嗅覚異常による風味障害が原因!? 新型コロナ後遺症の味覚障害について
金沢医科大学の教授らの研究チームは、新型コロナウイルス感染症の後遺症について、味覚障害を訴えた人の約7割は味覚に異常を伴わないことから、風味障害の可能性があるとの調査結果を発表しました。今回の発表について中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
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今回の発表の詳細は?
今回の発表の詳細を詳しく教えてください。
中島先生
新型コロナウイルス感染症に罹患した後、味覚障害が起きる場合があります。金沢医科大学の三輪高喜氏をはじめとする研究チームは、味覚障害を訴えた人の約7割は味覚が正常であったことを発表しました。また、味覚が正常であるにもかかわらず飲食物の味を正しく感じ取れないことから、嗅覚の異常による風味障害の可能性があるとの意見を示しています。
調査期間は今年の2~5月で、対象者は東京と千葉、愛知、石川、大阪にて無症状~中等症の新型コロナウイルス感染症患者251人です。アンケートを実施した結果、味覚や嗅覚の異常を訴える人は約6割でした。このうち119人に対し、実際に味覚と嗅覚に異常があるかどうかを調べたところ、味覚障害を訴えていた45人中33人(約7割)は「味覚が正常」と判定されました。さらに、その中でも大半の人は嗅覚の異常も訴えています。
そのため、嗅覚障害の影響で飲食物の香りを正しく感じ取れなくなり、味にも違和感が生じたために、味覚障害を訴えたのだと推測されています。
味覚障害や嗅覚障害は、どれぐらいで治る?
味覚障害や嗅覚障害は、新型コロナウイルス感染症に罹患してからどれぐらいで改善することが多いのでしょうか?
中島先生
調査の結果、新型コロナウイルス感染症の発症から1か月後には味覚障害が84%、嗅覚障害は60%の人が改善しています。三輪高喜氏は、「味覚と嗅覚の両方で食事の味を感じ取るので、どちらに異常があるか判別することが難しい。鼻の粘膜の腫れが嗅覚異常を引き起こすことが多く、腫れが治まれば改善する」としています。
まとめ
新型コロナウイルス感染症に罹患すると、味覚障害や嗅覚障害が残る場合がありますが多くの人の場合、味覚は正常であり、嗅覚障害によって飲食物の味を正しく感じ取れなくなっている可能性があることがわかりました。これらの障害は、新型コロナウイルス感染症の発症から1か月後には多くの人が改善しています。しかし、改善までの期間には個人差があるため、今後も新型コロナウイルス感染症の後遺症について、最新の情報を随時チェックしていきたいところですね。