WHO新型コロナワクチン接種勧告改定 高齢者などは6~12カ月後に追加接種推奨
WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルスのワクチン接種に関する勧告を改定しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
WHOが勧告した内容とは?
今回、WHOが勧告したワクチン接種に関する内容について教えてください。
中路先生
今回WHOがおこなった新型コロナウイルスのワクチン接種についての勧告は、これまでの新型コロナウイルスによる感染やワクチン接種によって世界的に高い水準で集団免疫が存在していることを考慮した上での内容となります。
WHOは「新型コロナウイルスの感染による深刻な症状や死亡などの脅威にさらされている人々へのワクチン接種に注力することが目的」と指摘しています。高齢者や重大なリスクを抱える若い世代などリスクの高いグループに対しては、年齢や免疫不全の状態などに基づいて前回のワクチン接種から6~12月カ月後に追加接種するよう推奨しました。その一方で、健康な子どもなどは「ワクチン接種の優先度が低い」としました。今回の勧告につながった点については、費用対効果などの要因も考慮したとのことです。また、ワクチンを2回接種した後に追加接種を受けた「中程度のリスク」を抱える人々は、追加でワクチンを接種してもそのメリットはわずかであるため、繰り返しの接種は推奨されないとされました。
なお、WHOは「今回改訂された勧告は、毎年の追加接種が必要かどうかに関する長期的なガイダンスとみなすべきではない」としています。
日本政府の見解は?
WHOが発表した勧告について、日本政府がどのような見解を示しているのか教えてください。
中路先生
WHOが公表した勧告に対して、松野官房長官は3月30日に「WHOから示された今回の内容は、年齢と重症化リスクにつながる疾患の有無に基づき、推奨の度合いを決定すべきとのガイダンスであると承知している」と説明した上で、「厚生労働省でWHOのガイダンスの詳細を分析しており、その結果も踏まえ適切に対応していきたい」と述べています。
政府は来年度のワクチン接種について、「厚生労働省の審議会での議論を踏まえ、特例臨時接種を延長して重症者の減少を第一の目的に、高齢者や基礎疾患のある人を対象に接種の努力義務を課し、それ以外の人にも接種機会を確保する」という方針を打ち出しています。
WHOの勧告内容への受け止めは?
今回、WHOが発表したワクチン接種の勧告について受け止めを教えてください。
中路先生
今回のワクチンという限られた医療資源を有効に使うというWHOの勧告は、受け入れられるべきと考えます。一方、感染状況や経済状態は個々の国で異なります。最終的には個々の国の事情に合わせた柔軟なワクチン対策が求められると考えます。
まとめ
WHOは新型コロナウイルスのワクチン接種に関する勧告を改定し、「健康な子どもや青年は必ずしもワクチン接種する必要はない」という考えを示しました。こうした勧告を受けて日本政府がどのような対応をするのか、今後も注目が集まります。