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「新型コロナ流行で10代の脳の老化が加速、精神状態も悪化」スタンフォード大学が発表

 更新日:2023/03/27
10代の脳の老化プロセスがコロナ禍で加速との研究報告

アメリカのスタンフォード大学の研究者グループは、「新型コロナウイルスの流行が10代の若者のメンタルヘルスの悪化と脳の老化を加速させたと考えられる」との研究内容を発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

スタンフォード大学の研究者グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回は、医学誌「Biological Psychiatry: Global Open Science」に掲載された、アメリカのスタンフォード大学の研究者グループが実施した研究内容を紹介します。研究グループは「新型コロナウイルスの流行による学校の閉鎖などの様々な規制によって、学校を中心としたメンタルヘルスサービスを受けにくくなってしまった」と指摘しており、今回の研究では新型コロナウイルス流行前と後で若い世代の精神衛生と神経発達に変化をもたらしたのかを検証しました。

研究の対象となったのは、新型コロナウイルス流行前に評価した平均年齢15.87歳の81人の若者と、新型コロナウイルス流行による学校などの閉鎖が終了した後に評価した平均年齢16.17歳の82人の若者、それぞれのグループの精神衛生と神経発達に変化について比較検討をおこなわれました。研究の結果、新型コロナウイルスの流行による閉鎖が終了した後に評価されたグループには、より深刻な内面化精神疾患、皮質厚の減少、海馬および扁桃体積の増大がみられ、より進んだ脳年齢を持っていることが分かりました。研究グループは「新型コロナウイルスの流行は、青少年の精神的健康の悪化と脳の老化の加速につながったと考えられる」と結論づけています。

研究内容への受け止めは?

スタンフォード大学の研究者グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の結果は過去のデータを用いた(後ろ向き研究)少数例での検討であるため一般化は難しく、また対象となった若年者の精神疾患(自閉症など)の既往歴や新型コロナウイルス自体が脳細胞へ及ぼした影響(脳症・脳炎)などの疾患バイアスが結果に影響した可能性もあります。その一方で、新型コロナウイルスがいかに若年者の精神状態に悪影響を与えたかを知るうえで、大変興味深い有益な研究結果であると考えます。

コロナ禍で10代の若者のメンタルヘルスを悪化させないために重要なことは?

今回の論文で示されたように、新型コロナウイルスの流行で10代の若者のメンタルヘルスを悪化させないようにするためには、どのようなことが重要でしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

WEBを用いたリモートでのコンサルテーションを進めていくことや、新型コロナウイルスの感染予防として若年者に対してのワクチン接種やマスク着用をはじめとする基本的な感染対策を啓蒙していく必要があると考えます。

まとめ

アメリカのスタンフォード大学の研究者グループが、「新型コロナウイルスの流行が10代の若者のメンタルヘルスの悪化と脳の老化を加速させたと考えられる」との研究内容を発表したことが今回のニュースでわかりました。コロナ禍でのメンタルヘルスの問題は日本でも取り上げられており、今後もこうした研究内容には注目が集まりそうです。

この記事の監修医師