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第一三共、新型コロナ&季節性インフルの「混合mRNAワクチン」開発へ

 公開日:2023/10/20
第一三共 新型コロナ&季節性インフルの混合ワクチン開発へ

2023年10月10日、第一三共は新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方に効果がある「混合ワクチン」の開発を始めることを発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

第一三共が発表した内容とは?

第一三共が発表した取り組みの具体的な内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

第一三共の発表によると、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンの開発を始めるとのことです。ワクチンのタイプは、新型コロナウイルスのワクチン開発で一気に知名度が高まった、mRNA(メッセンジャーRNA)を使ったものになります。

新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンは、冬のシーズンに流行しやすい新型コロナウイルスとインフルエンザの2種類の感染症の予防を一度の接種でおこなうことができます。第一三共はmRNAワクチンの開発を独自に進めていて、新型コロナウイルスのXBB系統に対応するタイプの製造販売の承認を厚生労働省に申請中です。新たに開発する混合ワクチンもmRNAを使う方針で、政府のワクチン開発の司令塔である先進的研究開発戦略センター(SCARDA)が開発費を支援することになります。

mRNAタイプの混合ワクチンについては、2023年10月4日にアメリカのモデルナ社が「初期の臨床試験で安全性と有効性が確認できた」と発表しており、2023年内にも最終段階の臨床試験を開始して、2025年の承認を視野に入れていることがわかっています。

第一三共のmRNAワクチン開発の取り組みとは?

第一三共のmRNAワクチンの開発に関する情報を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

第一三共によるmRNAワクチン開発をめぐっては、2023年の夏にmRNAタイプの新型コロナウイルスワクチンが承認されています。これまではファイザー社やモデルナ社などの外資製薬メーカーのmRNAのみが使われていましたが、今回初めて国産のmRNAワクチンとして承認されました。このときに承認されたワクチンは、変異ウイルスではなく従来型の新型コロナウイルスに対応したものなので、その後の開発で作った新型コロナウイルスのXBB系統に対応するタイプのワクチン製造販売の承認を厚生労働省に申請中です。また、mRNAタイプのインフルエンザワクチンの開発については、2023年2月に開発を発表しており、日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業に採択されていました。

発表内容への受け止めは?

第一三共が新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンの開発を始めることを発表したことについての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンは、冬季に流行が懸念される2つのウイルスのワクチン接種が一度で済むことから、利便性が高く両方のウイルスのワクチンの接種率の向上や患者・医療従事者の負担軽減につながります。また、これらのウイルス対策にかかわる医療費を削減できる可能性もあり、歓迎される取り組みだと考えます。将来的には、ほかの流行が懸念されるウイルスのワクチンも加えた混合ワクチンの接種がおこなわれるようになるかもしれません。ただし今後、実際の臨床の現場での効果や安全性についての検討は必要でしょう。

まとめ

2023年10月10日、第一三共は新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンの開発を始めることを発表しました。同時流行の際、より大勢の感染予防効果を高められるほか、医療従事者の負担軽減も期待されるワクチンの開発の行方に今後も注目が集まりそうです。

この記事の監修医師