生後6カ月~4歳の「乳幼児用新型コロナウイルスワクチン」無料接種が決定
厚生労働省は10月7日に、乳幼児を対象とした新型コロナウイルスワクチンについて、特例臨時接種として無料接種することを決定しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
乳幼児用の新型コロナウイルスワクチンの無料接種について
乳幼児用の新型コロナウイルスワクチンの無料接種について教えてください。
中路先生
今回のニュースは、生後6カ月~4歳の乳幼児用の新型コロナウイルスワクチン接種の方針についてです。これまで、子どもへの新型コロナウイルスワクチンの接種は5歳以上の子どもを対象に実施してきましたが、厚生労働省が10月5日にファイザー社の「コミナティ筋注6カ月~4歳用」を特例承認しました。それを受けて10月7日にワクチン分科会が開かれ、予防接種法における特例臨時接種として、無料接種が了承されました。今回了承されたワクチンは従来株に対応したもので、12歳以上に使用するファイザー製ワクチンの10分の1の量となっています。また、オミクロン株で有効性を確保するには計3回の接種が必要とされており、初回接種から3週間空けて2回目を接種した後、少なくとも8週間空けて3回目を接種することになります。厚生労働省は、10月下旬から自治体に約700万回分を供給する計画を示しています。
乳幼児用の新型コロナウイルスワクチンとは?
今回、無料接種が了承された乳幼児用のワクチンについて教えてください。
中路先生
今回、無料接種が了承されたワクチンは、生後6カ月~4歳以下の子ども向けのものです。ファイザー社による臨床試験では、「ワクチンを接種した生後6カ月~4歳の感染を防ぐ中和抗体量を調べた結果、16~25歳がワクチンを打った場合と同程度の有効性が確認できた」とのことです。副反応については、生後6カ月~2歳になるまでに3回目接種後の発熱(38度以上)が6.8%、食欲不振が20.2%などが報告されています。なお、死亡例は確認されていません。乳幼児用の新型コロナウイルスワクチンもインフルエンザワクチンとの同時接種が可能ですが、それ以外のワクチンは前後2週間空ける必要があるとされています。10月7日に開かれたワクチン分科会では、「5~11歳の接種と同様に保護者に接種への協力を求める法律上の努力義務の適用」を了承しています。
無料接種決定への受け止めは?
生後6カ月~4歳を対象とした新型コロナウイルスワクチンの無料接種が了承されたことへの受け止めを教えてください。
中路先生
厚生労働省は10月7日に特例臨時接種として、新型コロナウイルスの生後6カ月~4歳の乳幼児を対象にしたワクチンとオミクロン株「BA.5」に対応したワクチンに関して、無料で接種することを決定しました。これらは日本における新型コロナウイルスワクチン接種を進めていく上で歓迎される対応と考えられます。今回の決定により、接種会場で「BA.1対応」と「BA.5対応」の2種類が同時進行で使用されることになり、実際の接種現場ではどちらのワクチンを接種するかで多少の混乱も予想されますが、いずれのワクチンにしても時機を逸せず接種することが重要であると考えられます。
まとめ
厚生労働省は10月7日に、乳幼児を対象にした新型コロナウイルスワクチンについて、特例臨時接種として無料接種することを決定しました。小さい子どもは自分の症状を上手く伝えられないことも多いので、周りの大人が体調観察に留意することが求められそうです。