に行われます。しこりに細い針を刺して細胞を採取する細胞診、やや太めの針を刺して組織の一部を採取する組織診などがあります。

その他の画像診断
CT検査やMRI検査などを行う場合もあります。

引用:ファイザー 乳がんを学ぶ
https://ganclass.jp/kind/breast/checkup.php

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・ 院長ドクターの解説
乳がん検診でマンモグラフィーを用いる医療機関が多いようですが、検診を経験した女性の中には痛みを訴える人が少なくありません。まだ普及されていないものの、うつぶせになって行うPET検査(マンモPET、乳房専用PET)は痛みがなく、精度も優れているとされています。この検査はわずか3mm大の小さな乳がんを検出可能で、さらに日本人に多い高密度乳房(乳腺組織の密度が高い)の場合でも、マンモグラフィーで検出できない乳がんを検出できる点で話題です。ただ、料金が高いことと、まだ全国で10カ所程度しか普及がされていないことが課題となっています。

乳がんの治療方法

乳がんの治療は、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法(内分泌[ホルモン]療法、化学療法、分子標的治療など)があります。それぞれの治療を単独で行う場合と、複数の治療を組み合わせる場合があります。

がんの性質や病期(ステージ)、全身の状態、年齢、合併する他の病気の有無などに加え、患者さんの希望を考慮しながら、治療法を決めていきます。

引用:国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment_option.html

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・ 院長ドクターの解説
私のクリニックでは、乳がんの患者さんに対して、AWGという低周波に似た医療機器による治療を実施したことがあります。電極パッドで患部を挟むようにして治療するのですが、がん細胞もなかなか賢く、治療部位から逃げるように電極パッドから外れた部分に腫瘤を形成していました。しかし、治療中に患者さんの食欲が失われることがなく、悪液質等の病態に陥ることもありませんでした。その後、その患者さんからは連絡がないので、予後がどうなったかは分かりませんが、「便りがないのは良い便り」を信じて、本当に病気を克服してほしいと切に願う次第です。

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