抗炎症薬「デキサメタゾン」 で新型コロナ死亡率低下と英大学

公開日:2020/06/30

イギリス、オックスフォード大学の研究チームは、炎症を抑える効果がある薬「デキサメタゾン」を新型コロナウイルスの複数の患者に投与。その結果、一定の割合で死亡率が下がったとする研究結果を発表しました。これについて中島先生に詳しくお伺いしました。

中島 由美 医師

監修医師
中島 由美 医師

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金沢医科大学医学部卒業後、同大学病院にて小児科・内科として研修を積む。その後は複数の病院で内科医や皮膚科医として勤務。2018年より福岡市中央区に「国を超えた新しい形の医療を提供」をコンセプトに、クリスタル医科歯科クリニックを歯科医師である夫と開院。

デキサメタゾンとは?

まずは抗炎症薬「デキサメタゾン」について教えてください。

中島 由美 医師中島先生

デキサメタゾンはステロイドの一種で炎症反応、免疫反応を強力に抑制します。国内でも喘息をはじめとしたアレルギー性の病気やリウマチ、皮膚の病気などさまざまな治療に使われています。

なお新型コロナウイルス感染症患者に通常の治療とデキサメタゾンを投与した結果、症状の重い患者の死亡率が下がったという報告が出ています。具体的には人工呼吸器を付けた患者で35%、マスクを付けて酸素を供給した患者でおよそ20%死亡率が下がったという結果でした。酸素供給を行わなかった患者では効果は確認されていません。

なぜデキタメタゾンは効果があったのか?

なぜデキタメタゾンは効果があったのでしょうか。つづいては「デキサメタゾンの効果」について教えてください。

中島 由美 医師中島先生

新型コロナウイルス感染症患者が重症化する際にどのようなことが起きているかというと、免疫が暴走するサイトカインストームが発生し、肺の障害や多臓器不全を引き起こすと考えられています。

「デキタメタゾン」は血液中に投与することにより免疫の働きを抑える働きがあるので、悪化の原因となる免疫の暴走を抑えられた可能性があるようです。しかしながら、免疫を抑えるとウイルスが増殖してしまうことも考えられますので、ウイルスを抑える薬と併用することがベストではないかとされているのです。

患者の容態によって免疫を抑える治療を最優先すべきと判断された場合は、デキサメタゾンなどが投与されているようですが、今後明確な基準が出てくればこれらを投与しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

免疫が暴走するサイトカインストームによって、新型コロナウイルス感染症の症状が重症化すると考えられています。今回の研究結果では、免疫の働きを抑える効果を持つデキタメタゾンを投与することで、新型コロナウイルス感染症患者の死亡率が下がったのではないかと考えられています。ただしデキタメタゾンにはウイルスを抑える効果は無いようなので、他の薬と併用することでより高い効果が見込まれると期待されています。デキサメタゾンの効果について、今後の研究結果から目が離せません。