新型コロナワクチン接種後に死亡した26歳女性「初の20代救済認定」
12月12日、厚生労働省の分科会は新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡した男女5人について、国の救済制度に基づき死亡一時金などの支給を決定しました。今回の決定で救済制度が認められたのは合計15人となりました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
今回のニュースの内容は?
厚生労働省の分科会が認定したワクチン接種後に亡くなった方々の死亡一時金の給付について教えてください。
甲斐沼先生
12月12日、厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は新型コロナウイルスワクチン接種後に死亡した男女5人の事例について、「因果関係が否定できない」としてワクチン接種後の救済対象に認定しました。なお、20代が認定されるのは今回が初めてとなります。厚生労働省が救済認定したのはワクチンを接種した26歳女性で、接種後に小脳出血やくも膜下出血を発症して死亡しました。なお、出血に関連する基礎疾患や既往症はなかったとのことです。そのほかに認定されたのは74~95歳の男女4人で、脳梗塞などを発症して死亡し、いずれも高血圧などの基礎疾患がありました。遺族には予防接種法に基づき、死亡一時金4420万円と葬祭料21万2000円が支払われることになります。「予防接種健康被害救済制度」で新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡事例が救済認定されたのは、今回新たに5人が認定されたことで合計15人となります。
新型コロナウイルスワクチンの救済制度とは?
新型コロナウイルスワクチンの救済制度について教えてください。
甲斐沼先生
新型コロナウイルスワクチンの救済制度は国の予防接種健康被害救済制度に基づくもので、ワクチンの副反応によって健康被害を受けた場合、ワクチンと健康被害の因果関係が審査会で認められたときに救済がおこなわれます。救済内容は、健康被害の度合いやワクチンの区分によっても異なり、今回は死亡例だったため死亡一時金の給付となります。また、死亡一時金のほかに、医療費の支給、障害年金、遺族年金の給付などがあります。ワクチンによる健康被害救済の申請は、接種を受けたときに住民票登録をしている市町村でおこないます。申請には、各種書類のほかにワクチン接種前後のカルテなどが必要になる場合があります。
独自の見舞金を支給する自治体も
新型コロナウイルスワクチン接種後に、副反応が出て国の救済制度に申請した人を対象に独自に見舞金を給付する自治体も出てきているようですが、その内容について教えてください。
甲斐沼先生
千葉県の市川市は独自の見舞金の給付しており、救済制度に申請した人を対象に、診断書やカルテの写しなどの記録を確認した上で、国の救済制度に認定されなくても3万5000円を給付するとのことです。この見舞金は2023年1月以降に給付される見込みです。千葉県市川市によると、今回のワクチン被害で見舞金を支給する施策は県内自治体で初の取り組みとのことであり、ワクチン副反応による健康被害を訴えて国の予防接種救済制度に申請した人が対象となります。この制度では、医師らで構成する市の調査委員会を経て正式な診断書などの必要な申請書類が国に提出された時点で支払いの対象となります。今後もこうしたケースが起こり得るので、政府のワクチン接種に協力した結果として健康被害に遭ったと判明する対象者に対して、自治体が真摯に向き合う姿勢を持つことは重要であると考えます。
まとめ
厚生労働省の分科会が、新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡した男女5人について、国の救済制度に基づき死亡一時金などの支給を決定したことが今回のニュースでわかりました。独自の見舞金を準備する自治体も出てくるなど、救済制度については今後も注目を集めそうです。