「RSウイルス感染症」患者が急増中、子どもは新型コロナウイルス以外にも要注意
第7波による新型コロナウイルスの感染が拡大する中、「RSウイルス感染症」などの小児感染症の感染も拡大しています。このニュースについて武井先生にお話を伺います。
監修医師:
武井 智昭(医師)
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
小児感染症の現状は?
新型コロナウイルス感染症以外にも小児感染症が増加しているということですが、現状について教えてください。
国立感染症研究所によると、7月11日~17日の間で全国約3000の小児科から報告されたRSウイルス感染症の患者数は、1医療機関あたり2.26人で5月中旬から9週連続で増え続けているとのことでした。とくに三重県が1医療機関あたり12.44人と最も割合が高く、また、大阪府や愛知県、兵庫県でも割合が高くなっています。加えて、RSウイルス感染症以外に「手足口病」の患者数も1医療機関あたり1.87人と10週連続で増えており、新潟県と千葉県が警報基準の1医療機関あたり5人という基準を超えています。ほかにも、夏風邪の「ヘルパンギーナ」や「プール熱」の報告も相次いでいます。
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症が1医療機関あたり2.26人まで増加していますが、どんな病気なのでしょうか?
RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することで症状が出ます。感染経路は、RSウイルスの感染者による咳やくしゃみなどによる飛沫感染や感染者との濃厚接触、ウイルスがついている手指や手すりなどを触ることなど、間接的な接触感染で感染します。生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するとされています。また、何回も感染と発病を繰り返すという特徴があります。感染すると発熱や鼻水などの症状が数日続きますが、多くの場合は軽症で済みます。ただし、喘鳴を伴った呼吸困難などの症状が出てしまった場合は、細気管支炎や肺炎に進展する恐れもあります。RSウイルスには有効な抗ウイルス剤がないため、症状を和らげることを目的とした対症治療が実施されます。なお、重症化した場合には、酸素投与や点滴、呼吸管理がおこなわれます。
RSウイルスの感染対策は?
RSウイルスの感染対策について教えてください。
成人の場合はRSウイルスに感染しても鼻水程度の症状で済みますが、乳幼児がいるご家庭では子どもへの感染リスクがあるので、マスクの着用やうがいなどの基本的な感染予防策が重要です。また、小さいお子さんがいる家庭で大人の体調が少しでも優れなければ、予防策として子どもとの接触をできる限り控えてください。加えて、不必要かつ長時間の人混みへの外出は避けた方がいいでしょう。
まとめ
国立感染症研究所が、RSウイルス感染症などの小児感染症の感染拡大を報告していることが今回のニュースでわかりました。新型コロナウイルスの感染数も増加に目が向けられる中で、RSウイルス感染症などについてもケアが必要になりそうです。