「若者への外出自粛要請が可能に」 第8波対策で「対策強化宣言」「医療非常事態宣言」発出
11月11日に新型コロナウイルス感染症対策分科会が開かれ、新型コロナウイルスの第8波に備えて都道府県ごとにおこなえる「対策強化宣言」と「医療非常事態宣言」で対応することを示しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
今回のニュースの内容は?
新型コロナウイルスの対応策として実施される「対応強化宣言」と「医療非常事態宣言」の内容について教えてください。
中路先生
政府は11月11日の政策分科会で、新型コロナウイルスの第8波に備えた対策として「対応強化宣言」と「医療非常事態宣言」の2つを示しました。各都道府県は病床使用率や医療機関の負担などを総合的に判断し、住民に外出自粛への協力を呼びかけることができます。なお、これらの対象は子どもや若者、高齢者となります。
今回の政策分科会では、感染状況の指標が5段階から4段階に見直されており、対応強化宣言が出されるのは病床使用率が50%を超える「レベル3」です。レベル3は、第7波と同程度かそれ以上の感染状況が目安で、大人数の会食やイベントなどの感染リスクが高い場所への自粛要請ができます。なお、著しい医療ひっ迫がみられる「レベル4」では、医療非常事態宣言が出され、帰省や旅行の自粛要請が可能となります。
これまでも独自に医療非常事態宣言をした自治体があり、感染状況を踏まえた地域ごとの対応を国が後押しする形となっています。新しい対策は、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置でおこなわれた行動制限は含まれておらず、飲食店に対する営業時間の短縮要請はありません。いずれの宣言も法的拘束力はなく、感染対策と社会経済活動の両立を目指す形となっています。
第8波に備えた新しい対策の受け止めは?
新型コロナウイルスの第8波に備えた「対応強化宣言」と「医療非常事態宣言」について、先生の見解を教えてください。
中路先生
私たちはこれまでの新型コロナウイルスのオミクロン株の対策について、個人の基本的感染対策、検査体制、ワクチン接種、医療体制など、多くの経験を積み重ねてきました。今回の政府の対応は、感染対策と社会生活の両立を目指したWithオミクロンに対応した新たな指針として評価できると考えます。ただし、あくまでも最終的な指針の決定は、実際の都道府県の現場に委ねられるべきであると考えます。
新型コロナウイルスの第8波の現状は?
新型コロナウイルスの第8波に備えた対策が示されましたが、現時点の感染状況について教えてください。
中路先生
新型コロナウイルス感染の波の定義はありませんが、通常の感染者数が最も減少したところで、再び増え始めることが新たな波のサインと捉えられることが多いようです。11月10日、政策分科会の尾身会長は岸田首相と感染の現況について意見交換をおこないました。面会後には記者団に対して「(感染の)新しい波に入りつつある」と述べています。また、11月15日・16日の新型コロナウイルス感染者数は2日連続で、10万人を超えています。11月16日に日本医師会の定例会見では、釜萢常任理事が「新たな波(第8波)が始まったと捉えざるを得ない」と発言しています。
まとめ
11月11日の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、新型コロナウイルスの第8波への対策として、都道府県ごとにおこなう「対応強化宣言」と「医療非常事態宣言」の対応を示しました。新型コロナウイルスの感染者数が再び急増している中、地域ごとに外出自粛を要請することで、医療ひっ迫の回避と社会経済活動の両立できるかどうかが注目されます。