乳がんの血液検査の臨床研究が本格化し、年度内に血液サンプルを収集
公益財団法人日本対がん協会と国立がん研究センター、国立国際医療研究センターは、血液中のマイクロRNAの状態を調べることで、乳がんの可能性を確認できる血液検査の確立を目指していることを公表しました。今回は、新しく確立される可能性がある乳がんの血液検査について、中島先生に詳しくお伺いしました。
監修医師:
中島 由美 医師
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今回の発表の詳細は?
乳がんの有無を調べる血液検査の確立を目指している件について、詳しく教えください。
中島先生
現在行われている乳がん検診の検査は、乳房をレントゲン撮影する「マンモグラフィ」です。マンモグラフィは、乳房を検査機器に挟むときに痛みを伴うためか、検診率が低迷しています。今回、公益財団法人日本対がん協会、国立がん研究センター、国立国際医療研究センターが公表した乳がんの可能性を調べる血液検査が確立されれば、検診を受ける人の負担が軽減し、検診率が上がることが期待できます。
乳がんの血液検査の鍵を握るマイクロRNAとは、細胞の発生や分化、増殖などに関わる分子です。RNAの状態からは、乳がんだけではなく13種類のがんや認知症の有無を確認できる可能性があることもわかっています。
臨床研究の進め方は?
乳がんの可能性を調べる血液検査は、どのような臨床研究を経て確立されるのでしょうか。
中島先生
臨床研究の対象者は、40~60代の女性です。血液検査とマンモグラフィ検査を行い、両方の検査結果および分析結果を比較します。血液検査によって乳がんを発見できる可能性が高いことを証明できれば、検査方法として確立できます。
臨床研究に使用する血液は3000人分で、年度内に鹿児島と北海道、福井、愛媛で採血する予定です。すでに今年1月から鹿児島県の県民健康プラザ総合センターが自治体や事業所での検査の受診者の協力を得て、臨床研究用に血液を採取しています。なお、都県ごとの予定採血数は確定していません。
まとめ
血液中のマイクロRNAの分析によって乳がんの早期発見が可能になれば、検診を受ける人が増え、結果として乳がんで亡くなる方が減少することが期待されています。乳がんの血液検査を確立するには、マンモグラフィ検査と精度を比較し、十分な確率で乳がんの有無を確認できることを証明する必要があります。40~60代の女性でマンモグラフィの苦痛を理由に検診を避けていた方としては、早く血液検査が確立されてほしいところではないでしょうか。
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