インフルエンザワクチン接種 高齢者に呼び掛け「コロナワクチンとの同時接種は安全性・有効性問題なし」
9月5日、厚生労働省の専門部会は「2022年の冬のインフルエンザワクチンの接種を高齢者らに呼び掛ける方針」を了承しました。このニュースについて武井医師に伺いました。
監修医師:
武井 智昭(医師)
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
厚生労働省が了承した方針とは?
今回、厚生労働省が了承したインフルエンザのワクチン接種の方針について教えてください。
9月5日に開かれた厚生労働省の専門部会で、2022年の冬のインフルエンザワクチンの接種について高齢者らに接種を呼び掛ける方針を了承しました。すでに冬を迎えたオーストラリアで例年よりも数カ月早くインフルエンザが流行していることを受けて、「去年の冬は高齢者に対してワクチン接種の周知をしていなかったが、今年の冬は国内でもインフルエンザ予防の啓発が重要」と判断しました。
厚生労働省は過去最多の約7040万人分のインフルエンザワクチンを確保しており、10月1日時点で65歳以上の約9割が接種できる体制が整っています。過去最多のワクチン確保の狙いとしては、「需要の高まりを想定して重症化リスクのある人に行き渡らせること」が挙げられています。接種の呼び掛けは、65歳以上のほか、60~64歳で基礎疾患がある人などを対象におこないます。また、新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種について、厚生労働省は今年7月に「安全性や有効性に問題はない」として容認しています。
今シーズンのインフルエンザの流行予測は?
今シーズンのインフルエンザの流行予測を教えてください。
2022年7月に日本感染症学会が医療機関に対して、今シーズンのインフルエンザの流行についての提言を発表しています。この提言によると、「オーストラリアでの流行をみると、2022年4月後半から報告数が増加しており、例年を超えるレベルの患者数による医療のひっ迫が問題となっている。日本でも今年の秋から冬にかけて、オーストラリアと同様の流行が起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
さらに、日本感染症学会は「この2年間は日本国内でのインフルエンザの流行がなかったため、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下していると考えられる。ひとたび感染が広がると、小児を中心に大きな流行となる恐れがある」と指摘しています。
インフルエンザワクチンの接種の呼び掛けについての受け止めは?
高齢者へのインフルエンザワクチン接種の呼び掛けについての受け止めを教えてください。
高齢者がインフルエンザと新型コロナウイルスのどちらか、または両方に感染した場合、肺炎をはじめとする重症化のリスクとなり得ます。そのため、ワクチンという予防手段がある2つの疾患に対して同時接種でもかまわないので、免疫状態を高めておくことが重要となります。
まとめ
厚生労働省の専門部会が今年の冬のインフルエンザワクチンの接種を高齢者らに呼び掛ける方針を了承したことが今回のニュースでわかりました。今シーズンはインフルエンザが流行する可能性が大きいということで、今後も注視する必要がありそうです。