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「オミクロン株対応の改良型ワクチン」高齢者らの接種を9月中旬から開始へ

 更新日:2023/03/27
オミクロン株対応ワクチン接種 高齢者らから優先へ

厚生労働省は9月2日に開かれた専門部会で、新型コロナウイルスのオミクロン株対応ワクチンの接種について、高齢者らを対象とする4回目接種で優先的に使用する方針を決めました。このニュースについて武井医師に伺いました。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

今回のニュースのポイントは?

今回のニュースのポイントについて教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

今回のニュースは、9月2日に開かれた厚生労働省の分科会で了承された内容についてです。分科会では、オミクロン株に対応した新たなワクチンを、4回目接種の対象となっている60歳以上の高齢者や持病のある18歳以上、医療従事者の接種を9月半ばから優先的に開始する方針を決めました。また、10月半ばにも2回接種済みの12歳以上の全ての人に対象を広げることも了承されました。

厚生労働省は、9月半ばに約1500万人の高齢者らのワクチンが切り替わると想定しています。それを受けて、4回目接種の対象となる高齢者らが新たなワクチンに切り替わるのを待つ、いわゆる「接種控え」が起きてしまう懸念の声が分科会で出たとのことです。こうした懸念に対して、厚生労働省は「従来のワクチンも重症化を防ぐ効果がある。そのため、新しいワクチンを待たずに可能な限り早く打ってほしい」と回答しています。

オミクロン株対応ワクチンとは?

オミクロン株対応ワクチンについて教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

WHO(世界保健機関)によると、従来使用されてきたワクチンでもオミクロン株を含む全ての新型コロナウイルスに対して高い重症化予防効果があるとされています。ただし、従来のワクチンは「オミクロン株への感染や発症予防の効果が低い」「打ってから時間が経つと効果が弱まる」などの懸念があり、オミクロン株対応のワクチンの開発が進められてきました。

2022年6月には、ファイザー社がFDA(アメリカ食品医薬品局)に臨床試験の結果を提出しました。臨床試験では、56歳以上を対象にBA.1対応型ワクチンを4回目の接種で使用しました。その結果、従来のワクチンを4回目に接種した人と比べてオミクロン株の派生型BA.1に対してウイルスの働きを抑える中和抗体の値が平均で1.56倍から1.97倍上昇したことが示されました。また、現在流行しているBA.5に対しては、「BA.1には劣るものの、中和抗体の値の上昇がみられた」との報告がありました。加えて、モデルナ社の臨床試験では、「従来のワクチンと比較してBA.1に対して平均で1.75倍上昇を示した」と報告されています。なお、ファイザー社とモデルナ社は、それぞれ新ワクチンの承認申請を厚生労働省におこなっています。

高齢者らを優先して接種することへの受け止めは?

オミクロン株対応ワクチンについて、高齢者らを優先して接種することへの受け止めを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

高齢者施設でオミクロン株のクラスターが発生しており、連日死亡が確認されています。オミクロン株対応のワクチンは従来のワクチンよりも予防効果は高いため、リスクが高い高齢者からの接種は適切だと思われます。

まとめ

厚生労働省が9月2日に開かれた専門部会で、オミクロン株対応ワクチンの接種について、高齢者らを対象とした4回目接種で優先的に使用する方針を決めたことが今回のニュースでわかりました。10月半ばには、2回接種済みの12歳以上の全ての人に対象が広がる方針とのことで、今後の接種体制についても注目が集まります。

この記事の監修医師