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「ヘルパンギーナ」「RSウイルス感染症」流行終わらず、子どもの夏風邪に引き続き注意

 公開日:2023/07/31
ヘルパンギーナとRSウイルス感染症 患者数多い状況継続

子どもがかかりやすい夏風邪の「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス感染症」の患者数が多い状況が続いています。この内容について郷医師に伺いました。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

ヘルパンギーナの感染状況は?

ヘルパンギーナの感染状況について、現在わかっていることを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

ヘルパンギーナはウイルス性の咽頭炎で、飛沫や接触によって「エンテロウイルス」に感染することで発症します。患者全体の9割以上が5歳以下となっており、小さい子どもがかかりやすい病気です。38~40度の高熱が出たり、口の中に水疱ができたりするのが、特徴的な症状です。この水疱による疼痛で子どもが不機嫌になったり、飲食できず脱水症状になったりすることもありますが、ほとんどの場合は予後良好となります。

ヘルパンギーナの治療には特効薬がないため、解熱剤などの対症療法で対応する必要がありますが、大半が数日で平熱に戻ります。また、ヘルパンギーナのワクチンはないので、感染者との密接な接触を避けることや、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどが予防策として挙げられます。

国立感染症研究所によると、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者数は、2023年7月10日~16日までの1週間で2万1443人となり、1医療機関あたりでは6.86人でした。2023年7月3日~9日の集計では7.32人と過去10年で最多となっていましたが、そこからは少し減少しています。地域ごとにみると、21都道県で警報レベルの6人を超えており、このうち宮城県の20.62人をはじめ、岩手県や山形県など8つの道県で10人以上となっています。

RSウイルス感染症の感染状況は?

次にRSウイルス感染症の感染状況についても教えてください。

郷 正憲医師郷先生

RSウイルス感染症は、「RSウイルス」の感染によって発症する呼吸器感染症です。年齢を問わず生涯にわたり顕性感染を繰り返し、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスの初感染を受けるとされています。RSウイルスの潜伏期間は2~8日、多くの場合4~6日間とされており、発熱、鼻汁、咳など軽い風邪のような症状が出ます。

通常は数日~1週間かけて徐々に治っていきますが、重症化すると気管支炎や肺炎の兆候がみられ、中には呼吸困難を起こして入院することもあります。RSウイルスは、接触感染と飛沫感染によって感染が広がっていくことが知られています。

国立感染症研究所によると、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたRSウイルス感染症の患者数は、2023年7月10日~16日までの1週間に報告された患者数は9882人で、1医療機関あたり3.16人となっています。前週の3.38人より減少しましたが、引き続き患者数の多い状況が続いています。都道府県別にみると、大分県で8.28人、三重県で7.27人、徳島県で7.13人となっています。

感染状況への受け止めは?

ヘルパンギーナもRSウイルス感染症も患者数が多い状況が続いていますが、何か理由があるのでしょうか? また、生活の中で気をつけることがあれば教えてください。

郷 正憲医師郷先生

ヘルパンギーナもRSウイルス感染症も夏に広がることがありますが、今年は特に感染拡大が激しく、現在は大変な状態となっています。これまでマスクの着用や手指衛生をしっかりしていた子どもたちが、急にマスクなし・手指衛生が緩くなったことでウイルスの拡大が広まったと考えられます。

予防するには、基本的な感染対策であるマスクの着用や手指衛生の実施以上に効果的なものはないでしょう。特に小児科がひっ迫している状況なので、今かからないようにすることは非常に重要です。今一度、感染対策を見直して少しでも感染確率を下げる努力をしていただければ幸いです。

まとめ

子どもがかかりやすい夏風邪のヘルパンギーナやRSウイルス感染症の患者数は引き続き多いことが今回のニュースでわかりました。手洗い、うがいなどできる対策をしっかりして、少しでも感染しないように気をつけることが重要になりそうです。

この記事の監修医師